24助けられて
いつから起きていたのだろうか、気が付くと意識があった。
目を開けてみる。
ゆっくりと。
始めぼやけていた景色は次第にきちんとした輪郭を持ち始めた。
薬品のような匂いがする。
何かが頭の片隅から表へ出てこようとしている。
何だ?これは…
意識をそちらに向けると一気にそれが押し寄せ、
途端に一番最後の記憶が蘇ってきた。
…そうだ!
思わず飛び起きたが全身に激痛が走り、また横になった。
「ーっ痛!」
「やっと起きたのかい?」
頭上で声がした。
「…お婆さん」
声がかすれた。
「全く、動くんじゃないよ。傷口が開いちまう。せっかく縫い合わせたんだから」
唐突に約束を思い出した。
「あの、俺、どのくらい寝てましたか?」
「ん?あー、2日だねぇ。今日は3日目」
「あ、いきなりすいません。順序が逆になってしまって。助けてくれて有難う御座います」
「そうだね。まあ、別に気にしちゃいないから」
そしてカチャカチャと何かをしている。
それを横目で見ながら、アズは今どの辺だろうか?と考えた。ここから一番近い港までは、遅くても1日。今はもう海の上か。
とにかく今はさっさと怪我を治さないとな。
ガチャッ
ドアが開いて、背の高い男が入ってきた。
あの人は…
「俺を運んでくれた人ですか?」
「そうだ。さっそくだがこれからの予定を発表する。まずお前はあと2日で全快しろ。それから俺が認めるまで剣技を磨き、戦い方を勉強しろ」
「あ、へ?え…っと」
「分かったな」
「わかりました」
有無を言わせない言い方で、YESしか受け付けていなかった。
−−−
一週間後
「色々と、有難う御座いました」
「さっさと行きなさい」
「まあ、精一杯がんばり」
オーウェンは歩き出した。
ローイに向かって。
−−−
「完全に慈善事業でしたね」
「まあ、あの子らが頑張らないとこの世界は滅びるからねぇ。それに、あの子は何にも持ってないから対価も何もないし」
「生活ギリギリアウトですよ。先月よりも赤字です」
「まぁ、まぁ、まぁ」
2人は家に入っていった。