ザコとガーグさん その8 ザコと精霊
久しぶりに師匠が出て来ます。
ちなみに人気投票でマイナス票が入ったのは、師匠と功才父だけでした。
side 功才
無事にリーゾンに到着。
結局、襲撃の可能性が高い場所はあの森しかなかった。
「それで精霊石は、どこにあるんですか?」
「マコーリーが管理している貴族の屋敷にあるそうだ」
管理ね、大方貴族の財産も管理してるんだろうな。
「それじゃ、精霊さんに会いに行きますか」
――――――――――
そう言えば蛍石は、フローライトっても言うんだよな。
だからフローラルか。
名前で精霊少女を創造した俺が馬鹿でした。
うん、蛍石だもんな…。
精霊は眼鏡をかけた人間と変わらない大きさの蛍だった。
しかも性格が微妙と言うか何とか言うか。
「君達の言いたい事はわかるんだけどー。だけどー。ほらっ、俺って精霊な訳じゃん?そう簡単に人間の都合で動けると思われたら困るんだよねー」
うわっ、尻を7色の光に光らせてやがる。
これを敬えってのか。
「まぁ、やっぱり条件次第だよねー。精霊石の取り扱い方とか大事じゃん?俺の精霊石って、俺と一緒で傷つき易い訳よ。わかる?美しいものほど傷つきやすいんだよねー。悲しいけどこれって自然の摂理なんだよねー」
やばっ、ガーグさんの輝く頭に青筋が浮かんでいる。
「フローラル様よくわかったっすよ。あっ申し遅れたっすけど、交渉を任せられているザイツ・コウサ、猿人族っす。フローラル様と2人で条件を煮詰めたいんですけどお願いしていいっすか?」
「仕方ないなー。俺って基本優しい精霊な訳よ。近くに可愛いメス蛍がいる場所だったりすると気分良く動いちゃうかもよ」
フローラルが俺の肩に手?(足)を乗せてもたれかかって来た。
しかも尻をピンクに光らせていやがる。
こんな精霊でも2人っきりは、ヤバいらしくみんなが心配をしているみたいだ。
メリーは顔が真っ青だし。
それじゃ師匠に電話をかけてハンズフリーにしておけば準備が完了。
―――――――――
「それで、君の名前はなんだっけ?……まっ、猿人族だから猿でいいか。なっ猿」
「呼び方はフローラル様の自由で構わないっすよ。それで移動なんすけども」
「だから猿は駄目なんだって。先ずは俺のモチベーションをあげなきゃ」
「そうだ。ひとつ言い忘れていたっす。俺の師匠の事なんすけど」
「いいって猿の師匠はどーせ、猿でしょ?聞かなくても聞いても変わらないよ」
「おかしいっすね。師匠はフローラルさんとじっくり話をしたって言ってたんですけども」
「猿の事なんて一々覚えてる訳ないじゃん。ほらっ、俺って結構な人気精霊な訳だから」
師匠、ありがとうございます。
ロッキ爆弾を投下させてもらいます。
「ちなみに俺の師匠の名前はロッキですよ。ロッキ・バルボー」
あっ、フローラルが硬直した。
尻が白く光ってるって事は、頭も真っ白なんだろうか。
「嘘っ、嘘嘘嘘。いや確かにこないだのロッキ様は見えられましたよ。お弟子さんの話もしてましたし。だからてっきり来るのは上位精霊だって思ってたんですよ」
フローラル、テンパりまくり。
「はっはーん。さてはお前あれだな、ロッキ様の名を語って俺の事を拘束しようとしたな?猿の癖に滅っしてやる!」
フローラルの尻が赤く光って、もの凄い力が溢れ出して来た。
まともに戦えば俺なんか瞬殺されるだろう。
でもまともに戦う気なんてないけど。
一応、シールドボールをかけておいて
「あっ、師匠聞こえてましたか?残念ながらフローラルは師匠の事を覚えていませんでした」
「ええー功才君、よーく聞こえましたよ。私は標本を集める趣味がありましてね。ちょうど巨大蛍の標本が欲しかった所ですから今からそっちに行っちゃってホタルを逝かせちゃいますね」
「これからロッキ師匠来るそうですよ。心配しなくても師匠は転移魔法も使えますから」
「ここは俺の結界内だぜ。そんな簡単に来れる訳がないだろ?」
それじゃフローラルの後ろにいるお方は誰なんでしょうねー。
それは無言でフローラルの触覚を鷲掴みするロッキ師匠なんだけども。
「あれっ。ロ、ロッキ様いついらしたんですか?やだなー、ドッキリですか?ほらっ猿人族の君、今すぐお茶をお出しして。……あっ、触覚をそんなに強く引っ張っらないで下さいよー」
「彼の名前はザイツ・コウサ君、私の可愛い弟子ですよ。貴男は精霊が人に力を振るっちゃいけないのを知らないんですか?」
「いやだなー。忘れる訳がないじゃないですか。あっ何をするんですか?頭に何か塗ってません?」
あー、蛍って、真っ黒になるとゴキみたくなるんだよな。
あっ、光が消えた……。
「師匠ありがとうございました。助かりました」
「いえいえ弟子に頼られるの師匠冥利につきますから。それに私は安心したんですよ。功才君はちゃんと自分が適わない相手を見極めたんですから。
功才君は最近活躍していましたから、精霊と戦うんじゃないかって心配してたんですよ」
「俺は自分を知ってますよ。師匠から教わった魔法がなきゃオークにも勝てませんから」
師匠はそれを聞くと優しく笑ってくれた。
「それでいいんですよ。ほらっ精霊石です、あっでも私が何時でも電話に出れるとは思わないで下さい」
――――――――――
精霊石を持って帰って来たら、メリーが抱きついて来た。
ずっと泣いていたんだろう、顔がグシャグシャだ。
「ゴウザ、ゴウザよがっだー。なんか凄い力を感じたがらメリーすっごい心配しだんだよー」
メリーは、泣きながら喋っていた。
「ザイツ殿、ご無事でしたか。良かった、本当に良かった。」
イントルさんは安堵の溜め息を漏らしている。
「ったくザイツ。無茶は俺の特権なんだからな。あまりリーダーに心配をかけるんじゃねーよ」
ガーグさんには、叱れた。
「すんません。ヤバかったですけど、共通の知り合いがいて助かりました」
俺は幸せだよな。
俺の為に、直ぐに駆けつけてくれた師匠。
俺を心配して泣きじゃくっていたメリー。
心から心配してくれていたイントルさん。
本気で叱ってくれたガーグさん。
ありがたいよな。
引き続き人気投票を継続したいです。