54間接的空中戦
オーウェン目線です
嫌な奴みたいだ。
少しずつでいいから相手を切りつけていく、今の戦いは少なからずそういう感情を植え付けられる。
まあ自分も同じだけ切りつけられてしまっているし、生きるか死ぬかの戦いなので罪悪感は無いが。
けれど、逆に言えばどちらも相手に一撃を浴びせることができないでいる、とも言える。小さな攻撃はこっちには魂の解放、向こうには失血死させる事が出来る、という理由があるだけで。
ロイズの体からは絶えずどこからか魂が解放されている状態になっている。だが、まだ足りない。
一旦距離を置いてダガーを仕まった。こっちで攻撃しなければ。
「オーウェン、上だ!」
思わず見上げるとそこには四角い箱が浮いていた。どうやら本当に考えれば色々出来るらしい。えいっ、と、ジャンプして飛び乗る。
ロイズも気付いて近くの足場から登って来た。
素早く足場を移動する。そして跳んで一気に距離を詰めると腕を大きく振りかぶった。
―ッガキイィン
ロイズは受けて、オーウェンごと上に弾き返した。
結構必死な表情だった。今のは重かったに違いない。
空中で再び狙いを定める。
今度はさっきよりも重くなるように。
「おらああああぁぁぁぁ!!!」
体が加速したのが分かる。
そして、思いきり、ぶつけた。
「あああぁぁあぁぁ!!!!」
ロイズはまたしても剣を受けていた。
が。
みしっ
足場にヒビが入った。
「―くっ」
踏ん張れば踏ん張るほどにヒビは大きくなり、
ついに、
砕け散った。