23ローイ帝国
ローイに到着したらしい。
というのも、船から降りたと思ったら次は荷台に乗せられ、上から布を被せられ、周りが全く見えない状態でロイズが布越しに教えてくれたからだ。
因みに、表向きは帝への捧げ物として荷台に乗っているので声を出せない。
沢山の人の声がする。
大通りでも通っているのだろうか?
−−−
城についたらしい。
足音が乾いた音に変わった。
「例のものです」
「通れ」
再び歩き出す。
しばらく歩くと
「お前達はもういい。下がれ」
「はい」
コツコツと去っていく音がした。
そして
ギィ…
と聞こえる。どんだけ扉があるのだろうか。
こんどは担がれて進む。
コンコン
「失礼致します」
「入れ」
ドアの開く音はしなかったが、部屋には入ったと思う。
床に下ろされた。でもあまり痛くはなかった。ふかふかしている。
「ご報告申し上げます。ニスモにて見つかりました」
そう言って布を取る。
視界が開けた。
「本当にこいつなんだろうな?」
写真と見比べる初老の男。髪には少し白髪が混ざっていた。
「はい、間違いありません」
「取りあえず、あの部屋に連れていけ。私はあの方に連絡を取る」
−−−
アズが連れて来られたのは城の地下深くだった。部屋には大きな鍵がついていた。
「入れ」
部屋に入ると拘束していた縄を解かれた。しかしすぐに、天井からぶら下がった鎖により、両手を合わせて頭上で縛られてしまった。
一連の動作を終えると、兵士は去っていった。
ガチャリ、と大きな音が部屋中に響いた。