表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/235

ザコと卒業試験

この作品に感想がきて、嬉しくて又書いちゃいました。

「くぁあー、ねみ。スモールファイヤーっと」


外はまだ薄暗いが、修行の時間を考えると朝飯の支度は早めにしておきたかった。

この塔に住んでいるのは、俺と師匠だけ。

だから必然と家事は弟子である俺の仕事になる。

来た当初は勝手がわからないので、師匠任せでだったんだけども出てきた料理は三食とも薬草のスープのみ。

つうか、薬草をすり潰して水で煮ただけ。

味付けは塩のみ。

師匠曰わく特別な薬草で栄養も補えるし、魔力も強くできるらしいけど。


料理は、婆ちゃんに教わってるし家での生活も殆ど一人暮らしに近かったから料理はお手の物。


師匠が、低温の魔法を付与した箱から野菜と卵を取り出す。パンは何日か置きに来てくれる行商人のおっちゃんから買っている。

鍋に水を張り火にかけ、干し肉を入れて出汁をとる、後は師匠ブレンドの薬草と溶き卵、トマトを入れると俺流薬草スープの出来上がり。

何とか慣れた何時も通りの異世界での日常が始まる筈だった。


「おはようございます。今日も良い匂いですね。あっそうだ功才君、今日卒業試験をしますから頑張って下さいよ」


「はいっ?もう卒業試験ですか?てか試験なんて今までしてないっすよ」


「言ってないだけですよ。今の功才君なら初級冒険者として立派に通用しますよ。…多分」


師匠、多分は止めて欲しいんですけども。


「マジッすか?それで卒業試験は、何をすれば良いんですか?」


「簡単ですよ。墓場にでるオーガを倒すだけですから」


「師匠、オーガって人を食べる巨人のオーガっすか?無理っすよ、餌になって終わりです」


「大丈夫、大丈夫。そのオーガは、オーガの中では弱くて死肉しか食べませんし、巨人って言っても功才君の倍くらいの大きさですし」


「俺の身長が170だから単純に3m40㎝?勝てる訳ないじゃないですか」


第一、足にしか槍が届かない。


「オーガは夜にしか出ませんから、昼のうちに墓場を良く見て下さいねっ。ご飯を食べたら墓場に行きますよ」



-------------------


師匠に連れられて来た墓場に人気はまるでなかった。

ただでさえ人気の少ない墓場にオーガ騒動なんてあれば人が来ないのも、頷ける。

行列のできる墓場なんてやだけど。

墓場は木が鬱蒼と茂っていた。


「オーガはあそこから来るみたいですね。ほらっ」


師匠が指差した森の一部が薙ぎ倒されていた。

オーガの大きさからして、通れる道は限れてくる。


「師匠、オーガを倒せたら他の魔法も教えて下さいよ」


「流石は功才君、せこい手を思いつきましたか。いいですよ、卒業記念に他の魔法も教えてあげます」


「わかりました。まずロープと木の杭が欲しいんですけども」


--------------------


夜の墓場が楽しいのは、髪がピンと立つ○太郎ぐらいな訳で。


「ちきしょー、師匠の奴。墓場に置いてけぼりって酷くね?」


いくら魔物が来ない絶対結界の中にいるとはいえ、怖いんだって。

その恐怖もあれを見た時よりはましだった。

何あれ?

俺が見つけたのは目的のオーガさん。

簡単に言うと3m近いプロレスラーって感じ。

それが、よだれを垂らしながら歩いてくる。

あんなの見た後なら、唯に絡んで来たスキンヘッドボーイにハグする事もできそうだ。


(確か恐くないって言うと意識しすぎて、余計に恐くなるんだよな。……無理だ、あれはどうやっても怖いし)


でもオーガは段々近づいてくる。

俺がオーガの通り道にいるから当たり前なんだけども。


仕方ない、ザコの悪あがきをみせてやる。


「フラッシュ」


先ずはオーガの目の高さにフラッシュを発動する。

当然怒って追いかけてくるオーガさん。

予め木に張っておいたロープを超えて、お次は


「プチパラライズ」


オーガの足を痺れさせる。

埋めて置いた木の杭の間をすり抜けて、さらに逃げる。


よっしゃ、オーガがロープにけつまずいた。

そんでもって


「グラビティソード」


対象は俺の武器でも、木の杭でもなくオーガ。

痺れた足で、モロにこけた上に体重を増加させられたオーガが木の杭に倒れていく。

静かな墓場に地響きと一緒にオーガの絶叫が響き渡る。


「し、師匠。倒したから出て来て下さいよ。腰が抜けました」


side ロッキ


グラビティソードを、オーガにかけましたか。

いやはや窮鼠猫を噛むとは、まさにこの事ですね。

オーガは私が倒す予定だったんですけどね。

あくまで功才君には、適わない敵と相対した時の冷静さを、教えようとしただけですし。


「功才君、オーガキラーの名前をあげましょうか?オーガを倒せる冒険者なんて中々いませんよ」


「いらないっすよ。あんなギリギリなヤバさは、もう勘弁っすからね」


あの限られた魔法で、オーガを倒しましたか。

卒業記念に小技な魔法をもう幾つか、私の背中で喚いてる弟子に授けましょう。

使い古された倒し方になっちゃいました。

でもこれがザコの戦い方です。

あまり戦闘描写を多くするとネタ切れになりそうだから自重しなきゃ。

ちなみに普通に功才君がオーガと戦ったら瞬殺されます

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ