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29内情
「何でこんな…」
思わず口から出た言葉は虚しく辺りに消えていった。
取りあえず引き返して何があったのか通りすがりの人に聞いてみる。運の良い事に、その人はジャーナリストだった。
「あの、ローイはもっと栄えている所だと聞いて来たんですけど…」
「そうなのか。栄えてたのはとっくの昔の事だよ。まぁ、とっくの、と言っても半年前位だけどな」
「どうしてこんな事に?」
「あんたも知ってるだろうが、ローイ帝国は3年程前から急成長を見せ始め、今や世界の一角を担う大国だ。だが、その無理な急成長の所為でありとあらゆる問題が発生した。それが今になって表に出てきた、それだけさ」
「どんな問題ですか?」
「やっぱり一番は人口爆発にもにた状況に陥ったが為に起きた食糧不足だな。金持ちと強い奴が生き残る国になった。ただ、内側のことは分からないな。何たって、閉ざされてるし」
そういう法律だしな、と苦笑いする。