魔女狩り
第1章
こんな幸せが訪れるのはいつぶりだろうか
お姉ちゃんと一日を過ごせる
それだけが私の生き甲斐だった
でも、一時間前に外に行ったきり戻ってこない
1時間か…長いな
様子でも見てこよう
その刹那外に一筋の光が伸びた
それが悪夢の始まりだった
......................................................
迂闊だった。ここなら見つからないと思ったのに。
「お前ら、こんな事をして恥だと思わないのか」
〈彼ら〉────もとい、仲間だった人間────を見て、嘲笑する
「何も出来ない魔女に頼っていた分際で!」
「う、うるさい!とにかくお前は捕まえる!」
「阿呆らしい。金に目が眩んだか、家畜共」
「愚弄するのもいい加減にしろ、異端が。」
「異端?貴様ら家畜の方が異端だ。」
「ほう…。」
「敵だと言うのなら、相手をしてやるぞ?ククッ」
「…っ…。と、とにかくお前は倒す!」
「出来るか?“Darknessworld”」
刹那、一筋の闇が世界を包む…
それが破滅の未来へと進む第一歩だとは、知る由もなかった…。
第2章
こんなにもあっけなく日常は狂ってしまうのだろうか
幸せは続かない、そんなこと分かっていた
分かっていたが…認めたくなかった
妹とのたわいない会話も、いつもと同じ行動も、壊れるなんて、思っていなかった
だが、それは起こった
「おとなしく降伏しろ!」
降伏?そんなもの、するわけないじゃないか
妹を殺しておいて、私まで殺そうというのか
さぁ復讐劇の始まりだ
全員皆殺しだ!
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「お姉ちゃん…」
暴走してるのかな…
「おい、仕事の時間だ」
番人が来る
あの日以来、私は異世界にいる
「はい」
そして、龍を統べる者として新たな人生を歩み始めた。
あの日以来、お姉ちゃんの鼓動が弱まっていくのを感じる。
いつか、こちらの世界に連れてこられるだろうか…。
続く
第3章
どれぐらい走ったのだろうか
分からない
あの女に追われて何日目だ?
俺は何をした?
何もしていない…と、思う
それにしてもあの女…
ただものじゃない
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あの男か
妹を殺すよう指示したのは
ならば殺してやろう
「負けるものか…!」
ん?奥に何か人影が…
あの男なら、殺す
実行だ (やめなさい…)
あの男は… (思い出さないで…)
そうか、思い出した (何を…)
あの男が、お母様を殺した (違う…それは)
あいつが家族を不幸にした (それは、私のせいよ)
何かが聞こえる、でも、そんな物で私は止まらない
第4章
あの男を殺すまで、私は死ねない。
死ぬわけには行かないんだ。
妹
あの子の仇を打つまでは…
「お前か!!無差別に殺人を犯しているというのは!!」
「…私はあの男を殺すまで、止まるわけには行かない!」
「あの男?嗚呼、お前の妹を殺した男か」
あの男は、私の妹を殺した。
だから…
刹那、腕に激痛が走るのと共に赤い真紅の液体が飛び散った。
これは、誰の血だ?嗚呼、私の血か
こんな死に方になるとは、惨めだ。
「あははははッ!―――ははッ!はは…はぁ、はぁ…」
私は笑う、いつまでもどこまでも笑う、笑い続ける
何を望むこともなく、命乞いをすることもなく、死んで行ける
こんなに幸せな事はあるだろうか。
嗚呼、妹よ。もう一度会いたかった
神様がいるのなら、どうか、来世は幸せに生きられますように…。
終章
時は30XX年
魔女による無差別殺人事件から、約3000年が経った
私は、あの地に行くたび、何処か懐かしさを覚える。
私は、あの魔女の生まれ変わりなのだろうか?
私は今、墓地にいる。妹の墓の前にいる。
私の名は「ローザ・ナイト」
魔女の名は知らないが、私には何処かその面影があるのだとか。
その魔女に、会いたかったな。
そして、妹の名は「ローズ・ナイト」
最初はおかしなことをよく言っていたが、あれが本当のことだったとは思わなかったな。
魔法は使えない。でも、どこかで熱い血潮が煮え立っている…
未だにアの女ガ生きテいルなンテ…
殺シテシマオウ。世界ト共ニ。
END
もう一つの終
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ローズ・ナイト
魔女狩り対象とされ、19XX年に殺害される
異世界にて生活後、現世へと還り給う
金髪の美しい髪だった
リリア・ナイト
魔女狩り対象とされ、25XX年に殺害される
今は別の魂として、別の人間に生まれ変わる。
銀の美しい髪だった。
ローザ・ナイト
リリア・ナイトの生まれ変わり
魔力持ちだが人間。
40XX年、永遠の眠りにつく。
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今は、私の祖先についての資料を読んでいる。
今は100XX年。
衰退の一途を辿っていた人類が増加傾向にある。
それ以降、人間はかつての魔力を忌み嫌うのではなく、取り入れようとした。
そのため、今は魔法使いが増加傾向にある。
私の名は、ルル・ナイト。
魔力についての研究を行う研究者だ。
そして、今の研究テーマは「過去の魔女狩り対象について」。
その為、今、私は魔女狩り対象となった悲劇の一家「ナイト家」について調べている。
────嗚呼、なんて世界は狭いんだ。私がナイト家の血筋だなんて。汚らわしい。
~END~
拙い文章ですが^^;
最後まで閲覧有難うございます