ザコとガーグさん その17 ガーグ・エルフィンローズ
今日は遅番だから、この時間に投稿。 書きためが消費されていく…
side 功才
俺は異世界人、メリーは猟師の娘、ハンナさんはキコリの娘。
つまりテーブルマナーとかこういう場所でのマナーなんて分かる訳もなく、3人共イントルさんの動きに注目しながらの食事。
いや、イントルさんが凄いんだって。
トロルだって白い目で見ていたエルフがイントルさんの洗練されたマナーや高い知識に尊敬の眼差しを浴びせているんだもん。
文学から音楽、美術まであらゆる物に造詣が深いイントルさんの周りにはエルフの人集りが出来ているし、ハンナさんは輪に入れず拗ねている。
「コウサ、野菜や果物ばっかりだね。お肉少ない…」
エルフの顔や体型を見たら肉食より草食系なの丸分かりなんだけど。
「メリーがエルフィンに住むのはキツいかもな。狩りができる森にも制限があるみたいだし」
「そんなの無理だよー。狩りは獲物に感謝をしながら狩るんだしさー。メリーはエルフィンに長くいるんなら狩りが必須条件だよ」
メリーがテーブルにパタンと伏せた。
多分長くなるから俺が肉料理を作るとするか。
「どうですか?楽しまれています?」
胡散臭い爽やか笑顔で、俺達に話し掛けてきたのは、この状況の仕掛け人であるミッシェルさん。
「楽しむも何も今回俺達を呼んだ目的を聞いていませんし、まだガーグさんの両親にも挨拶をしてませんよ」
「ガーグ様のご両親は既に亡くなれております…」
「待てミッシェル。そこからは儂が話そう。客人済まぬが別室にご足労願う」
シャルレーゼ女王は俺達を別室に案内してくれた。
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「あれはまだ儂がうら若き200才の乙女の時じゃった」
(200才の乙女って…)
(コウサ、失礼だよ)
「エルフィンに人族のパーティーがやって来たのじゃ。何でもデュクセンでエルフの精霊魔術師が悪さをしているから儂等の知恵を借りたいと言って来ての。そのエルフはエルフィン出身じゃったから王家の長女たる儂が同行する事になっての」
(大方その悪者エルフが王家に近い奴だから責任をとったって所か)
「炎の勇者ブレイブ・水の僧侶ウォルター・風の格闘家ウィング・そして荒くれ戦士ガープとの旅が始まった」
(1人だけ扱い酷くね?つうかガーグさんのひいじいさん確定じゃん。勇者とエルフの姫様が結ばれるのが定番なんだけどな)
(もう女の子が全員勇者を好きになる訳ないじゃない)
(メリーも俺の事を、好きになってくれたしな)
「旅をする中で儂は1人の男に惹かれていった。自分では荒くれとか言っておったが優しい男での。儂が恋するのに時間はいらなかった……。
しかしエルフの姫と戦士、父親には反対されての。ガープの奴はエルフィンに残れと言いおったが儂は強引について行った。やがて子が産まれ、孫も産まれガーグが産まれた…ガープや嫁との別れもあったが幸せじゃったよ」
(エルフと人の別れか…)
「ガープの血筋か儂の一家は冒険者一家での。冒険に出ている間を儂が幼子見ていたんじゃよ。ガーグのオムツも取り替えてやったしの。今はあんなのじゃが小さい頃はおばば様おばば様と甘えてきて可愛かったんじゃぞ」
(想像できねー)
「ガーグが6歳の時じゃった、儂とガーグ以外の一家が全員が帰らぬ者となった。依頼の時に高位の精霊魔法を放たれたんじゃよ」
(それでガーグさんフローラルの時に怒ってくれたんだ)
「丁度その頃エルフィンで父が亡くなったんじゃが、残った者で王位を継げる様な者がおらんでの。儂に女王になって欲しいと言ってきおった。さすがに儂も疲れていてのガーグを連れ帰る条件でエルフィンの女王になったのじゃよ、ガーグは人に好かれる器の持ち主の様でエルフィンにも直ぐ馴染みおった」
………………
「女王様、そこから私に話させて下さい。お願いします」
「セシリーか、お前にも関わる話じゃからの。任せるぞ」
「私の名前はセシリー・エルレイン。エルレイン家は代々王家に仕えてまいりました。私もガーグ様にお仕えする事なったのですが、ガーグ様はあの性格故に様付けで呼ばれるのを拒否されまして」
「それでガー君になった訳ですか?その頃にミッシェルさんとも知り合ったんですね」
「ええ、私達は同い年なので。ガーグ様の遊び相手も兼ねまして」
絶対にガーグさんはガキ大将だったろうな
セシリーさんの表情が暗くなる
「エルフィンの王族の者は16才の誕生日になるとある試練を受けなければ行けません。王家の墓場に1人で行かなければならないのですが、私が見届けたくて外に出たばっかりに、ガー君はガー君が…」
その後セシリーさんをなだめたシャルレーゼ様の話によると、ガーグさんが王家の墓場に入る直前にタイミングよくセシリーさんが魔物に襲われて助けに入ったガーグさんが怪我をして試練は中止。
そして純血エルフを尊ぶ勢力によりガーグさんはエルフィンから出るはめになったらしい。
シャルレーゼ様もガーグさんはエルフィンよりも外で冒険者をする方が良いと思い反対はしなかった。
ちなみにミッシェルさんはロディーヌとの外交官兼ガーグさんの情報収集役だったとの事。
「そーなんですか。でもガーグさん凄い人気ですよね」
「ガーグは儂の自慢のひ孫じゃからの。旅の途中でガーグに救われたエルフもおるし、エルフィンでは手に入らない薬とかも送ってよこすんじゃよ」
「それで先のメイドさんはガーグさんの名前を言っただけで頬を赤らめたんだ……」
セ、セシリーさんからヤバいオーラが…
「そのエルフの名前は分かりますか……?」
「いや直ぐにいなくなったから聞いてませんが…」
「ミリーかしらレ二かしら。それともエレン?良いわよ……ガー君は渡さない。エルフィンで待ってただけの女にガー君を渡してたまるかー!!」
ガーグさんすいません、修羅場に巻き込んだみたいです。
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次回作は荒くれ戦士とエルフのお姫様?
幕間レベルか……