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ザコ帰って来る 久しぶりの街

地球編も以外と長くなるかも

side 功才


幸いな事に、今回のイベントは会員制、しかも姉ちゃんも美才も親父の事務所に所属している。

その為、箝口令が素早く敷かれた。

財津姉妹の熱烈なファンの方々にはマスコミにバレたら、活動に支障をきたすと説明をしたらしい。

本音はマスコミにバレて大騒ぎになると親父に怒られるのと、暴走したファンが未成年でお偉いさんの息子だから穏便に済ませたかったのだろう。


これはありがたい。

だってマスコミなんて来たら財津姉妹を助けた男として俺に注目が集まって自由な行動が出来なくなっちまう。


「さてと、姉ちゃん達は次の現場へマネージャーさんに送ってもらうんだろ?俺は別行動をするから、また後で」

 

「功才、ここがどこだか分かってるの?」


「いや、日本だろ?」


「じゃなくて、ここは埼玉よ。家まで帰るあてがあるの?」


ちなみに俺ん家は田園調布にある。


「そんなの歩けばいいだろ。財布は向こうの宿にあるし」


また昼だから、夜までには着くだろ。


「お兄ちゃん何を言ってるの?どれだけ距離があるか分からないの?」


「美才、向こうでの移動は徒歩が基本だったんだぜ。野宿にも馴れたから平気だよ」


日本なら魔物が出る心配はない


「お兄ちゃん、お金ないんでしょ?ご飯はどうするの?」


「だから大道芸をしながら稼ぐって」

 

また頭に鈍い痛みがはしった。

本日2度目となるお姉様からの拳骨。


「この馬鹿功才っ、私達がどれだけ心配していたか分からないの?それに何よ、その他人行儀な態度は!何で姉ちゃん金を貸してって素直に言えないのよ」


「いや歩ける距離なんだし、急ぐ訳じゃないんだからさ」


「その恥ずかしい格好で歩いて補導でもされたらどうすんのよ。ほらっ1万円あげるから服を買って電車で帰って来なさい」


「そんなにいらないって。スタッフジャンパーと帽子があればいいよ」


「電車代と食材代に使いなさい。余ったら返せばいいだけでしょ」


「でも俺、家の鍵を持ってないんだよね。だから入れないんだって」


家はセキュリティーが万全なんだから。


次の瞬間、ガチャンッと大きな音と共に鍵が机に叩きつけられていた。


「お姉ちゃんの鍵を貸してあげる。もし先に帰ってなかったらわ・か・る・わ・よ・ね」


はい、お説教ですよね。


「美才、久しぶりにお兄ちゃんの卵焼きが食べたいな…」


美才の必殺技上目遣い攻撃が炸裂


「分かった、分かりましよ。美才は卵焼きにカボチャのポタージュ、それとおろしハンバーグ。

姉ちゃんはペペロンチーノに温玉サラダ、トマトのコンソメスープでいいんだろ」


半年たっても姉ちゃん達が好きなメニューがスラスラと出てくる。


「やっーたー、お兄ちゃんのご飯だ。美才お仕事がんばろ」


ったく、飯位で目を潤ませやがって。


(功才、美才は貴男が居なくなったのを知ってから毎晩泣いていたんだからね。今も功才に心配を掛けない様に我慢をしてるんだからね!)


(分かったよ。こっちにいるうちはきちんと兄貴をするから)


「それならよろしい。あっ、それと」


「んだよ。まだ何かあるのかよ」


「功才、お帰りなさい。貴男いい顔になったじゃない」


多分、美才が泣くのを我慢したのも姉ちゃんの指示だろう。


(メリー、迎えに来てくれたら俺の姉ちゃんと妹を紹介するよ。3人共俺の大事な人だから仲良くして欲しいな。つーか早く師匠の仕掛けに気付いてくれよ)



side イントル


メリーさんについていたハンナが部屋から出て来ました。


「ハンナ、メリーさんの様子はどうでしたか?」


ハンナは顔を伏せたまま私の胸に顔を埋めて、ポツリポツリと呟く様に話し始めたんです。


「メリー泣かないんだ。遠くを見たままコウサ、コウサって呟いて。イントル、自分はどうしたらいいの?自分は何もできないのかな」

 

「みんなでザイツ殿を探しましょう。私達が諦めたらメリーさんは本当に希望を無くしてしまいますから」


「自分、自分最低なんだ。あの時コウサが居なくなった時にね、心のどこかでイントルが助かったって喜んでいた自分がいたんだよ。自分、メリーに顔向けできないよ」


最後にはハンナの声は涙混じりとなっていました。



side ハンナ


暖かくて大きな手が自分の頭を優しく撫でてくれる。


「ハンナ、自分を責めていても何も変わりませんよ。今メリーさんの心に寄り添えるのは親友の貴女だけなんですから。そして貴女が辛くなった時には私の所に来て下さい。私がハンナを支えます。私は貴女の恋人なんですから」


イントルは優しい言葉と共に自分をギュッと抱きしめてくれた。

大事な人ができた今だからメリーの辛さが分かる。

前にイントルが教えてくれた、本当に悲しい時は涙も流せないって。 


「ありがとうイントル自分決めたよ。絶対にメリーに嬉し涙を流させてやるんだ」


side 功才


スタッフジャンパーと帽子を着て控え室から出る。

スタッフの中には顔見知りの人もいたから文字通り顔パスで通り抜ける事が出来た。

これも親父が行方不明と騒がずに海外留学扱いにしてくれたお陰。

今更、親父を恨む気もないから精々利用させてもらうつもりだ。

俺ん家がある田園調布まで、電車だと大体50分くらいで着くだろう…

吊革にはキチンと両手で掴まり痴漢と間違われないようにする。

スタッフジャンパーを着たまま痴漢と間違われたら大変だし。


(えっ、えー。電車ってこんなに早かったけ?ビルってあんなにデカいんだっけ?それに人が大過ぎ!)


そして乗り換え駅の渋谷に着いての感想。

あれはレイヤーの人達だろうか…


(そんな目立つ格好で冒険はしません。つうかそんなヒラヒラした服で戦える訳ないだろ!日本人がエルフのコスプレなんて無理があるんだって)


そして昔はビビりまくっていたヤンチャなお兄さん達からは威圧感を全く感なかった。

あんなのガーグさんやオーガと比べたら可愛いもんだよ。

だって、あの人には街のチンピラも道を譲っちゃうんだもん。

ガーグさんの見た目は戦士5・チンピラ3・王子2・エルフ0で構成されている。

少し寂しかったのは、馴染みの筈のスーパーで買い物をしても、誰にも気付かれなかったんだよな。



―――――――――


本当に無駄にでかい家だよな。

久しぶりの実家を見ての感想は懐かしさではなく、呆れであった。

ハウスキーパーにより、モデルルーム並の清潔さが保たれた生活感ゼロのリビングを抜けてかつての俺の城、台所へ。

ちなみにハウスキーパーはの人達の担当は俺と姉ちゃん達の部屋がある2階以外を掃除してくれている。

来る時間も決まっているから顔を見た事はない。

案の定、冷蔵庫の中も生活感がゼロ。

調味料も、物によっては俺がいた時から減ってないし。

しかし俺のお手製ドレッシングや照り焼きソースとかは空にされていた。


姉ちゃん達が帰ってくる時間に合わせて料理を仕上げていく。

とくに美才は卵焼きをレンジでチンするのを許してくれないから大変。

まぁ卵焼きがあればご機嫌なんだから、ある意味楽なんだけども。



次辺りで山田先輩か幼な馴染みと絡むかも


今回の移動手段に関してはいろんな人が協力してくれて本当に助かりました。

あぁ1回東京に取材に行きたい。

今の高校生ってどんな遊びをしているんだろ

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