第一章 (1) 町まで歩け
俺とエウリアは共に歩いている。
俺はふと、エウリアにたずねた。
「そういえば、あと、4~5km歩くと町に着くと言ったが、どんな町なんだ?」
エウリアが失念していたという表情で言う。
「そうか、君は記憶喪失だったんだね・・・。いい忘れてたけど、そろそろ国境だ。
僕達が行く町は隣の国?にある。国と言うか、国みたいなものだけれど《教団領》と言われてる。
そこでは、レイア教という宗教がさかんで、そこの長は教皇(レイア教教皇)と呼ばれている。」
さも当然のように固有名詞の説明を抜かれるとなぁ・・・。
「レイア教って?で、どんな町なんだ?」
エウリアは驚きを隠さない。
「レイア教を知らないのかい!?重度の記憶喪失だねえ・・・。
レイア教といえば、この大陸の4人に1人は信仰してると言われているのに・・・。
で、すまないな。次の町の名前はアイカシア。噂では、料理が美味しいいい町らしい、
けど、その噂聞いたのは5,6年前だからな~~。」
むしろ、5,6年前の噂良く覚えてるよ。
「ということは、今はどうだかは流石にわからんな。」
こんな風に2人は話しているが、2人ともしっかり歩いている。
俺は少しふらつき気味だが・・・。
そんな中俺はあることに気付いた。
「というか、そんな簡単に国境って越えられるもんか?
パスポートとかいらないのか?」
エウリア完全にキョトンとしている。
「パスポートって何?基本的に国境は簡単に越えられるものだよ。例外はあるけど。」
パスポートが通じないか~~~。ここは俺が元々いる世界ではないのかな?
一応説明してみようか。
「え~とな、許可・・・・・・?身分証明証みたいなものだ。
というか、俺はそんなこと覚えてて、名前は忘れてるのか・・・。」
エウリアはしみじみという。
「・・・服とか、君の発言を考えると、君は、とうていこの世界の住人とは思えない。」
やっぱりそうなのか・・・。
「へ~、じゃそうなのかもしれんな。まあ、今更考えていても仕方がない。
時が来たら考えるさ。」
そんなことを言っている内に町が見えてきた。