14洋館
キャラが勝手に動いてどんどん収拾がつかない事になってく…
ドンドン
とりあえずドアを叩く。
そんなに強く叩いたつもりはなかったのだが、意外に大きな音が響いた。
ギィ…
ドアがひとりでに開く。
オーウェンがまず先に入り、続いてアズも入る。
すると、またひとりでにドアが閉まった。
「真っ暗だな…」
気持ちオーウェンに近付くアズ。その時、
「よぉく来たなぁ、ちび達」
ぬっ、と
空中に顔が出現した。お婆さんだ。
「!!!!」
アズは声にならない悲鳴をあげて、思わずオーウェンの後ろにしがみついてしまった。
しかし正確に言うと、見えたのが顔だけというだけであって、下にはきちんと体も付いている。
「久しぶりじゃのう、ちび達よ。でかくなったのぅ」
さっさと奥に入りゃー、とか言いながら歩き出す。
アズはまだ心臓がバクバクいっていた。大体の所、久しぶり、とはどういう意味なのか?さっぱり分からない。
「大丈夫か?」
オーウェンが小声で聞いてくる。
アズはこくり、と頷き、オーウェンから離れた。あまり見えないが気配は伝わったようだった。
次第にこの暗さに目が慣れたようで、色んなものがぼんやりとした輪郭を持って見えてきた。玄関はそのままホールになっていて一気に100人弱が入ってもまだまだ余裕がありそうだった。調度品は全てアンティークのようで、バロック様式で整えられているみたいだった。やや奥には2階に繋がる2本の階段が綺麗なカーブをえがいている。
その階段を上り、廊下を通って一番奥の部屋に着いた。
す
、と手を伸ばし扉の中心に触れるお婆さん。すると扉は音もたてずに開いた。
「ここが、私の部屋だ。お入り」
そう言って部屋に招き入れた。
木の陰では
「うわー、入っちゃったよあいつら。どーする?」
「入るしかないんじゃないか?やっぱり。あいつらを見つけた、って報告はもうしちまったし、会話も聞けるようなら聞けって言われたし他にやる事もないし」
「あー、モラトリアムしたいよー」
「だからもうする理由が無いっつの」
「やっぱ入るしかないかー」
非常に残念そうな声で喋る奴は嫌々ドアを開ける。もう1人が入ったのを確認し、ドアを閉めた。第1歩目を地面に踏み出したところ、そこに地面は無く、2人は真っ逆さまに落ちていった。