13話
案を出したのはわたしだけど、作戦に参加は出来なかった。
わたしが栄養失調気味なのは会った時からだけど、子供だから、とも言われた。
歳より成長しなかった体かそれとも幼い言動かわたしにはわからなかったけど、多分そんなところだろう。
目が覚めたばかりのスノウは参加していたから。
見張りだったエルフの男の人がわたしについて、後はほとんど彼に着いていった。
「置いてかれたなあ」
もともと同じ位置には居なかったけど、なんだか大分距離ができた気がするのだ。
違うか、スノウに会って変わったのか。
「私も置いてかれちゃいました」
「すみません、わたしがいるからですよね」
「いえいえ、違いますよ私はもう大分前から王子から離れていましたから」
寂しそうに笑うのだ。
「私はね、目が見えないんですよ」
「でも、目が」
色彩のある目をしている。
「義眼というんですかね。魔力を目に集めて見えるようにしてるだけなんですよ」
「魔力がなくなれば見えなくなるから置いてかれたんですか? 」
「そうですね。私では後ろを任せるのも怖いそうです」
「……寂しいですね」
彼は意外に強かったのかも知れない。王子に近しい人だったのかも知れない。聞けば答えてくれるのかもしれないけど、聞いたって、わたしには返す言葉がない。
「お名前、なんていうんですか? わたしエラと申します」
「私は、……サーシャルと言います。よろしくお願いしますね、エラ」
「そうだ! サーシャルさえ良かったら村に来ませんか? みんな悪い人じゃないからわたしが連れてきたってわかれば歓迎してくれますよ。若い人だったら特に。あ、ちなみにリンゴが名産です」
「リンゴですか。私も好きです。……それも、良いですね」
サーシャルは柔らかく悲しく笑う人だった。
その夜早馬で知らせが来た。
女王が死んだ、と。
詳細は聞いていない。ただ、スノウの心が女王を上回り、お兄さん達の武器がちゃんと効いたから女王は倒された、らしい。
スノウ達は一度このエルフの森に戻ってきており、 次の日にはすぐにそれぞれの場所に戻った。
スノウは王都に戻り、女王となり、王都を統治していくことになるらしい。王は大分前に病で死んでしまっていたから、一人娘のスノウが立て直すそうだ。
それをエルフも国をあげて助けるとのことで近隣の国もむやみやたらに喧嘩を仕掛けてはこないそうだ。当分は安泰だろう。
わたしはエルフの森でお腹いっぱい食べさせてもらってから村に帰った。少し長居したのはサーシャルがエルフの森を出てわたしの村に来ることになったから、王子と少し揉めたのだ。
なんだかんだで王子も彼のことを信頼していたと言うことだ。
村につけばここもお祭り騒ぎで王都から送られてきたという物資を全部食事にかえて、楽しんでいた。サーシャルを連れて戻ったから、若者が増えたと歓迎してくれた。
エルフの森からわたしの村は何日かかかる。わたしが村に着いたと同時にスノウが女王になる即位式をやっていた。村のみんなも行かないまでも祭りのように騒いでいたのはこのためらしい。食べ物をもらったからではなかった。
わたしも誘ってはもらっていた。
ただ、スノウの隣にお兄さんがいるかもしれないと思うと行きたくなかったのだ。
「……良かったのですか? 」
「サーシャルこそ良かったの? 」
「そうですね。王都よりここの方が魅力的でしたから」
リンゴの木しかないこの村に魅力はわたしは特に感じなかった。だってここで生きていくのはわたしにとって当たり前で普通のことだから。
「そっか。……なんか本当に一生分の経験してきた気がする。すごく山ありな人生」
「あなたもスノウ様も頑張りましからね。これからは下り道になりますね。微力ながらお助けさせていただきます」
わたしは特に頑張ってきたわけではないが、二度はお断りしたいのは間違いない。
それに、
「これから忙しくなるなあ。王都にエルフに……あとどこだっけ。リンゴ足りるかなあ」
リンゴの買い取り先が急遽増えたのだ。エルフの森と王都。王都はスノウの独断でエルフは王子の独断だ。まあ、美味しいから是非食べてほしいから嬉しいものは嬉しい。
サーシャルが売り子すればうなぎ登りで売れるだろうし、隣国にも魔女が好んだリンゴとかなんとかで売りに出せば買う人も増えるかもしれない。
「なんか、楽しくなってきたかも」
「私はあなたといると楽しいですよ」
一瞬息が止まるかと思った。
「……そういう返しはいらない」




