ザコとメリーのデート
ポンスさんからリクエストがあった功才とメリーのデートです
side 功才
最近ドルムーンへの観光客が増えている。
ドルムーンで1年に1回行われている月光祭が目当てらしい。
データボール参照
ドルムーン月光祭
月の神ニーマの誕生をお祝いするお祭りですよ。
ドルムーンでは、月の神ニーマが人々に授けたと言われる月光石の産出で出来た街ですよ。
だから街の名前にムーンがつくんですね。
この日は、男性は恋人に月光石の宝飾品を送る慣わしがあるそうです。
まっ、そんな事が出来るのは貴族様だけでしょうけど、覚えておいて損はしませんよ、功才君。
何だろ、いつも以上に説明が長い上に微妙なプレッシャーを感じる。
つまりメリーをデートに誘って月光石をプレゼントしろと。
………………
無理っ!!
だって、まだ正式に付き合って下さいって言ってないんだし。
誘いを断られたら、気まずいじゃないか。
誘いにのってくれたとしても、月光石を断られたどうしよう。
しかし、今の状況で誘わないのも不自然だ。
誘っておいて、月光石がないのはヤバい。
それなら月光石は用意しておいて、ポケットにしまっておこう。
それでメリーの反応が芳しくなかったら、質屋に行けばいいんだ。
でも何を準備しよう。
指輪はいきなりすぎるだろ、サイズ知らないし。
イヤリングって、狩りの邪魔にならないかな?
首飾りとかは、メリーの趣味に合わないときついか。
とりあえず、宝飾店に行ってから決めるか。…………
高っ!!
何この値段?
月光祭値段なのか?
しかし、あまり安すぎるのもあれだしな。
結果、15万デュクセンの首飾りを購入。
月光石と銀で作られたシンプルな首飾り。
気合い入りすぎてひかれないか心配。
ここまでして、誘いを断られたらネタにするしかないよな…。
side メリー
「メ、メ、メリー。あのその良かったらで、いいんだけど。良かったら月光祭を一緒に過ごしてくれないかなーなんて思ったりする訳で………」
コウサ、耳まで真っ赤っにして、指なんかモジモジさせているし。
ハンナがいないのが残念なぐらいにコウサが可愛い。
「コウサの誘い待ってたんだよー。メリーも家族以外と過ごす月光祭は初めてだから楽しみだなー」
もうっ、コウサったら。
そんな嬉しそうな顔しちゃって。
やっぱりハンナは、いなくて良かった。
コウサはメリーが独占したいし。
side 功才
月光祭当日
だ、第一段階クリア。
後はデートをうまく成功させて首飾りを渡せば良いんだよな。
月を見るお祭りだから、待ち合わせ時間は夜。
夜ご飯を食べて近くの丘で、月を見るのが流れらしい。
でも、でもメリーが待ち合わせ場所に来なかったらどうしよう?
遅れてきたら、どれ位待てば良いんだろう?
真夜中ぐらい?
それに俺なんかが、メリーとデートをしていてヒンシュクを買わないだろうか?
「コウサおっ待たせー。さっ行こう」
楽しそうに歩くメリー。
かたやガッチガッチな俺。
駄目だ、普段通り、普段通りに。
「それじゃ、予約しておいたレストランに行くか」
俺が予約したのは、市民が行ける中では、それなりのレストラン。
イントルさんに紹介してもらった。
ガーグさんに聞いたら酒場しか言わないし。
(確かにうまいけど、この味付けで、この値段か。今度から作った方がいいかもな)
メリーは、味付けは良いけど肉の取り扱いに不満があったらしい。
そして俺がメリーを案内したのは必死に探した月見スポット。
「ふぁー。お月様が綺麗に見えてる。さすがはコウサ」
月の光に照らされたメリーは、いつも以上に綺麗に見えた。
「メリー良かったら……これ」
「ふわっ。いいの?もらっちゃって」
「俺が持ってたら明日には質屋行きだよ」
「ダメ、ぜっーたい駄目。もうこの首飾りはメリーの物だもん。誰にも渡さないんだから」
「それで、そのさ……メリーの事、彼女って思っていいんだよね」
side メリー
私はずっと、そのつもりだったんだけども。
コウサは臆病だ。
戦い方も恋愛も、凄く臆病。
戦い方も勝てると分かるまで戦おうとしない。
だから恋愛も言葉にしてあげないと不安なんだと思う。
「メリーは、初めて会った時から。ううん今はもっとコウサの事を好きなんだよ。
そしてこれが答えだよ。メリーも初めてなんだからね」
月明かりの下、私は異世界から来た弱いけど強い、臆病だけど勇気がある、大切な愛しい少年に口付けをした。
功才の恋愛チキンが炸裂しました。
こんなんで良かったのか不安