28ローイの今
数日後、オーウェンはローイに到着していた。
「俺達はこれから帝都に行くから、ここでお別れだな」
「そうですね。ありがとうございました」
「グッドラック、だな」
「?」
「どっかの国の言葉で確か、良い旅を、って意味だ」
「そうなんですか。では、船長さん達も、グッドラック」
船長さん達は荷物を届けたら、また別の街に行くらしい。
因みに、俺は世界を旅している身だと言ってある。
「あぁ。グッドラック」
船長さん達は去っていった。
帝都には、通行許可証がないと入れないらしい。だから、俺は入れない。
仕方がないのでローイという国について調べる事にした。噂と実際のモノなんて大体間違っているものである。ローイも例に洩れないと思っていた。
調べる前までは。
帝都の周りは割と栄えていた。色んな店があったし、賑わってもいた。
しかし、少し帝都から、その賑わいから遠ざかるとそこはどこもかしこも貧困街だった。それでも、始めの方はまだ良かった。まだ本当の意味での貧困では無かったからだ。どんどん奥に進むと、見るからに悪化していった。最終的にはもう何も無かった。建物すらなく、地面は殆ど全てを焼き畑にした感があり、存在するのは死体だけだった。
「これがローイ…なのか?」
信じられなかった。