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幕間 イ・コージ その後2

まさかのイ・コージ幕間が三部作に

side ヤ・ツーレ


ルーンランド謁見の間



「新しい客人の様子はどうだ?」


「早速大きな成果を上げています。ゴブリンの被害が激減しただけでなく、イ・コージの作ったマジックアイティムによる収入により国庫が潤っております」


「デュクセンも愚かな男よ。家柄や騎士道ばかり重んじて手元の宝を逃すのだからな。彼の者なんとしても我が国に留めよ」


「我が王の命とあらば」


先ほどから私にお声を掛けて下さっていたのは、ルーンランドの王フサルク・ルーディック様でこざいます。

フサルク王は家柄等に関係なく実力に応じて役職をつけて下さる聡明な王。

本来なら私等は王の側にいるのも不敬と見なされても仕方がない生まれなんですから。

その敬愛する王からの命にどうやって応じましょう。


先ずは一番身近な者に聞いてみますか。


リア・クローゼ

彼女をイ・コージの助手にしたのはリアの価値観が魔術にのみにあり、イ・コージを見た目で判断して不快な思いをさせる確率が低いからです。


「イ・コージさんが好きな物ですかー?」


「ええ、食事や服装で何か気付いた事はないか?」


「ないですよー。前に物質的な事への興味が薄れたと言ってましたしー」

これは難しいですね。


「リスクが多き過ぎますけども、女を使いますか…」

 

金を握らせれば容姿に文句を言わない女もいます。

しかしバレた時のリスクが大きいんですよね。



side リア・クローゼ


私は目の前にいる上司の正気を疑った。

ヤ・ツーレ、その魔力と権謀術数の高さをフルサク王にかわれて魔法研究所の所長まで出世した男。

でも…


「無理だと思いますよー。だってイ・コージさんは助手の私と話すのにも時間が懸かったんですよー?そんな人にどうやって疑われずに接するんですか?まして所長が良く知っている香水臭い女にはイ・コージさんは身構えるだけですー」


イ・コージさんは女性事務員と話すのさえ億劫がり私に任せる人なんだから。


「何か何かないのか?君が一番イ・コージの身近にいるんだから」


所長が珍しく焦った様な態度をとります。


「所長にしては、随分とご執心ですねー」


「彼が他人に思えないんだよ。いや私だけではく仕え人で私達位の年代なら彼を何とかしてあげたいと思う者が少なくない筈だ」


そして私はイ・コージさんがここまで来る経緯を聞かされました。



side イ・コージ



私は何をしているんでしょうか?

飯を食って働き、そして寝る。

ただ惰性で生きている気がします、場所が変わっても人が変わらなきゃ結局同じなんですね。


「イ・コージさんは少しは慣れましたか?」


話掛けてきたの私をスカウトしてくれた一応の恩人ヤ・ツーレ。


「特に問題はありませんよ。飯を食べて仕事をして糞をして寝る。その繰り返しをしているだけですから」


「そんな味気ない話をしないで下さい。有名になれずとも貴男は既に自由の身なんですよ?旨い物を食べるのも、美々しい服を着るのも、良い女を抱くのも自由なんですから」


「あの一件以来、色んなモノが色褪せて見えるんですよ。朝に旨い物を食べても夕には糞になる、美しい服は似合う人が着ればいい、良い女には良い男がつけばいいってね…でもね、夕になれば腹が減るし少しでもみすぼらしい格好はしたくない、良い女がいれば目がいく……虚しい位に人な自分を毎日感じてしまい色褪せるんですよ。でも何も変えれないんですけどね」


結局、成果も家庭も築けずにイ・コージと言う人間は消えるだけなんですね…


「しかし貴男が開発したゴブリンバイバイで救われた人間は大勢いるんですよ。それは誇りに思って下さい」


誇りですか…

また所長らしくもない青臭い事を


「御心配を掛けてすいません。次の研究課題をお願いします。何だかかんだ言って働いている時が一番充実していますから」


愚痴っても変わりませんから、仕事をしますか。


side リア


「強力な魔法装備の作製ですかー?」私達に与えれた新しい研究課題は我が国のヘッポコ騎士団でも、それなりに戦える為の武具の作製。

訓練をしろと言いたい所ですが、騎士団の大半は貴族のお坊ちゃま、実際の主力は傭兵さん達ですし。


「ええ中々難しい注文ですね」


そんなのは強力な魔法を武具や防具に込めればいい気もするけど違うらしい。

下手に強力過ぎる魔法を込めると経験のない騎士は、自分の実力と勘違いしてしまうとの事でデュクセンでは強力過ぎる魔法装備の作製は数が限定されていたらしい。


「それならどういう装備を作るんですか?」


「軽量化、疲労回復、沈着は必須ですね」

「軽量化や疲労回復はわかりますけどー、沈着や不安は何でですかー?」


「ルーンランドの騎士団の大半は貴族の子息なんですよね?下手に死なれたら私達が困る事になりますら」


あー、自分の息子の実力を棚にあげて怪我や死亡の原因を装備の所為にされかねないと。

だから沈着を。


「どうしてイ・コージさんは、そんな発想ができるんですかー?」


「少し前に面白い若者と関わりましてね。それ以来色んな考え方をしてみる事にしたんですよ」


この人と一緒に働いていれば、私もそんな考えがもてるかもしれません。


イ・コージ魔法研究所でオリジナルを書けるかもしれないと思ったり。

でもサラリーマン以外は読まない可能性が…

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