6乱闘
「俺あんまり命中率高くないからその辺宜しく」
「え」
うおおぉ!
斧を振り回す奴がまず始めに来た。
右上から大きく振りかぶるのを軽く右へ避けながら、振り下ろした腕をホールドし腹に蹴りを入れる。次はその後ろから馬鹿みたいに真っ直ぐ突っ込んできた奴。今度は左によけて回し蹴り。
後ろからは銃声が響いている。装填された弾が無くなるとそこに隙が生まれ、カバーをしなければならなくなる。
「チッ、めんどくさい武器だな」
するといきなり前方から大量に奴らが来たので仕方無く刀を抜く。だが、奴らがオーウェンに辿り着く前に何かが飛んできた。
とっさに1つ目を避けると、地面に着いたとたん爆発した。
「爆弾!?」
すぐ2つ、3つと落ちてくる。刀の刃こぼれを覚悟して構えようとすると、
バンッ
蒼い何かが横切って、爆弾に当たり、空中で爆発した。
「お前は人間に集中しろ!」
アズだった。
どんどん爆弾を撃ち抜いていく。
「百発百中じゃん!」
思わず呟いたが、すぐに闘い始めた。
気が付くと、残りは3人。一番始めに声を荒げていた奴は逃げ出したようだった。
3人共、戦意喪失で青ざめていた。
「まっ、待ってくれ。命だけは!それだけは勘弁してくれ!」
「あ、あぁ。お願いだ!お、俺達は雇われただけで!」
「ふーん。誰に?」
まるでそれが誰か分かっているような響きでアズは言った。
「ローイだ!だから命だけは…『バンッ』
男は死んだ。立て続けに後の2人も撃ち抜いた。
アズの只ならぬ様子に、オーウェンは呆然とした目でアズを見た。
「さっさと行くぞ」
アズは宿に向かって走り出す。
雨はいつしか本降りになっていて、2人の表面の汚れを洗い流していた。