Lady's battle for a girl (中)
やあ、皆、一年に一回二回しか更新されない小説がまた来たよ!
……や、本当にすみません。毎度のことながら本当にすみません。
とりあえずバク宙してムーンウォークしてから土下座しますね!
「新しいケータイってなんか色々と機能が付き過ぎてて何がいいのか私にはさっぱり分からないわ」
「秋穂様、これ可愛くないですか?」
「あ。たしかに可愛い……けどワンセグ付いてないから却下」
「ええ、そんな理由で」
「何よ、お昼休みにいいとも見れるのって学生にとってはけっこーなステータスなのよ?」
「……そんな学生のステータスなんか嫌です」
「朝食はおろか昼飯さえ他人頼みのニートには分からないステータスなのよ」
「ぐ……」
「ふっ、言い返せるものなら言い返してみなさいな」
「ぅ……」
「あら? 泣くの、泣いちゃうの? 泣けば許されるとでも思ってるのかしらこのキングオブニートは」
「そ、そんなことはないですよ! ちゃんと働いてますよ!? メードとして!」
「転がり込んで一日でちゃんと評価されるとでも思ってるの? 一日目から失敗して私の中でのアナタの株は絶賛下落中だけど文句の一つも付けられるのかしら?」
「……うぅ……」
「言い返せないでしょうね。言い返せるような立場ならそもそもこんなこと言われないものね」
「……すみません」
「謝るくらいなら、……次はそうならないように頑張りなさい。私が、エリーゼさんを少しは見直せるようになるくらいに」
「………!」
って、違うだろ私。
なんかこう、もやもやとした鬱憤をこんなことで晴らすためにエリーゼさん連れて出て来たんじゃなくて、なんつーか、謝りたかったから連れてきたわけじゃなかったのかしら私。雰囲気的にもなんかそんな感じだったし。
それが何がどうしてこんなケータイ買いにきてなんか良さげなのすすめてもらっといてこんな上から目線でエリーゼさん見下ろすようなことになってるわけ?
「あ、あの……」
「……ん、なに?」
「あ、ありがとうございます! 私、頑張りますからっ!」
えーと……、
なじってただけなのに何で私は礼を言われるのだろうか。
まさか、そうゆう趣味?
「……まあ、いいわ。エリーゼさん、頑張るというのなら私の代わりにテキトーなケータイ選んでちょうだい。値段は新規で五千くらいまで、デザインとかどうでもいいから使い易そうなやつ」
「あとワンセグですね!」
「ええ、それでよろしく」
って、だからそうじゃなくて。
なんで私はこう、エリーゼさんにはこうも上からものを言う感じになってしまうのだろうか。エリーゼさんが初対面から滲み出るくらい下僕体質なのだろうか?
それとも私の人見知りという後付け設定がたった今発動しているのだろうか?
「秋穂様これなんかどうですか」
エリーゼさんが持ってきたケータイを手にとって眺めてみる。大きめの画面がカシャカシャスライドする音楽ケータイとやら。うん。ワンセグもちゃんと付いてる。
「ん。いいんじゃない」
「色はどうします?」
「エリーゼさん何色がいい?」
「私ですか? 私はこの、明るい抹茶色ですかね」
「ふつーにエメラルドグリーンって言いなさいよ。じゃ、このエメラルドグリーンとブラックでよろしく」
「二つもいるんですか」
「一つはアナタのよ」
「え」
エリーゼさんフリーズ。
あれ? ケータイ持ってなかった気がしたけど違ったかしら。
「無いと困るでしょう。今日みたいなことがあっても困るし」
「いや、でも、あの……」
「私からの就職祝いってことで」
あれば何かと便利だし、今度は助けてもらえるかもだしと淡い希望なんか描きながら。
「まあ、これからこき使うつもりでいるからいつでも私のお願いが聞けるようにちゃんと持ち歩いておきなさい」
……おい私。だから、なんでそこで素直になれなくて、だから、なんでそんなに高圧的で……
「はい。ありがとうございます! 私、一生懸命頑張ります……!」
なんでアンタはアンタで喜んでんだ!
やっぱりマゾなのかもう本当によぉ……!
ごめんなさい!
バク宙もムーンウォークも出来ませんでした!
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\マソ)ノソア/
丶ミュZノ