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第80話

答えを聞き届けた導師は一小節の呪文を唱えれば、男の子と黒の王子の足元が崩れ、穴に落ちたと思った次の瞬間には、王城目掛け翔ぶ赤い竜の背後を取った形で転位をさせられる。


驚愕も許されぬ切迫した状況に、男の子はありったけの力を込め、砕け散る弓を代償に菫色の魔弾を射ち出す。


矢は螺旋を描きながら空を抉り、地へと真っ逆さまに突き進む。その轍に翔ぶ赤い竜は振り向こうとするも既に遅く、穂先の触れた肩ごと左翼を捻り切られる。


厚い鱗が紙吹雪のように散り、分厚い筋肉に守られていた心臓が半壊し、削り取られた傷口から滝のように吹き出る赤々とした鮮血に、地を揺るがす程の竜の悲鳴が轟く。


そんな赤い竜の鱗のを砕いた菫色の閃光は、至高の存在から流れ出た血をたっぷりと喰らいながら、炭化した森林を螺旋に巻き込み、大地もろとも塵へと変えながら深々と突き立てられる。


左上半身を抉り取られた赤い竜は大きく安定を欠きながらも地へは墜ちず、空を下る勇気あるふたりへ忠罰を下すべく、太く長い尾を振るう。


触れれば虫のように無惨に潰れるであろう一撃がふたりへ迫る。既に弓矢を失い無手の男の子と入れ替わる形で、黒の王子は白銀の聖剣で一閃する。


陽光で煌めく斬撃は巨大な尾を容易く両断し、返す刀でもう一撃を振るえば、残っていたもう片方の翼を三枚に卸し、赤い竜は雨のような流血に悶え失墜する。


戦場と化した森に、竜の悲鳴が木霊する。遠くに聳え立つ城壁にすら響く、けたたましい叫びは追い詰めた筈の両者にも震えを覚えるほどであった。

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