38転送
気がつくと、見知らぬ土地だった。
子供がいた。
その子達は、昔のような格好をしていた。また、アズ達には気がついていないようだった。
「#@※⊇ΣН?」
「》∞§●☆@⊇⌒≪」
話している言葉が少しもわからない。
「ここは…」
「どこなんだ?」
アズとオーウェンは顔を見合わせた。
「@?$ー‘¢%∧!!」
「⌒∧$!!」
向こうで誰かが叫んでいるのが聞こえた。やはり、何を話しているのかわからない。
誰かが走ってきた。凄い形相でこちらに来る。おそらく、さっき叫んでいた人だろう。
「⌒∧$!!」
子供達に向かって何か言った。
聞いたとたんにみんな顔が青ざめた。そしてみんなで走って行ってしまった。
奇妙な事に先ほどから、アズ達の事を誰も見ていない。かなり近くにいたのに、だ。それは見ていない、というよりも見えていない、と言ったほうが正しい表現に思えた。
と、
遠くに煙が登っていくのが見えた。
そして、みるみるうちに煙は広がっていった。
「火事だ!」
「どんどん広がっていってる」
「このままじゃ巻き込まれる!早く逃げよう!」
「落ち着けって。よく考えろ。おかしいと思わないか?さっきの人達、何でみんな俺らに気がつかないんだ?それに、燃えている臭いもしない。これって変じゃないか?」
一呼吸ついてまたオーウェンは続けた。
「もしかしたら、ここは現実の世界じゃないのかもしれない」
「『現実の世界』じゃない?」
「そう。わかんないけど、例えば、夢の世界とか…。わかんないけど!でも、どうにもリアルに感じられないんだ」
「…」
何を思ったか、アズは近くにあった建物に触れてみた。すると、す、とその手は建物をすり抜け、宙を掴んだ。
「触れない…」
「やっぱり、現実じゃない」
「じゃあ、ここは何なんだろう…」
また向こうから人が走ってきた。どこか見覚えのある顔立ちをしていた。
あれは…
「ロイズ!」
今よりも少し幼い気がする。
そのままアズ達の横を走り抜けて行く。