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34突入前日
アズ
「ねぇ、何故君達が好きなときに夢に入れないのか知ってる?」
「どういう…」
「気づいてるはずだよ。入れないんでしょう?夢に」
ロイズは毎日アズの所へ来た。その『時』まで。大抵は他愛のない話を一方的に話して帰って行く。彼の喋り好きは素のようだった。
しかし今日は違った。
それは、とても興味のある話題だった。
「…確かに入れない。あんたが関係してるのか?」
「そうだよ。勿論」
こいつは本当に何なのだろうか。本当に人間なのか?
有り得なすぎてついて行けない。
「僕がコントロールしている。君と彼が会わないように」
「そんな事をする意味が無いだろう」
「意味はある。少なくとも彼はここに来るよ、近い内にね」
「何故あいつを呼ぶ必要があるんだ?関係無いと思うが」
「言うねぇ。ま、でも夢の世界を手に入れるには君と彼が必要だ、ってことが分かっている。だから手に入れるのは君だけじゃ足りないんだよ。彼も必要だ」
駄目だ、これをオーウェンに伝える事が出来ない。どうすればいいのだろうか。
「もうすぐだ」
楽しそうにロイズは去っていった。