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ザコとイントルさん その6 イントル

イントルさん編最終回です

side 功才


イ・コージの魔法の効果がきれたお陰で、城からゴブリンが逃げ出して行く。

その中にはメイド服を着たゴブリンも混じっていた。

イ・コージさん人嫌いは分かるけどゴブリンにメイド服を着せるのはいかがと。

俺達が呆気にとられている中、イントルさんが身支度を始めていた。


「ガーグさんザイツ殿プルングさん今までありがとうございました」


「おい、こらイントル。どこに行くんだよ。リーダーの許可も無しにパーティーを抜けるんじゃねーよ」


「そうですよイントルさん。第一イントルさんがいなくなったら誰が酔っ払ったガーグさんを大人しくさせるんですか?誰がガーグさんの酒代管理をするんです?俺には無理っですよ。頼みますから行かないで下さい」


「イントルさん、メリーからもお願い。イントルさんはコウサに大人の男としてお手本になって欲しいの」


ガーグさんの輝く頭が若干ぴくついてる。


「皆さん、私が討伐対象になると、皆さんも危険に晒されるかもしれないんですよ」


つまりイントルさんは1人になって討伐されるつもりだと。

本当にこの人は、覆面を脱いだのもガーグ冒険者隊に人外の者が、いるとなりゃ隊そのものが討伐対象にされかねないからだろう。



「それはないですよ。討伐依頼を許可するのは、冒険者ギルドですよ。冒険者ギルドにはイントルさんの事を知っている人もいますよね?それに……」

 

「確かにパーソナルカードを確認しなければ冒険者ギルドには登録できませんから、ギルドには黙認してもらっていましたが。それに何ですか?」


「イントルさんがいなくなったガーグ冒険者隊は悪評しかたちませんよ。俺の戦い方なんて姑息ですし、ガーグさんは周りの評価なんてくそ食らえな人なんですから。今まではイントルさんが周りとの軋轢を解消してくれていたから問題が起きなかったんじゃないですか」


結局、イントルさんはドルムーンの冒険者の人達も許可をしてくれたら今まで通りパーティーに所属すると言ってくれた。

俺は色々な根回しを考えていたが、それは杞憂に終わる。ドルムーンの冒険者で、イントルさんに世話になった事がない人の方が少ないぐらいだったからだ。 

直接世話になっていなくても、イントルさんの篤実な性格は多くの冒険者に慕われていた。

まぁトロルは、その粗暴性から警戒されている訳で、粗暴性とは無縁のイントルさんを警戒する必要はないと。


色々と落ち着いたある日、イントルさんから詳しい話を教えてもらえる事になった。


「私は元々は普通のトロルでなんです」


イントルさんは人言を話すだけでなく、その教養の高さは貴族並みに高い。


「普通の頃はどんな生活をしていたんですか?」

 

「仲間と一緒に狩りをして食べる、それだけを繰り返す日々でしたね。あの頃は食糧を保存するなんて感覚は持ち合わせていませんでしたから」 

「それなら何でイントルさんは普通のトロルじゃなくなったんですか?」


「ある日、私は冒険者に襲われて仲間とはぐれてしまったんですよ。逃げている途中で私は崖から落ちてしまい、さまよい歩きました。そこで導かれる様に1本の木まで辿り着いたんです。その木には見た事のない実がいくつかなっていました」 

「それを食ったのかよ?ったく俺が酒のつまみにしようとしたキノコは却下した癖によ」


ガーグさん、木の実とキノコじゃリスクが違い過ぎます。


「お腹が空いていた私は、それこそむさぼる様に木の実を食べました。すると不思議な声が聞こえてきたんです。これ以上実を食べないで下さい。代わりに私が知っている知識を授けますからと」


「木が喋ったんですか?」


「正確には木に宿っている精霊の言葉でしたね。その木は知恵の木、私が食べたのは知恵の実だったんですよ」


「へー、知恵の木なんて御伽話の中だけだと思ったら本当にあるんだね」


「それで、知恵の木の精霊から色々な知識を学ばれたんですか」


改めてイントルさんを尊敬する。

イントルさんは学んだ知識を確実に理解して吸収しているんだから。


「ええ。それでイントルの名前を頂いたんですよ。インテリジェンストロル。

知識のあるトロルの略称だそうですよ」


「それでこのバカは、止せばいいのにせっかくの手に入れた知識を確かめたいなんて人里に降りてきたんだよ。言葉が通じれば人と争わなくて済むと思ったんだとよ」


「今思えばお恥ずかしい限りで、誰も私の話を聞いてくれずに絶望していた中、唯一話を聞いてくれたのがガーグさんだったんですよ」


「俺もちょうどパーティーを組みたかったしな。それでこいつに覆面を被せたんだよ。ギルドは俺が実績で証明するって事でナシをつけたんだが……。腹がたつ事に、たった数週間でギルドの連中は俺じゃなくイントルを信用し始めたんだぜ」


いや、そりゃねー。

チンピラ口調のガーグさんと、穏やかな口調のイントルさんじゃ、どっちが接しやすいかは歴然だし。


side ガーグ


予想外の奴から呼び出しをくらった。


「これはフランソワお嬢様。相変わらずお美しい事で」


「ガーグさん。気持ち悪いから、その話し方は止して下さらない。怖気がたちますわ」


「おめえが、俺に口が汚いだなんだ文句をつけるから、キチンとしてやったんだろ?今回も無理な依頼を振ってきた癖によ」


「それに関しては感謝してますわ。ハンナを始め今回向かわせた娘達は才能はあるんですけども、まだ未熟な部分が多くて、貴方達の戦い方を見れば成長を促せると思いましたから」


「それで、その為だけに来たんじゃねーだろ?」


「当たり前ですわよ。先ず1つはイ・コージの取り調べ結果について、イ・コージは本気でゴブリン王国の王になるつもりだったみたいですわ。イ・コージは親しい人間も作らずに魔術の研究に没頭していたみたいね。それで人間関係がうまく築けなくなって、人間関係嫌いになったらしいわね」


「人に受け入られないからゴブリンに言う事を聞かせて王様になるってか。なんとも寂しい話だね」


「それとこれはお願いなんですけども、ハンナ・ハンネスをガーグ冒険者隊に出向させて欲しいんですけど」


「はぁ?んでだよ」


「本人の希望とハンナの更なる成長を願ってですわ」


「断る。お前の所から来る様な真面目娘はうちには合わねーよ」


「もちろん、ただでとは言いませんわ。イントルさんの事は口外させませんし、それなりの謝礼も払いますわよ」


「お嬢様は交渉が上手な事で」


「貴方の事は、あのお方達から頼まれていますしね」



side 功才


う、嘘だろ。

なんでアイツがいるんだよ。


「自分の名前はハンナ・ハンネスであります。フランソワ乙女騎士団から出向して参りました。今日から宜しくお願い致します」


赤髪の強気ポニーテール、ハンナ・ハンネスがフランソワ乙女騎士団から出向の名目で来た。


「ハンナこれからよろしくね。でもいきなりどうしたの?」


「ガーグ冒険者隊に学びたい御仁を見つけたんだ。イントル殿よろしくお願いしますっ!」


ハンナさんがイントルさんに向かって、応援団ばりにオスッて感じに頭を下げる。


「ハンネスさん私に教えれる事なんて少ないですよ」


イントルさん、若干ひき気味。



「いえ、自分はイントル殿の騎士道に感激したんです」


「私は騎士じゃなく、冒険者です。それにトロルなんですよ」


イントルさん、ちょいっと迷惑そう。


「ご謙遜をされる等、流石はイントル殿だ」


ハンナさんは、目を輝かせている。

うん、これをフランソワ乙女騎士団に帰すのは、かなり手こずるに違い。

俺は心の中で、ハンナさんの世話役にはイントルさんを任命する事に決めた。

幕間を書いて次に話に


十代の方から五十代の方まで、感想を頂けて感謝の限りです。

しかし女性から来ないのが、なんともこの小説らしいです

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