ザコ帰る メリーの気持ち、冒険者隊の気持ち
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side メリー
私達はようやくドルムーンについた。
この町はコウサが初めてきちんと気持ちを伝えてくれた2人の想い出の町。
(本当はコウサと2人で来たかったんだけどな。……コウサ、会いたいよ。コウサの声が聞きたいよ。コウサの側にいたいよ)
絶対に会えるって信じているけども、大切な恋人に会えない日々は辛い。
(私って、こんなにコウサの事が好きだったんだ)
ドルムーンの町のそこかしこには、コウサとの想い出が詰まっている。
2人でふざけあった道
2人でご飯を食べたお店
2人が初めてキスをした場所
想い出の中では、いつも2人なのに、今は私1人だけ。
(コウサ、メリーはコウサがいないと駄目みたい。コウサがいないだけで、こんなに弱くなってるんだよ。コウサ、早く会いたいよ)
side 功才
部屋にいつの間にか、それは置いてあった。
師匠にお願いした物を沢山詰める事ができるリュックサック。
一見、普通のリュックサックに見えるんだけども、付属の説明書を読んでみると
功才君、お待たせしました。
貴方の優しい師匠からの心からの贈り物ですよ。
このリュックサックには時空の力をもつ上級精霊古代龍ビルクローの新鮮な鱗や角をふんだんに使用した贅沢な一品です。
またビルクローが力を込めた魔石も使っていますので、色々な物を沢山詰める事ができますよ。
貴重な品だから無くさないでくださいね。
だってビルクローの鱗や角が再生するのには時間が掛かりますから。
試しに物を入れてみると、次々と入ったし取り出しも自由自在。
でも何でだろう、鱗に涙の痕があるんだよな。
でもこれなら大きい物も持っていけると思う。
それなら病害虫に強い麦や野菜の種も手に入れたい。
side ハンナ
自分は久しぶりにブルーメンに帰って来た。
本当はガーグ冒険者隊の戦い方を学んだらフランソワ乙女騎士団に復帰する予定だったんだけれども。
それでも戦い方よりも素晴らしい経験をする事が出来た。
「ハンナ、プルングさん大丈夫でしょうか?」
メリーは明るく振る舞っているけれど、たまに凄く寂しげな表情を浮かべる。
「ブルーメンはハンナとコウサが初めて出会った場所みたいだから、色々と思い出しているんだと思うんだ」
「ここでのサュキバス退治が切っ掛けで、ザイツ殿やプルングさんと知り合って…ハンナとも巡り会えたんですよね。今思えば不思議な巡り合わせですね」
「うん、コウサが異世界から喚ばれてメリーと知り合って、そして自分達も巡り会えたんだよね。だから絶対にメリーとコウサには再会してもらいたいんだ。また前みたいにガーグ冒険者隊のみんなで笑い合いたいんだ」
そう言って自分はイントルにもたれ掛かる。
フランソワ乙女騎士団にいた頃は、こうして男性に甘えるなんて考えもしなかった。
「ええ、ハンナお願いがあります。ザイツ殿が帰って来たら、ブルーメンで一緒にお芝居でも見ませんか?」
「うん!絶対に2人で見にこよう。でも自分は馬鹿だからイントルに色々と教えて欲しいな」
もし、もしイントルがコウサみたいに突然いなくなったら自分はメリーみたいに明るく振る舞えるのだろうか?
考えただけで、底のない闇に墜ちていく気がする。
メリーの為にも、早く塔に辿り着かないと。
side ガーグ
俺達は、ようやくブラングルの町に到着した。
ブラングルには何回か依頼で来た事があるから知り合いも多い。
けれども今はできるだけ知り合いと顔を合わせたくないんだよな…
「ガーグ様、ガーグ様はブラングルでもご活躍されたのですか?」
セシリーの奴、デュクセン領内に入ってから終始この調子だ。
1回宿屋で問い詰めたら
「だってガー君がデュクセンで、どんな人間関係を築いていたか知りたいだもん。エルフの恋人がいたらガー君の浮気相手も気後れして出て来ないと思うけど従者が相手なら出て来るでしょ?」
その上こいつは俺のダチが挨拶をしてくると、恭しく
「ガーグ様の御友人ですか?ガーグ様がお世話になった様でありがとうこざいます」
なんて頭を下げたりする。
セシリー曰く、世話役の勤めらしいが、ダチからはエルフの奴隷を買ったって疑われた。
(セシリー、その話し方止めねえか?つうかお願いだから止めて下さい)
(コウサさんが帰って来たら戻すよ。今目立ったら不味いでしょ?ガー君デュクセンにお友達が多いみたいだし)
(そのダチからエルフの奴隷を買ったって疑われてんだよ。なんで目立ちたくないんだよ)
(もしガー君が綺麗で可愛くて一途なエルフの恋人を連れていたら、どんな依頼を受けているか興味をもたれちゃうじゃない。そしたらメリーちゃんがコウサさんに会える日が遠のくんだよ?本当に私って世話役の鏡だよねー)
納得がいかない所が多々あるが、確かにザイツとプルングの嬢ちゃんは早く再会させてやりたい。
そしてザイツの師匠、ロッキってのは何者なんだ?
メリーとの再会はあるのか?
なきゃ物語にならないんですけど