ザコとガーグさん その10 ガーグ冒険者隊の護衛風景
昨日はツイッターに挑戦する為に書きためを消費してしまいました。
side 功才
ミッシェルさんの宣伝効果なのかマコーリーさんの屋台が人気なのか、それともただ単に娯楽が少ない所為なのか沿道は人で溢れかえっていた。
「コウサ、すっごい人だねー。あっ、あのお爺ちゃんなんて有り難いって泣いちゃってるよ」
「精霊を知ってる立場にしてみりゃ、なんか罪悪感を感じるよな」
あのデカ蛍を敬う気には、どうしてもなれない。
「アハハッ。それわかるー、あっコウサあっちの屋台を見に行こっ」
メリーが俺の手を握ったまま歩き出した。
いや、人前で手を繋ぐのは恥ずかしいんだけど、メリーから
「こんなに人がいたら手を繋いでないと、はぐれちゃうよ。それにコウサがまた無茶したら駄目だもん」
うん、反論できませんでした。
はい、きちんとペアリングもつけています。
「それにしても色んな屋台が出てるよな。」
串焼き、蛍石パン(黒パンにジャムみたいのが乗せてある)、黒パンのサンドイッチ、果物……
フローラルちゃん人形って。
なんであの蛍が美少女になるんだよ。
「ねえ、コウサ。なんでマコーリーさんは、精霊石を買ったのかな?コウサの説得がうまくいかなかったら損をするだけだよね」
「精霊石だから買ったんじゃなく貴族が家宝にしている宝石だから買ったんだろうな。そしたらあんなのがオマケで着いて来ちゃったんだよ。精霊石は高く売れるけども、下手に機嫌を損ねりゃタダで済まないからミッシェルさんに相談したって感じだろ」
「ミッシェルさんはエルフだから、精霊と対話できるからねー」
「俺もセシリーさんが呼び掛けてくれたから、デカ蛍と交渉が出来たんだしな」
「それじゃ何でミッシェルさんが、説得しなかったんだろ?」
「ミッシェルさんはエルフで美男子、しかも大国の宮殿魔術師だぜ。ついでにエルフの王族の血もひいてるらしいんだよ」
「えっ、ミッシェルさんって王子様なの?でもそれだと、どうして駄目なの?」
「ミッシェルさんには王位継承権は無いんだって。それでも精霊に多少なりとも知り合いはいると思うんだ。あの俗っぽい精霊にしてみれば、ミッシェルさんは恵まれ過ぎていてムカつくんだろ?」
「あー、俺は精霊様だって威張れないもんね。ミッシェルさんならもっと凄い精霊の知り合いがいそうだし」
「言ってみりゃ、フローラルは精霊のザコなんだよ。俺と一緒さ」
下手に大聖堂なんて行ったら、自分よりも上位の精霊がいるかも知れないから拒否してたのかもな。
見下している人族に、大聖堂に自分より強い精霊が居るんなら行きたくないなんて言えないだろうし。
「コウサはもうザコじゃないよ。メリーの大事な彼氏なんだから」
「恋愛だけは、ザコから卒業してもいいのかな?」
「うんっ、メリーが卒業証書をあげるっ」
森までは、まだまだ距離があるから今はデートを楽しもう。
side ハンナ
メ、メリーは何をしてるんだ?
依頼の最中にイチャイチャして、うらやま…じゃなく不謹慎な。
「ハンネスさん、難しい顔をしてどうされました?」
「イントル殿、自分の事はハンナと呼び捨てにして下さいってお願いしたじゃありませんか」
「ハンネスさんみたいに魅力的な女性が、そんな事を言ったら私は世の中の男性から嫉妬をされて大変に事になりますよ」
イントル殿は、紳士過ぎます。
強くて頭も良いけど、決して傲り高ぶらない。
「周りは関係ありません!!自分が呼んで欲しいんですから」
「分かりました。この依頼が終わったら考えておきますね。今は依頼中ですし」
メリー見ろっ。
イントル殿のこの真面目さ誠実さを。
「期待しています。イントル殿はコウサが人を見つけて欲しいと言っていた意味がわかりますか?」
コウサが民衆の中から見つけて欲しいと言った人は
1・馬車が来る道を真剣に見ている
2・真新しい服に、最近ついた汚れがある人
3・周囲と比べて足拵えがしっかりしている人
「ザイツ殿が探しているのは襲撃をかけようとしている団体の物見役ですよ。真剣に道路を見ているのは、馬車が来るのを確認してから知らせに行くからでしょうし、服は正体を誤魔化す為に新しい服を買うでしょう。そんな服を着て森から出たら当然新しい汚れがついちゃいますよね。ところでハンネスさんは足拵えの意味がわかりますか?」
「イントル殿〜。意地悪を言わないで下さい。自分は頭を使う事が苦手なんですから」
「ふむ、それでは正解をしたら何かご褒美をあげましょう。屋台で好きな物を買って良いですよ」
ご褒美?
それならあれしかない。
絶対に当てて見せる。
……………
何で、コウサは周りの人の足拵えと言ったんだろうか?
そう言えばメリーから足拵えはしっかりしておく様に言われたよな。
それは戦いに備えてなんだろうけども……
「イ、イントル殿。自分はわかりましたよ。物見の者は森に戻る必要があるから足拵えをしっかりとしておく必要があるんですねっ。それと違って観衆は沿道を歩くだけだから足拵えに気を配る必要がないんですよね」
「はい、ハンネスさん正解ですよ。どの屋台がいいんですか?」
自分が今欲しい褒美は、食べ物なんかじゃない。
「イントル殿、褒美として自分の事はハンナと呼んで下さい」
イントル殿は、苦笑いをしながらも頷いてくれた。
side ガーグ
ったく、イントルもザイツも依頼とプライベートの区別がつかねーのかよ。
人がこんな、こっ恥ずかしい鎧をきて晒し者になってるのによ。
(ガー君ガー君聞きだい事があるんだけど)
(んだよ。早く言ってみろよ)
(いや敵は何人で攻めてくるかわからないのに、たった4人で大丈夫か心配じゃないの?)
(あー平気だよ。うちの連中は戦わないから)
(へっ?)
なんとお気に入り登録が2800を超えました。
よく考えたら、この駄文小説を楽しんでくれている顔も知らない人がいるんですもんね。
改めて感謝です