立ちふさがるは強大な敵②
リトル街から南の方角。時の森付近では、翼が更に南の方を見ていた。その先には城下町、それを見下ろすように建っていた大きな城。しかし、どちらも焼けつくされたようで、人や動物一匹すらいなかった。
翼はその様子を寂しそうな目で見つめる。
「おっと、感情に浸っている場合じゃあないな。」と言い、再び歩き出す。
翼がたどり着いたのはひょうたん湖、そこも先ほどと同じような目で見ていた。すると。
「おい、おめぇ、そこで何を・・・、あり?おめぇ、どっかで見たような・・・。」
「・・・・・なんだ、河童か。」
「何だとはなんや!ワイはあの有名な河童やで!?」
「珍しくはないからな。」
「何おうぅ!?この前の白髪の嬢ちゃんなんか、ワイを見ただけでビビってたんや!」
白髪、と聞いて一人の人物を思い浮かべた。
「見るからに弱そうな嬢ちゃんやったけどなぁ、ワイ、皿の水をこぼしちまって、相撲に負けてもうたんや・・・。」
「いや、聞いてないぞ。」
「何百年かぶりに尻子玉食えると思ったんだけどなぁ。」
「はいはい、残念だったな。」
「というわけで、おめぇの食わせろ。」
「じゃあ、その皿と交換な。」
「じょ、冗談や!まったく、どうしてそんなに嫌がるんや。うまいのに、変態って言われて・・・。」
「いいこと教えてやるよ。年頃の女の子に「尻」って言葉は出さないこったな。」
「は、はぁ・・・・、あ、お、おい、後ろっ!」
河童が叫ぶと、翼は後ろを振り向き、素早く刀を抜き、飛んできた光弾をはじいた。
「ちょっと、水ん中行ってろ。」
「あ、お、おおっ。」
翼の合図で河童が湖の奥深くに潜っていった。
「ふふふ、そこの河童に救われたねえ。」
「エルフ族・・・・。」
「ふふふふふ、私は、エルフ族の時の神、「ウール」。この世界の時を渡り、人々に幸運を授ける者。」
「ウール」と名乗った者は肌が薄い緑に、耳が長かった。これは全てのエルフ族全ての特徴だ。しかし、ウールの額にはあの気が付いていた。
「あんた、いつしか私の時渡りに巻き込まれていたねぇ。あんたのことは知ってるよ。確か、こう呼ばれていたっけ?「朱雀の殺・・・・。」
ウールが言葉をつづける前に翼は幻烈斬を飛ばした。ウールはするりとそれをよけた。翼はふぅふぅと息を荒げながら体を震わせていた。
「あらあら、怒らせちゃった?そりゃそうよねぇ。せっかくあんな悲惨な事件から逃げ切ったのに、思い出させちゃったからねぇ。」
「う、うるさい!」
翼はこれまでにないくらい恐怖で震えていた。恐怖なんて知らないくらいのあの翼が。
「さぁて、おしゃべりはここまでにしましょう?私今、人殺しをしたいの。あんたを殺そうとしたけど、あんた人間じゃなかったからね。」
翼はっとし、震わせていた体を止め、再び幻烈斬を飛ばした。ウールは再びよける。
「なぁにぃ?まさか、邪魔するの?しょうがないわね。ほんとは人間を殺したかったんだけど、先にあんたを殺してあげる。」
ウールは口笛を吹くと、羽のはえた光たちがやってきた。
「かわいいでしょ?私の妖精ちゃんたち。こう見えてもあんたを殺すことくらい簡単なのよ?試してみる?どっちにしろ、殺すけど。」
ウールは妖精たちに合図を送ると妖精たちは翼に向かって突進していく。
「‘フェアリーインベイション‘」
翼が妖精たちにに向けて大きめの幻烈斬を飛ばすと妖精たちを吹っ飛ばした。
「まさか、これで勝ったと思ってないでしょうねぇ?これはまた序の口よ。」
ウールは再び妖精たちに合図を送ると今度は一斉に小さな光弾を上に放つ。光弾はすべて翼の頭上に降りかかる。
「‘フェアリーライトレイン‘」
降りかかってきた光弾を翼は全て剣ではじいていた。
「ほう、さすがね。だてに伝説とは言われてないのね。すこし、見くびっていたようだわ。」
ウールは背中の弓と矢を取るとその矢を構える。矢に魔力を込めてはなった。
矢は翼の足者に落ち、大きなつむじ風を起こした。
「‘マジック・ウィールウィンド‘」
「うあっ!?」
光弾をはじいていた翼は宙に浮き、つむじ風に体を切り裂かれた。それに加えて、妖精たちの光弾の雨に身をさらす状態になった。
どうも、律です。
最近、私生活にいろいろあって、投稿が遅くなってしまってます。申し訳ございません。
まだ、遅い投稿が続くと思います。申し訳ございません。
それでは、また次回、よろしくお願いします。