2客
一週間後
客が来た。別に珍しいわけじゃない。一応店だし。
ただ、身長が低くて子供みたいだった。
黒ずくめの。
「いらっしゃい」
マスターが言う。
「ここでは用心棒を雇えると聞いたんだが」
「買うこともできるけどな」
俺は合いの手を入れる。
「買うこともできるのか…」
そいつは俺の方をじっと見つめた。多分。
フードと長い前髪で顔がみえない。
「こいつを雇う。買った方が安いか?」
「こいつか?ちょっとは腕は立つと思うが…」
「いくらなんだ?」
「…雇うなら日給1万。買うなら28万だ。どうする?」
基本的にマスターの店に来る奴は2、3週間程度の一時的なボディガードとして雇う奴が多いので、少々高くても、日給を払う。
それに俺はこの店じゃぺーぺーなのでこの額は安い方だ。
「そうか。買い、だ。少々高いが仕方がない。それにあまり持ち合わせてないんだ」
えぇぇ!?
買うの?俺を?
こんなガキが!?
「長い旅か何かなのか?」
マスターは出された金を数えながら聞く。
「そんなもんだ」
淡々としていた。
「はいよ、今からこいつはお前さんのもんだ。好きなだけこき使え」
「そんな顔すんな。目的を達成したら、どこにでも好きな所に行って良い」
どういう顔していたんだろうか、俺。
そんなこんなで俺は買われた。