萬鉄五郎 あるいは真っ赤な裸婦の衝撃
私がそれを始めてみたのは確か中学生の頃だったと思う。
出会い、ふと手に取った画集の
ページをめくると「それ」はあった。
それはいまだ見たこともないような
草の上に寝転ぶ真っ赤な裸婦だった。
いや、、もっと、
正確に言うとそれは、真っ赤な腰巻?それとも腰布?が真っ赤なのであって裸は上半身だけだったのだが、正直、
私はその赤にめくらまされてしまったのだと思う。いっしゅん、なんだこれ?っていう驚嘆、
そしてみるみるとらえられてゆく自分があった。
それはもう
色っぽいとか、、美人だとかそんなの関係ない、圧倒的な迫力圧倒。ただ直にそれが迫ってきた、
西洋裸婦画をいくつも見てきた私だって
こんな裸婦見たことない。あえて言うなら地母神の様なとでもいおうか
その存在感、
美醜を完全に飛び越えた裸婦がそこにはあった。
こんな絵を描いた日本人がいたんだしかも大正時代に、
あ?そういえば花巻出身の鉄五郎は、同時代の宮沢賢治と接点はなかったんだろうか?
たぶん、
残念ながら、なかった?んでしょうね。
それにしても、
あの腰巻の赤はいったい何だったのだろうか?
それは
赤じゃない、もっと、正確にに言う「朱色」でしょうか。
その朱色というのはでも、古代色というのか、古代の朱色です。
そうです、古いお寺の朱色の壁みたいな宗教的な朱色なのです。
まあとはいえ当時中学生だった私がそこまでわかっていたかといわれれば
そのころはわからなかたっとおもいますが。
でも直観で、、そう感じていた、
この裸婦の赤に気を取られて衝撃を受けていると
しかし
やがて彼女の上の空に赤い雲のようなモノがあることに気づきます。
この雲ですが、後で知ったんですが「雲のある自画像」というすごいマッドな絵があるんですが、それがこの雲と全く同じなんですね。
その雲は
楕円形で回りが薄ピンクで中が濃いピンクで。私が思うにこの雲って魂のシンボルなのではないでしょうか?
雲イコールさまよえる魂なのでしょうね・?
すごい妖気を孕んだ雲です。
雲もそうですが、木々も妖しくその雲に向かってしなだれあっていますし、
ああ、それから彼女が横たわっている草だってよーく見れば緑というよりは黄色っぽくってしかも葉がとがってるんですよ。妖しくはびこってるって感じの草です。
そこにした目使いで横たわりこちらを見下げている裸婦。手首が妙に曲がっていて、まるで拘縮してるような塩梅で、
彼女?いわゆる美人かって?言われれば決して美人でなんかないし
存在感圧倒される存在感それだけです。
そしていつまでも目に媚び折りついて離れないのはあの腰巻の赤。
いや
朱色なんですよ。