ザコとガーグさん その2 ガーグ冒険者隊の話し合い
side 功才
とりあえずガーグ冒険者隊での話し合いをした後にミッシェルさんに返事をする事にした。
「ガーグさん、イントルさん質問があります。デュクセンとバルドーの大きな違いって何かありますか?」
「言葉は変わらねえし、飯も変わらねえ。一番の違いはあれだな。奴隷制がある事だろうな」
メリーやハンナさんが、顔をしかめた所を見るとあまり関わらない方がいいな。
「聖王国で奴隷か。都合の悪い事は神様の思し召しで取り繕うパターンですね。奴隷は敗戦国の猿人族ですか?」
「いえ、正確には敗戦国の猿人族・猫人族・犬人族が主ですね」
次の瞬間、隣に座っていたメリーが俺の太ももをつねってきた。
「いてっ、メリーなんでつねるんだよー」
「今、犬人族って聞いた時にコウサが、一瞬にやけたからだよ」
メリーは頬を膨らませて、そっぽを向く。
ちきしょー、可愛いじゃないか。
「メリーは、本当にどこでもいちゃつけるんだな。自分には無理だよ。コウサ、ミッシェル殿に突きつけた条件を自分に詳しく教えて欲しい」
ハンナさんは、ガーグ冒険者隊の戦い方を貪欲に吸収したい様だ。
「まずは安全な宿の提供。これは寝首をかかれるのを防ぐのと毒物混入の防止
貴族の冒険者の好き嫌いは依頼をされた時の判断に必要だからだよ。冒険者を嫌う貴族が無茶な依頼を持ってくる可能性があるからな。
実力のある商人は、自分の利益に敏感だから掴んでおかなきゃいけないんだよ。下手に毛皮や鉱石を安く売ったりしたら目をつけられるだろうし
ミッシェルさんがどの程度の後ろ盾はどの程度無茶をして大丈夫かを謀る為
裏組織の詳細は関わりをできるだけ防ぐ為
パーソナルカード確認の免除は、イントルさんの正体をばらしたくないから
シャイン様への移動嘆願書は何かあった時の保険だよ
納得してくれた?」
「コウサ、大事な約束を忘れてるよー」
メリー、あれを何回も言うの恥ずかしいんだけども
「女好きの貴族への牽制は、メリーもハンナさん美少女だから、貴族特権で連れて行かれるのを防ぐ為だよ」
メリーが先つねった所を撫でてきた。
機嫌が治ったらしい。
「わかったけど、何でそんなに細かく条件をつけたんだ」
「宮廷魔術師さんがわざわざ来たからだよ。多分俺達の事はフランソワさんから聞いたんだろうけども、ミッシェルさんは実力もあって信頼のおける冒険者を確保しておきたいんだと思う。つまりある程度の活躍をしたら、かなりの無茶振りをしてくる可能性が高い」
「おい、ミッシェルはそんな奴じゃねーぞ。あいつの事は俺が良く知っている」
「だからですよ。ミッシェルさんは周りに信頼がおける者がいないか…」
「漏れたら不味い事を抱えているかでしょうね」
イントルさん、それ正解
「後はガーグさんに任せますよ。俺の知らない事情もありそうですし」
「ったく、言いたい放題言いやがって」
――――――――――
「コウサの世界にも奴隷っていたの?」
「昔はかなりいたみたいだよ。まぁ正直言って関わりたくもない」
「男の人って、可愛い娘奴隷を欲しがるって聞いたけど」
価値観が違うねー。
「人1人の人生を預かる器量は俺にはないよ。俺に必要なのは、自分の意志を持っているパートナー。俺のする事に全て¨はい¨で答えられていたら、調子がおかしくなるよ」
「コウサらしい答えだね。でも貴族に奴隷を持ってて言われたどうするの?メリーの知り合いの人がバルドーで公演したら貴族の人から奴隷を持つ様に勧められたって話だよ」
ステータス扱いかよ
「まっ、うまく誤魔化して何とか対策考えておくよ。勧める人もいれば、快く思わない人もいるだろうしな。ましてやデュクセンに帰ってくる事を考えたらリスクが大き過ぎるよ」
ミントなんてマジ切れしそうだし、美才にバレたら泣きながら責められそうだよな。
side メリー
やっぱりコウサを選んで正解だった。
前にバルドーに行った先輩は犬人族の娘を奴隷として連れてきた。
しかも、その娘がいる目の前でメリーを口説くんだもん。
「奴隷は人間じゃないから当たり前だろ」
何て言うし。
でも、もしコウサの魅力に気付く娘がバルドーにいたらどうしよう。
私もコウサみたいに対策をたてなきゃ。
side 功才
次の日、ガーグさんから呼び出しが掛かった。
「俺は1人でも、バルドーに行くぜ。付いて来るかどうかはお前達の自由だ」
「リーダーがいる所に付いて行くのが、冒険者隊ですよ。それにトロルが入られる冒険者隊なんて他にありませんよ」
さすがにイントルさん決断が早い。
「ガーグさんとイントルさんだけじゃ貴族の謀に対応できないでしょ。ミッシェルさんは俺も含めて指名してきたんですから、ザイツ・コウサも行かせてもらいます」
「もうコウサったら、昨日から行く気満々だったじゃない。コウサとのバルドーでのデート楽しみだなー」
「全く、メリーの決断理由はコウサしかないのか。自分はガーグ冒険者隊に出向した身分です。どこまでも付いて行きますから」
早い話がガーグ冒険者隊は全員バルドーに行くと。
ガーグさんが嬉しそうに、にやけていた。
ムサいオッサンのツンデレってキツいよな。
次から舞台はバルドーへ。
次話では、また新キャラが登場。
犬人娘は未定。
書きためがあるので、今日中に何話か載せる予定です