17追手
もう夕暮れ時だった。
ニスモから抜け出した2人は変装を解き小声で話していた。
「ローイには船に乗らないと行けないんだよな」
「そうなんだよ。しかも一週間くらいかかるらしいぞ、港まで。で、港から入り口までが2、3日。あと、これは噂だから本当かどうか分からないんだが、今ローイ帝国はかなりの貧困に陥っているらしいんだ」
アズが集めた情報を読み上げる。
「貧困?あのローイが?」
その時
がさっ
微かな音だった。
ぴたりと歩みを止め、2人は音のした方を見つめる。
「誰だ」
「ちっ」
がさっ、と音がしてそこから走り去る人影が見えた。
「待て!」
そいつは逃げ足が速く、なかなか追いつけない。
しかしそいつは行き止まりに迷い込んでしまい、アズ達に追いつかれた。
「くそっ!」
「お前は誰だ?あんな所で何をしていた」
「その質問に答える必要はない」
突然後ろから声がした。振り向くと、10人位の輩がいた。一目でニスモの破落戸とわかる出で立ちだった。
更に、気配から、そこらに隠れている奴らも合わせると50人位はいると思われる。
「罠か…、どうするアズ?」
「人数が多すぎる。一旦ここは引こう」
言い終わったと同時に一斉に襲い掛かってきた。
魔法
この世界では魔法を使える人はあまりいませんが、珍しいわけではありません。
魔法は何でも出来るわけではなくて、時間を止めたり、手から炎を出したりするのは無理です。万能ではなく、又、大量の体力と魔力を使うのでとても疲れます。
なので魔法が使えても羨ましがられる事はあまりありません。