8夢
目を開くと上下左右真っ白な世界だった。
「どこだ、ここ?」
事実としては2回目の、オーウェンの記憶にとっては初めての夢の世界である。
ふわり、と風が吹き、
気が付くといつの間にか、目の前にアズが居た。
「あっ、アズ!どこなんだここは一体?」
寝る前の気まずさは驚きにかき消されていた。
「ここは夢の中だ。俺は夢に入る事が出来るんだ。でも俺達は同じ夢を見ているわけじゃない。これは現実。これは本当。細かい事は省くがな。本題に入るが、俺が何故わざわざお前の夢の中に入ったと思う?」
「…ローイ帝国が関係してるのか?」
「まあ、そうだな。正確に言うと、俺達が起きている間の現実で話している事はいつ、どこで、誰が聞いているか分からない。だが夢は違う。誰も入ってくることは出来ない。つまり安全なんだ」
「誰が、って敵か。居場所を察知されないように、か」
「そうだ。待ち伏せされて死ぬなんてまっぴらだからな。で、寝る前に聞いたな?何故雇ったのか、って」
「ああ。用心棒の為だって。それだけじゃない事は分かっていたが…。旅をしている理由も、あんたのどこか緊張した感じから、なんか薄いな、とは思った」
「だから、これからその事を含めて多分殆ど全てを話そうと思う」
「多分殆ど全て?」
全部じゃないのか。
オーウェンは思わず笑いそうになった。
「いいから聞け。理由も告げずに一緒に旅して、外に情報を流されたりしたら、かなわないからな」
「それを聞いたら逆に流すかもしれないぞ?」
「お前はそういう奴じゃない気がする。取りあえずお前の値段の28日分までは」
そう言って、アズは話し始めた。多分殆ど全てを。