おはよう
自分がいない世界の夢をみた
世界は何も変わっていなかった
友だちはみんな笑っていた
家族の食卓はおいしそうだった
世界はふつうに廻っていた
自分の部屋に戻ってみると
そこには知らない人が住んでいた
ある日、部屋に
その人の恋人がやってきた
自分のものだったその部屋は
やけに狭く感じられた
開かれたカーテンからのぞく陽光
風にゆれる洗濯物
喧騒でない話し声
甘く香る芳香
すぐそばに君がいたんだと
感じさせるソファのぬくもり
それがなりたかったはずの自分の姿だと気づいて
目が覚めると涙がでてきた
閉めきられたカーテンのほんの小さな隙間から
かすかな光がさしこんでいる
僕は僕の世界のすべてに
もう一度あいさつをしに行こうと思う。
特別じゃない自分が生きる世界に、ありがとうの気持ちを込めて。