26ロイズ
「ロイズ!何でお前がここに…!」
「誰だ?アズ」
「僕はロイズだよ」
雰囲気が違う。船の時と。
見た目は子供なのに中身は余裕たっぷりの大人だった。
「僕はお世話係だったんだよ、ね?アイル。それともアズって呼んだ方がいいかな?」
「ふざけるな」
「…本名?」
「そうだよ!ていうか突っ込む所が違うだろ!」
ふふっ
ロイズが笑っていた。
笑いながらアズに歩み寄る。
「全く、若いって良いもんだね」
「どういう意味だ?」
「まあ、そんなのはいずれ分かるよ。どうでもいいし」
右手が
そ、っとアズの頬をなぜる。
「っアズに触んな!」
「おぉ怖い。ふふっ、この子が大事?」
「当ったりめーだ!ふざけんな!」
オーウェンは、何故自分がこんなに他人の為に必死になっているのか分からなかった。
「あれ、あいつはアイルが女だって知ってんの?」
「男だと言った記憶は無い」
「つまんねーなー。ま、どっちでもいいけど」
アズは、何故ロイズがここに居るのか、を考えていた。
夢に入れる人は珍しくはあるが、いないわけではない。そういう人は皆、ここを夢の続きか何かだと思っている。そして何事もなく帰って行く。だけど、ロイズは違う。明らかにここだと分かって来ている。オーウェンと俺が動けないのはこいつのせいなのか?だとしたら、一体何者なんだ?
「あぁ、そうだ。まだ最初の質問に答えてないね」
アズを見つめたまま喋る。
「どんな人なのかと思ってね。泉の守護者って」
「何でそんな事」
「それはまだ教えてあげなーい。ふふっ、ちょっと期待外れだったよ。守護者がこんな子供だなんて。あ、もうそろそろ帰らないとね。じゃあね」
ふ、っと
一瞬で白に溶けていった。
「アズ…」
俺はアズに呼び掛けたが、同時に、すぐに俺もアズも強制的に帰されてしまった。