(3)この町の事情
投稿遅れてすみませんね・・・・・・
町人は話始めた。
「昔、といってもほんの6,7年前までは、このアイカシアという町は活気に溢れていました。
当時は立地の関係もあって飲食店街も多くあり、『美食の町』と言われていました。」
エウリアも得心したといった表情だ。
エウリアの仕入れていた噂はどうやら正しかったらしい。
町人はなおも話し続けている。
「少し、話を変えますが、レイア教団領においては、町ごとに神殿があり、
司教クラス以上の方々が常におられます。このアイカシアに転機が訪れたのは6,7年前、
これまでアイカシアにおられた大司教様が・・・・・・・・・亡くなられたのです。」
・・・・・・・・・。こっからはだいたい予想がつくけど。
町人の説明はまだまだ続く。
「その為、後任の司教がアイカシアに赴任することになったのです。
これまで、大司教様がおられたのですから、司教という時点で我々は少し残念でした。
しかし、ここに来て下さるということで、我々は司教に期待をしていました。
しかし、新しく赴任した司教は、残念ながら、聖職者にあるまじき俗物だったのです・・・・・・。」
「ほうほう、例えば?」
俺は思わず相づちをうつ。
町人はとても憤りを感じているようだ。
「これまでも、大司教様に町の一般的な税を納めていたのですが、あの司教は、
それを急に1、5倍~2倍にしたんですよ!
他にも、手下のチンピラのような連中を使って強盗まがいの寄付を募らせたりね・・・・・・。
結果的に彼らの手下もこの町で幅をきかせるようになりました・・・。」
エウリアも俺も呆れ顔になっている。
しかし、話はまだ終わらない。
「おまけに、町の中心部に彼の為の御殿を建てさせたのですよ!
たいていの町人は強制的にそういったことの手伝いもさせられていね・・・。
という訳で活気がないのです!!!」
うわっ。御殿までとは・・・。
「そんな事が・・・。」
エウリアは話がそろそろ終わったかな、ということで言葉を切り出した。
しかし
「しかも、そんな中彼に取り入ろうとして、おべっかを使うものが
続々取り立てられて・・・。領主気取りで土地を授けたり・・・。
そういえば、話は変わりますが、私はレストランを経営しているのですが、来られますか?
愚痴をきかせた埋め合わせ、という訳ではありませんが、もてなしますよ。」
やっと話が終わったよ。長かったなあ・・・・・・。
「エウリア、どうする?」
俺はエウリアに判断を丸投げした。
「ああ。よろこんでお受けします。」
という訳で、俺とエウリアは幸運なことに食事をおごっていただけることになった。
というか、よく考えると・・・
俺は尋ねた。
「あの、すいません。お名前は?」
町人さんの名前知らないじゃないか!
「あ、そうでしたね。うっかりしてました。私はアズール・ぺランです。よろしく。」
こちらもあわせて名乗る。
「俺はフロイトです。」
「私はエウリア、エウリア・ブロッケです。よろしくお願いします。」
「ブロッケ・・・?いや、失礼しました。私についてきてくださいね。」
アズールさんはエウリアの名前に少し引っかかるものがあったようだ。
単なる気のせいかもしれないけど。