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ザコとガーグさん その9 ザコと商人

side 功才


どうしよう?

てっきりメリーにショックアローを撃たれると思っていたのに。

メリーは半ベソ状態で、俺の手を握ったまま一言も喋ってくれない。


「その、ごめん。次かは何をするかメリーにはきちんと話すから。不安にさせてごめん」


………………


メリーが小さくコクッて頷いてくれた。


これは罪悪感が半端じゃない。


「ザイツ殿はプルングさんにとって大切な人なんですから心配させた事を反省しなきゃ駄目ですよ。勿論ここにいる全員が心配したのを忘れちゃいけませんよ」


イントルさんが優しく諭してくれる。


「さて、湿気た話は終いだ。ザイツは罰としてプルングの嬢ちゃんに指輪でも買ってやれ。確かリーゾンには有名な宝石店がある筈だ」


(イントルさん、ガーグさんフォローありがとうございます!)


心の中で感謝をしていると、パチパチと渇いた拍手が聞こえてきた。

拍手をしていたのは、引き締まった体をした短髪の男。


「これはこれは精霊を説得してくれただけでなく、私の店でお買い物をしてくれるとは有り難い限りです」


「アルダス・マコーリーさんっすね」


「良く私だとお分かりになりましたね。ミッシェル様からお話は聞いておりますよ。ザイツ・コウサ様」


「この屋敷に入れて、店を経営している人間。そして精霊石の事も知っているのはマコーリーさんだけっすもん」

マコーリーさんは、確実に厄介な人だ、金を稼ぎながらも、欲には溺れている感じがしない。

敵に回せば厄介極まりなく、味方になったら利用されまくられるに違いない。


「流石はミッシェルさんが買うだけあって鋭い。出会いの記念に可愛い彼女さんにお好きな宝石をプレゼントさせてもらいますよ」


だから余計な貸し借りは作りたくない。


「遠慮しておくっすよ。大事な彼女には身の丈に合ったプレゼントをしたいっすから」


無料で宝石なんかを貰ったら、その倍以上の利益をマコーリーさんにもたらさなきゃいけなくなるだろう。


「そうですね。それが一番です。それではミッシェル様もお待ちしておりますので明日からの事について話し合いましょう」



――――――――――


「リーゾンまで来て襲撃が可能な場所は1つしかありませんでした。…それなら何でミッシェルさんは襲撃を想定したんですか?」


俺達に依頼すなら、精霊の説得だけでも良かった筈。


「どんな精霊が宿っているにしろ精霊石は高値で取り引きがされますからね。バルドー以外に売れば、後は知らぬ存ぜぬで通す事もできますし。神殿なら精霊石が自ら降臨したって言い訳をしかねませんからね」


商人も神官も面の皮の厚さが大事なんだね。

宮殿魔術師なんて、もっと厚くなきゃ無理だろうし。


「つまり具体的な動きは確認出来ていないんですね?」


「具体的ではないですけれども、複数の団体が動いた形跡は確認できています。今回のお祭り騒ぎで諦めた所が殆どですけども」


まっ、具体的に動いたら捕まるしね。


「残ったのは、盲信的な神殿関係者ですか」


国と対立しても平気な人達といったら限られてくるし。

これだけ騒ぎになった精霊石は国外でも買い手は付きにくいだろうし。


「それじゃマコーリーさんの私設兵隊も護衛に加わってもらう事はできるんすか?もう精霊は文句をつけないと思いますし」


「おい、ザイツ。俺達だけじゃ不足だってのか?」


ガーグさん、そうゆう事には反応するのね。


「俄か盗賊なら何とかなるっすけども、興奮した民衆を抑えるには4人じゃ無理があるんすよ。特製馬車の宣伝に失敗するよりもお得だと思うっすよ」


マコーリーさんの私設兵隊なんて、絶対に俺より迫力があって目立ってくれると思うし。


「仕方ありません。そう言われては依頼料の値引き交渉もし難いですしね。威圧感のある兵を厳選して出しますよ」


威圧感のある兵がいる事で、精霊石に威厳をもたらす事ができるしね。


「それなら俺とメリー、イントルさんとハンナさんは、両脇の民衆に混じって護衛をしたいと思います。俺以外は目立ち過ぎますし、俺は馬車より先行して下調べをしておきたいので」


メリーとハンナさんは美少女で、イントルさんに至っては覆面を被った大男だからね。

覆面を被って、しかもトロルなのに周囲の信頼が厚いイントルさんって何気に凄い人だと思う。


「目立つのは、お嫌いですか?」


マコーリーさんが、試す様に質問をしてくる。


「有名税のきつさは、よく知ってるんすよ。それじゃメリー買い物に行くとするか」


芸能人の家族で得した事はなくても、きつい目に合った事は多々ある。

得した事がないってより、俺が利用しなかっただけなんだけども。

利用せずとも面倒事は向こうからやってきたし。


――――――――――


…………


マコーリーさんの店は、セレブな雰囲気満載で俺は完璧に浮いていた。


まぁ、メリーの笑顔が復活したからよしとするか。


「コウサ。これ、これが欲しい!」


メリーが選んだのは銀で作られたペアリング。


メリーがいない時に、つけてたら贈る相手がいないのに買っちゃった人に見られそ。

俺の答えを待たずにサイズ合わせをするメリー。


そして流石は、マコーリーさんの所の店員さん、有無を言わせぬ間に俺のサイズもはかってイニシャルを刻む手筈を整えちゃうんだから。


……………


これ、普段から、つけておかないとマズいのかな。



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