幕間 シャルレーゼ秘話
次からは本編にいきます
side シャルレーゼ
エルフィン聖王国の城から少し離れた場所に、それはある。
本人の体格には似つかわしくないコジンマリとした墓には儂の最愛の男が眠っている。
ガープは王族ではない為に王家の墓場で弔う事ができずに、森の中に小さな墓を作った。
儂とガープの思い出の場所にはガープを始め儂の大事な家族が眠っておる。
(ガープ、儂等の曾孫のガーグは沢山の仲間に囲まれて賑やかにしておるぞ。お前も息子のガードや孫のガーボ達とそっちで、賑やかに暮らしておるのか?)
それに答えるかの様に風が優しくシャルレーゼの緑色の髪を撫でた。
(早く儂を迎えに来ぬか、この馬鹿ガープ。儂はお前に思いっきり甘えたいんじゃぞ)
目を閉じると次々に浮かんでくる。
ガープがくれた幸せな日々が。
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100年前のエルフィン聖王国
「父上、なぜ猿人族を我が国に招いたのじゃ?」
「シャルレーゼ、事情が事情じゃ仕方あるまい。丁度良い機会だ、お前も彼等に同行してデュクセンに行け」
へっ?
「父上なぜ儂が同行せねばならないのじゃ!」
猿人族の国なぞ汚らわしい
「彼等の国でエルフが暴れておるそうだ。名前はセント・ブラックローズ」
その名前は忘れたくても忘れられない。
何しろ儂の元婚約者なんじゃから
「わかりました。彼等に同行します…」
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しかし猿人族の男は良く喋るもんじゃの。
特にブレイズとか言う男は、エルフが珍しいのか
「姫様足は痛くないですか?」
「姫様外の世界はいかがですか」
とうるさくて仕方がない。
それにたいして精霊の加護を受けてない癖に炎の勇者ブレイズ・水の僧侶ウォルター・風の格闘家ウインドウと名乗って恥ずかしくはないのか?
そんな中1人だけ儂等から離れて歩いている男がおった。
強面の顔に分厚い髭、厳つい体をした、その男は気怠そうに1人後方を歩いている。
「お前の名前は何と言うじゃ?」
「ガープだよ」
「名前を聞いたんじゃから、ちゃんと名字を答えんかい」
「ちっ、チョーマだよ。ガープ・チョーマだ」
「これまた随分と可愛い名前じゃの、チョーマちゃんか」
「ガープだ。ちゃん付けは止めろ」
顔を赤くして可愛いのおー。
これなら退屈しないで済みそうじゃ
「儂の方がお前より遙かに年上なんじゃぞ」
まっ儂に認めさせたら考えてやるわ。
「それでチョーマちゃんは何で離れて歩いているんじゃ?儂に話しかけれないで拗ねておるのか?」
「誰が拗ねるかっ!あんな風に話し込んでいたら誰かが背後からの攻撃を警戒しなきゃいけないだろ?」
「それならもう少しシャッキッと歩かんか。ダラダラとみっともない」
「これはな、いざって時の為に脱」「脱力じゃろ?知っとるわ」
「なら聞くなー!」
期待通りの反応じゃの
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「おいお前等メシが出来だぞ!」
ガープは顔に似合わず料理が出来るらしいのじゃが味が心配じゃ。
猿人族は肉料理を好むらしいからの。
「ガープさん今日のメニューは何ですか?」
穏やかな口調で聞いているのは、確か僧侶のウォルターとかいう奴じゃ。
「今日はジャガイモのシチューだよ」
それなら肉を除ければ食えるかもしれん。
「どれ味は…うまいっ。しかも肉も入っておらぬ、香辛料も少なめでエルフ好みの味付けじゃ」
しかも勇者や武道家の分には炙った干し肉を後から入れた所をみると儂に気を使っての料理らしい。
「シャルレーゼ様、ガープのご飯は気に入りましたか?」
「ああエルフでも食える味付けじゃ」
「ガープさんが言ってましたよ。"姫さんは俺等のわがままに付き合ってくれてんだ、飯位は楽しんでもらわねえとな"だそうです」
後からガープに何であの時、儂に言わなかったかを聞いたらアヤツは顔を赤くしながら、何も聞かない方が飯を楽しめるだろと言ったんじゃよ
それからガープと話す機会が増えて気づけばガープの隣にいるのが当たり前になってっおった。
それは儂がちょっと席を外していた時の事。
ガープとウォルターが話をしているのを偶然に聞いたんじゃ。
「ガープさんはシャルレイン様の事を好きなんですか?」
「俺は無駄な事はしねえ主義なんだよ。俺なんかじゃ釣り合わねえ女を好きになっても苦しいだけだ……」
嬉しすぎて心が痛くなったのを今でも覚えておる。
ガープも儂の事を好いておると分かったのじゃからの。
そのお陰でセントと対峙した時も冷静でいられたしの。
「シャルレイン可哀想に、猿人族に無理矢理連れて来られたんだろう?さぁ僕の元へおいで」
「儂は自分の意志でここへ来たし、お前なんぞの所へ行く気はないわ」
ただでさえガープの前で元婚約者と話すのが嫌なのにセントのウザさに腹がたった。
高位の精霊術が飛び交う中では猿人族が出来る事は皆無と思っておった。
なのにガープは単身飛び出して満身創痍になりながらもセントを斬り捨て地面に倒れたんじゃ。
儂はガープを抱きしめながら問うた。
「ガープしっかりせい!なんでこんな無茶をしたんじゃ?」
「姫さんに惚れた男を殺させる訳にはいかねーよ。まっそいつに対するヤキモチもあったけどな」
馬鹿……
「儂か惚れている男はお前じゃ。種族も地位も関係ない!儂が欲しいのはお前との未来じゃ」
そう言うとお前はは顔真っ赤にしながら笑ったの。
そしてこの森でお前について行く事を話しプロポーズされたんじゃよの
ガープ息子や孫と一緒に待っておれ
曾孫のガーグの冒険話を土産に持ってくからの
書きためがなくなった
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