幕間 セシリーの思い出
リクエストがあったセシリー視点の昔話です。
女性視点は難しい
side セシリー
ガー君はあの時の事をどう思っているんだろうか?
あの時私が大人しくしていればガー君は冒険者なんて危ないお仕事をしないで平和にお城で暮らせていたのに…
ガー君と始めって会ったのは私が6歳の時。
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「おかあさん、おさるの人こわくない?」
「セシリー、これから会うガーグ様は貴女がお仕えする方なのですから、おさるさんなんて言うんじゃありません」
この頃の私は猿人族はお話に出てくる怖い猿みたいな存在だった。
ガー君を初めて見た印象も怖いだったんだけども。
だって、エルフは細身な人しかいなのにガー君は、その頃から筋肉質なやんちゃ坊主だったんだもん。
「セ、セシリー・エルレインです。よろしくおねがいします」
「ガーグだ。よろしくな」
そう言ったガー君の笑顔はお日様みたいだった。
今じゃ頭がお日様だけど。
それでも幼い私にとって猿人族のガー君は怖い存在だったのよね。
あの時までは…
「おにんぎょさん、かえしてよー」
よくある話で私は悪戯坊主に人形を取り上げれていた。
相手は確か、その頃で8才か9才だったと思う。
貴族の子供にとって私は丁度良いからかい対象だったに違いない。
その頃の私は大事なお友達を取り上げれても泣くしかできなかった。
「エルフってなさけないなー。おんなをいじめてたのしいか?」
「チビ猿がうるさいんだよー」
相手はガー君より年上だから舐めてかかったんだろう。
「ぼうけんしゃをなめるなー」
今考えると何の不思議がない事なんだけども、エルフは背が高くても筋力はつきにくい体質、かたやガー君は冒険者一家に育ったから剣術やトレーニングを、その頃からしていたんだって。
「ほらよにんぎょうだ。次とられた時はいらいをうけてやるからな」
ガー君は照れくそうに人形を渡してくれたっけ。
私は世話役としての勉強、ガー君は礼儀作法や神聖魔法、精霊魔法、剣術の勉強。
そしてあいた時間にはミッシェルと3人で遊んでいた。
でもいつの間にかガー君の周りにはエルフの子供が集まる様になったんだよね。
ガー君は口も見た目も悪い癖に面倒見が良いから。
そして14歳になると、私のガー君への気持ちが確かな物になっていた。
でも私だけじゃなかったんだけどね。
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「皆様は誰がお好き?エンリト様?ミッシェル様?……それともガーグ様?」
「ガーグ様はちょっと、私は断然ミッシェル様ですわね」
「私はエンリト様です」
ガー君は、ある程度の家柄の娘に不人気だったけども…
「ねぇねえみんなは誰が好き?ガーグ様?ミッシェル様?……それともエンリト様?」
「断然ガーグ様だよ。王族なのに偉ぶらないし口は悪いけど優しいし」
「だよねー。こないだの家の弟が足をくじいた時にわざわざおぶって来てくれたんだよ」
「ちょっ、ミリー貴女ガー君に何させるてるのよ!ガー君はエルフィンの王子なのよ」
「それならセシリーのガー君の方が失礼じゃん」
「レニ、ガー君はガー君公認だから良いの。それに私はガー君の世話役なんだからね」
今思えばあの頃は楽しかったな。
会おうと思えば直ぐにガー君に会えたんだし。
そして16歳の試練の時
「ガー君、ハンカチは持った?傷薬は?」
「セシリー、墓参りに行くだけだぜ?心配すんなよ」
でも私は心配でガー君の後をついて行ったんだ…
王家の墓近くに魔物が現れる事なんて殆どななかったから、でも殆どは絶対じゃないんだよね…
ガー君が王家の墓に入ろうとしたその時に私に魔物が襲い掛かってきた。
「セシリー?ちっオークか!」
気付いた時には血まみれになりながらもガー君がオークと戦っていたんだ…
ガー君が怪我をしたから試練は中止になり、その数日後の事。
家に引きこもっていた私をミッシェルが訪ねてきた。
「ガーグがエルフィンを出るそうです。純血派の策略ですね…」
嘘?ガー君がいなくなる?
私の所為?まだ何も伝えてないのに?
「ガーグからの伝言です"そのうちにエルフィンに聞こえる位の冒険者になってやる。楽しみにしておけ"だそうですよ」
「シャルレーゼ様は反対をされなかったの?」
「ガーグの意志に任せたみたいですよ。冒険者はガーグの夢でしたし、あっ私も何年かしたらエルフィンを出ますから」
私はミッシェルも居なくなる事よりも、ガー君が何日かしたらエルフィンから出て行く事の方が重要で気付いたら走り出していたんだ。
「ガー君行っちゃうの?ごめん私が邪魔しなければ…」
「何言ってんだ。俺は王族より冒険者になりたいんだぜ?謝る必要はねえよ」
「でも私はガー君に行って欲しくない…」
「バーカ、一生の別れじゃねえんだからよ。気がむけば帰って来るさ」
あの時は若かったなー。
素直にガー君を待とうって思ったんだから。
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そして今
「ガー君!」
「んだよ。何か用か?」
「ガー君は私と再会できて嬉しかった?」
「お前な、そんなのは幼馴染みなら分かるだろ?」
「分かんないから聞いてるんだよー」
私はガー君と腕を組む
せっかく再会できた大切な人を二度と逃さない為に
なんとイ・コージをオリジナル小説にしました。
良かったら見て下さい