40夢の世界?
気がつくとよくわからない所だった。
一面真っ白な空間に、アズは一人でいた。
「ここは…夢の世界?でも…なんか違うような…」
確かに夢の世界と酷似していた。
しかし、違う所があった。
それは、ここには地面がある、ということ。
今まで夢の世界で地面があったことなど一度も無かった。そこにいる時は、常に浮いた状態だった。
いや、正しくは、浮いているような、浮いていないような、ひどく曖昧な空間で、でも地面なんてものは確実に無かった、と言える場所だった。
なのに、ここには地面がある。
しかも、よくよく見てみると、遠く、左右に壁のようなものが見てとれた。
呼吸を整え、ゆっくりと前に進んでみる。
地面は大理石に似ていて、歩くとコツコツと音がした。
そして歩いた音は、遠くまで反響し、ずっと上の方で静かにどこかに消えていく。
前だけを見つめて歩く。
進むにつれて、地面は大理石のタイルと化し、壁はどんどんと幅を狭くしていった。
「ぅわっ!」
と、突然足元のタイルが崩れた。それを切欠に周囲も崩壊を始めた。崩れたタイルはまっ逆さまに落ちていく。
「なんだこれっ!?」
アズは落ちないように必死で走ったが、それもむなしく崩壊に追い付かれ、下に落ちていく…。