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幕間 イ・コージのその後3

やばい、元はネタキャラだったイ・コージが

side イ・コージ


騎士団のお坊ちゃま達は簡単に魔法装備を作れといいますけど、これは完璧なオーダーメイド。

騎士団に支給されている装備に基本の軽量・疲労回復・沈着の他に個人の希望や素養に合わせた魔法を付与しなければなりません。


…………


貴族のお坊ちゃま達って、何でこんなに自由なんでしょう。


要望1 疾風の様に早く動ける様にして下さい

君の筋肉がズタボロになりますし、動態視力もついていけないかと



要望2 光の魔法を付与して欲しい

君の実力だと、鎧が輝く位です


要望3 女にモテる様にしてくれ

鎧を脱いだ途端に振られますよ


「どうしたものですかね」


あまりにも馬鹿馬鹿しい要望ばかりで溜め息が出て来ます。

厄介な事に彼等の要望にある程度答えないとクレームが出かねません。


「イ・コージさん溜め息なんてついてどうしたんですかー?幸せがにげちゃいますよー」


話掛けてきたのは相変わらずボサボサ髪に白衣と眼鏡が特徴の助手リア・クーロゼさん。

私から逃げる幸せがあるんなら、お目に掛かりたいんですけども


「これですよ。これが原因です」


私はリアさんに騎士団からの要望書を手渡しますた。


「ありゃー…これはまた身の程知らずばっかりですねー。こんなの無視しちゃいましょうよー」


「そうもいきませんよ。とりあえず要望書を区分けします。先みたい人達は派手さがあれば満足しますから。逆にこれなんて研究者心をくすぐってくれますね」


「普段の生活にも使える動かし易い篭手ですかー?」


「ええ、その方は戦場以外にも危険があるのを分かっているようです。手をやられては剣も槍も使えませんからね」


戦場でロープを使ったり水分補給の度に篭手を外す訳にはいきませんからね。


「それなら鉄の篭手に軟化を付与するんですかー?」


「それだと鉄が金属疲労を起こしかねませんから丈夫な魔物の皮に硬化の魔法を付与します。私は徹夜をしますけどリアさんは帰って下さいね」



side リア


イ・コージさんは子供みたいな笑顔をしたかと思ったら突然張り切り始めました。


(イ・コージさんは私よりもずっと年上だけど、あんな無邪気な笑顔もできるんだー)


それよりも、せっかくイ・コージさんの魔法付与が見れるのに見逃す手はない。

魔法付与もただ付与すれば良いって訳じゃないらしい。

皮手袋に硬化を付与すらなら手首や手の甲に重点的にまわる様にするし、逆に手の平とかは簡略化した方が良いとか、経験に裏打ちされた技術がある。


「私は助手ですから一緒にお仕事をしますよー」


side イ・コージ


はい?!


「駄目です。第一リアさんは何歳なんですか?」


「今年で二十歳ですよー。何で駄目なんですかー?」


「二十歳?!駄目です!親御さんや彼氏が心配しますよ」



「家は放任主義ですし、彼氏はいないから大丈夫ですよー」


まぁ研究しかしませんし、若い女性と私に何かあるなんて考える方が非現実的ですよね。


「仕方ありません。でもハードなので夜食や仮眠セットを用意してきて下さい」


私は寝ませんけどね。

納期っていう会いたくない腐れ縁な親友の姿が見え隠れしていますから。


先ずは区分けからです。

派手にしておけば満足する方と新しい工夫が必要な方。

研究所にある触媒で補える魔法と発注が必要な魔法。

付与する魔法の確認も必要です、後から

"これじゃないんだよねーっ"

とか言われた困りますし、それなら途中で言えこの野郎!!完成前に何回も確認したじゃないか!

なんて腹の中で叫んだ事が何度もありましたし。


そして個別の方針が決まったらスケジュール作り。

仕事はなくても騎士団ですから装備がなくては困ります。

特にここの騎士団は装備がないと騎士か遊び人か不良か分からないみたいですから。


…………


side リア


私は何度か仮眠をとったけどイ・コージさんは殆ど寝ていない


「明け方の空気って大好きなんですよね。ヒンヤリとしているけども夜と違って、これから一日が始まるって気持ちになるんですよ。晴れた日なんか年甲斐もなくワクワクするんですよね」


徹夜明けの所為かイ・コージさんは多弁になっている。


「イ・コージさんは眠くないんですかー?」


「何かをしている最中は大丈夫ですよ。それに意志確認がとれるまでは、やれる事が減りますからね。その時間で睡眠をとりますよ。あっリアさんは帰って下さい、付与は早くても明日からですし」


この人は私がスケジュール管理をしないと、直ぐに自分の生活や時間を犠牲にしてしまいそうだ。


「イ・コージさんは何でそんなに頑張れるんですか?他の研究所はもっとお気楽ですよー?」


巨大ファイヤーボールを研究している部署なんて定時出勤・定時帰宅なんだし。


「仕事だからですよ。特に今回の仕事は人の命に関わりますからね、騎士の皆様には親御さんや友達、恋人がいます。私にはその人達に対する責任もありますから。私には何もないからって手を抜く訳にはいきませんよ」


私は感心もしたが、でも腹もたった。


「何もないってなんですか?今隣には可愛い助手がいるんですよー」


ボサボサの髪に寝起きで化粧もしていない娘が可愛いって言うのは我ながら厚かましい感じもするけども。


「だってリアさんは私の部所に希望して来た訳じゃないでしょ?おじさんには関係ないじゃないですか」


イ・コージさんは苦笑いをしている。

言葉はきついけども表情は優しく悪戯坊主みたい。


「それなら今ここでイ・コージさんの助手に正式に立候補します」


ここは魔法王国ルーンランド、実力のある魔術師の元には弟子が集まる。

名は出せずともイ・コージ部署に希望者が来てもおかしくはない。

私には一番弟子のポジションを譲る気持ちは全くなかった。


「…そうですか。それなら改めてよろしくお願いしますよ」


イ・コージさんの顔が赤いのは朝焼けの所為なのか、照れているからなんだろうか。

私の中で色んな物が動き出した感じがした。

これは幕間じゃない気が…

ザコの番外編でイ・コージがオリジナルになりそうな予感が

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