アイドル恋愛禁止法
アイドルは恋愛禁止。
昔からあったこの不文律は、いつの間にか公式のルールになっていました。ルールを破ったアイドルはグループから外されたり、時には芸能界から追放されたりしました。
そして、先日新たに制定された「アイドル恋愛禁止法」によって、アイドルの恋愛禁止はとうとうこの国の決まり事になりました。
歌手業やタレント業等の中で「アイドル」と看做される者、または他の職業に於いて「アイドル」と看做される者には、政府から「アイドル認定証」が発行されます。認定証を受け取った者はその時点で「アイドル」であるとされ、異性・同性を問わず他者と恋愛関係を結ぶことが禁じられます。
認定証は三年毎に更新され、切り替えの時点で「アイドル」と認められなくなった場合は取り上げられます。
「アイドル」と認定された者が認定証を受け取りたくない場合は、発行元であるアイドル省に対して訴えを起こすことが出来ます。そこで「アイドル」ではないと認められれば認定証は破棄され、訴えた者はその日から一年間、いかなる理由があろうと「アイドル」と認められることはありません。
「アイドル」であることのメリットとしては、メディアへの露出の優先権、音楽番組で歌唱する義務の取り下げ(クチパク権)などが挙げられます。また、CDやDVDに付ける特典の多くは、「アイドル」またはメンバーの三分の二以上が「アイドル」で構成されている「アイドルグループ」にのみ認められています。
「アイドル」であることの唯一のデメリットとされている「恋愛の禁止」についてですが、これを破ることに対する明確な罰則は今の所ありません。ですが、「アイドル恋愛禁止法」が制定されて以来、これを破った者は居ないので、特に問題視されてはいません。
ええ、居ませんよ、一人も。
何せ「恋愛」が発覚した時点で認定証が取り上げられますからねぇ。「恋愛」することと「アイドル」であることを両立させるのは不可能なんです。
「恋愛禁止法」なんて名前は付いていますけどね、結局は「アイドル」という存在を上手く使いたい一部の連中が作った……いや、やめておきましょう。
さあさあ、つまらない話はこれくらいにして、そろそろあなたも投票にお行きなさい。「アイドル」の中から国の代表者を選ぶなんて、この国もとうとう終わりですなあ!