ザコのエルフィン滞在記 塔の試練
文才が欲しい、今日このごろ
side 功才
「真っ暗だな。なんも見えねえ、メリー気配は感じる?」
「部屋の真ん中に辺りに誰かいるみたいだよ。コウサ、何かあったらメリーが援護するね」
メリーが俺の手を離して距離をとった瞬間、ズンッと重い音が部屋に響いた。
「しまった!メリー大丈夫か?」
「彼女は無事だよ。でも君の声は届かないよ」
その声と同時に明かりが灯る。
声の主は銀色の髪をした美少女。
「用件はなんすか?」
多分じゃなく、絶対にこれが試練なんだと思う。
「もう、怖い顔をしないの。僕はこの塔に住む妖精、君が好みのタイプだから会いに来ちゃった」
この闇の中で灯りも付けずに待っていた人間を俺が警戒しない訳がない。
「それと俺とメリーを引き離すのに何の意味があるんすか?」
「君とお話するのに邪魔だからだよ。僕は君を独占したいんだ」
いやいや、それはないだろ?
つうか、この試練で落ちた人もといエルフはいるのか?
「俺の事を好みって言ったっすけど、どのヘんが好みなんすか?」
「うーん、顔が一番かな」
断言してやる、俺の顔が好みなんて話自体がおかしい。
「へー、この暗闇で顔が見えたんすね。それとも試練を受ける人全員にそれを言ってるんすか?」
「試練?何の事かな?僕は知らないよ」
はい、答えがでました。
「つまり試練を受けに来た人全員に同じ事を言ってるんすね」
「やだなー、僕は試練を知らないって言ったばっかりじゃないか」
「試練の担当者なら、もう少し嘘をつく勉強をするんすね。試練用の塔に住んでいる噂好きの妖精が試練に興味を持たない訳ないんすよ」
人に興味がない精霊ならともかくね
「僕は最近住んだばかりで、試練の事を知らなかったんだよ」
「試練は知らないのに壁の発動方法は知っていたんすか?美しい容姿を好む妖精が不細工な俺の顔に興味を持つ訳がないんすよ。まぁ、容姿が美しいエルフには通用したかもしれないっすけども。言っておく、俺は貴方達の想像以上にひねくれてんだよ」
見た目には自信はないが、人を疑って言葉の粗を探すのには自信があるんだよ
同刻 イントル
「貴女が妖精?エルフの人達には通じた嘘でしょうけども私はトロルですよ。貴女が妖精じゃないのはバレバレです。それに私には種族の壁を越えるって言う約束があるんです。貴女の悪ふざけに付き合う時間なんてありません」
同刻 ガーグ
「精霊が美人局かよ。随分と俗な精霊もいたもんだな。試練役なら塔に閉じこもってねえで色街でもう少しましな嘘を身につけてきな。それによ10数年も惚れている女が後ろにいるのに誘惑にのる訳がねえだろ」
side 功才
反論が出来なかったのか自称妖精は姿を消した。
「コウサ、今のが第一の試練なの?」
メリーも色々と突っ込みたいらしい。
「容姿で相手を決めていないかと恋人から見えない所でも誠実かどうかを確かめる試練なんだろうな」
ちなみに俺と妖精の声は、ばっちりメリーに聞こえていたらしい。
やべー、危うく貴女みたいな美少女が俺を好きになる訳がないって言うとこだった。
2階も同じく一本道、で部屋に入ったら魔法使いみたいな格好をした爺さんが出て来た。
「お主が望むなら顔を美少年に変えてやろう。お代はその少女じゃ。美少年となったのならモテまくりでハーレムも夢じゃないぞ」
誘惑の試練の次は取り引きの試練かよ
……つうか俺の見た目で判断しやがったな。
「はー、誰がそんな馬鹿馬鹿しい話にのるんすか?見た目が変わってモテても意味はないっすよ。それに俺にはハーレム維持できる器量なんてないっす」
「全ての女がお主に惚れるのじゃぞ。男なら興味があるじゃろ」
「あんたが言うモテない顔の俺に惚れてくれた女がいるんすよ。だからハーレムなんて必要ないっす。見た目のコンプレックスに付け込みたかったみたいっすが。言っておく、俺のコンプレックスは見た目だけじゃないんだぜ」
同刻 イントル
「お主が望むなら最高の知識を与えよう。お代はその少女じゃ」
「くだらないですね。知識は己の人生を充実させる為にあるんです。知識を得る為に最高の宝物を手放したら本末転倒ですよ」
side ガーグ
「お主が望むならこの世界をくれてやろう。お代はその少女じゃ」
「ったく、これだから素人はお気楽でうらやましいぜ。あのな手に入れると国を治めるのは別問題なんだぜ?うちのしたたかババアでもエルフィン一国を治めるのに胃を痛くしてプライドを捨てて、やっと治めてんだよ。国を治めるきつさも知らねえ奴が世界だなんだぬかすんじゃねえ」
side 功才
3階で、とうとう来ちゃいました。
討伐っていうまともな試練が。
「ここまで良く辿り着いた。お主達2人の力を合わせて魔物を倒すがよい」
なに?その上から目線は?
「コウサ、ようやくメリーの出番だね」
メリーさん、今から屁理屈をこねて戦闘を回避するつもりだったんだけど
メリーのやる気に応えるかの様に部屋の真ん中にある魔法陣が光り、真っ赤な3mちかいトカゲ現れた。
「ちきしょー、初対面の魔物かよ」
「コウサ、気をつけて。あれはファイヤーリザード、火を吐く魔物だよ。あの堅い鱗に矢は効くかな」
火を吐くか…
「先ずはシールドボール」
タイミングよくファイヤーリザードが火を吐いてくれた。
なんとか火は防げたし、予想も当たった。
「メリー俺が合図をしたらをウインドウアローを撃って」
ファイヤーリザードは火を吐く前に、手足を踏ん張って大きく息を吸い込む。
だから、踏ん張った瞬間に
「メリーお願い」
メリーが矢をつがえてる間に矢に対して
「スモールシャープ」
鋭さをましたウインドウアローはファイヤーリザードが大きく息を吸った事により口に吸い込まれていく。
鋭さをました矢がファイヤーリザードを串刺しにした。
「さっすがコウサ、メリーの自慢の彼氏だよっ」
同刻 イントル
「イントル、あれはトロル?でも一回り大きい」
「上位種族のボストロルですよ。こないだのトロルとは別に考えて下さい。トロルとボストロルでは、同じトロルでも能力が全く違います、言うなれば競走馬と農耕馬の差です」
「わかった、でもアレはイントルより弱い。自分には分かる」
「ええ、私達2人が相手なら尚更です」
格下であるトロルと種族的に力が劣る猿人族の雌が、自分の得意とする近接戦を挑んできたのを見てボストロルは勝利を確信していた。
ボストロルの武器は丸太を粗く削っただけの棍棒、それを思いっ切り振り上げて2人を潰せば終わりな筈であった。
「そんな大振りに当たる冒険者はいませんよ。……それに隙あり過ぎです」
イントルは最低限の動きで棍棒をかわすとミスリルスティックでボストロルの手首を狙う。
攻撃を加えたタイミングは空振った棍棒が地面を叩き、手首に負担が集中した時であった。
手首を砕かれた痛みにより泣き叫ぶボストロル。
「流石はイントル。次は自分の番だ」
ハンナが狙ったのは靴を履かない為に剥き出しになっているボストロルの足の親指。
「ハンナよくやりました。あのボストロルは強い、恐らく今まで一撃で敵を倒してきたのでしょう」
「うん、だから守りが弱い。守りを考えない大振りな攻撃に戦いの最中に痛みで我を忘れてしまった。イントルきめるよ」
イントルの棒術で足下をすくわれたボストロルの頭にハンナの斧が振り下ろされた。
同刻 ガーグ
「オークかよ。しかしコイツは…」
「ガー君、そのオークは精霊の加護を受けているよ。普通のオークじゃない」
オークの筋肉で弓矢が通じねえ上に、精霊魔法も無効な訳か。
「関係ねえよ。加護があっても魔法はつかえねえだろ?それにこのレベルの精霊魔法なら無効化できら」
親父達の仇をとる為に精霊魔法の勉強はしまくった。
「黒き光の精霊よ。契約により全ての加護を無に帰せ。 アンチマジック……さぁ猪狩りの始まりだ」
攻撃手段を持たないセシリーに危害が及ぶ前に片をつけてやる。
感想お待ちしております
頑張って3話くらい書きためたい