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ザコとゴブリン

残酷な表現があるので、ご注意下さい&ザコの初実戦です。

オーディヌスには魔物と呼ばれる生き物がいるらしい。


ロッキ師匠曰わく


「魔物は普通の動物が、マナの影響で進化した種族なんですよ。だから動物とちがって属性の影響が濃いですよ。火を吐く魔物も珍しくありませんから」


ちなみに、今日のロッキ師匠のジャッケットは星柄。


「まぁ、功才君が火を吐ける魔物に会ったら逃げれるだけで奇跡と思って下さい。今の貴男はゴブリンに勝てるか、どうかですから」


あれだけ修行をして、ゴブリンって。


「功才君、君はゴブリンを馬鹿にしたでしょ?確かに力も知能もゴブリンに比べたら君の方が数倍上ですよ。でもねゴブリンは基本集団で戦いますし、獲物に対して躊躇ちゅうちょなく襲います。君は生き物に対してためらいなく剣を振るえますか?」


「ゴブリンから逃げるのは無理っすか?」


できたら殺しは、避けたいんだよな。


「無理ですね。ゴブリンは自分より弱いと思ったら容赦なく襲いますし、ゴブリンを倒せない冒険者に依頼は来ませんよ」



「冒険者が、ゴブリンと戦う頻度は多いんすか?」


「初心者からベテランまで幅広く戦う機会が多いですよ。何しろ数が多い分、被害も多いですからね」


「被害って、やっぱり女をさらったりするんすか?」


もしかして、ヒーローになれるチャンスも?。



「それは誤解ですよ。ゴブリンは女性が身につけている貴金属が欲しいだけですから。まぁ金持ちと農婦の区別もつきませんし、裸にして貴金属を探すから誤解が生まれたんでしょうね。ちなみにゴブリンの美人度はコブの多さで決まるそうですよ」


ゴブリンらしいゴブリンが人気な訳ね。


「それなら、何でゴブリンの被害があるんすか?」


「簡単ですよ。彼らの知能じゃ畑を耕すとか家畜を育てるのを理解できませんからね。村があれば美味しい食べ物があるだから襲うんですよ」


バイトしないでカツアゲしてるヤンキーみてぇ


「座学ばかりじゃ、飽きますね。修行もある程度したから、戦ってみましょ。ゴブリンと」


「確認しますけど俺に拒否権は?」


「ある訳ないですよ」


「ですよねー」


塔にはロッキ師匠の楽しそうな笑い声と、俺の渇いた笑い声が響いた。


-------------------


こっちの世界に来て、初めて外に出た。

そして改めて日本じゃない事を実感する。

俺が連れて来られたのは、だだっ広い湿原。


「ここに出る魔物はゴブリンくらいですからね。さぁ功才君、実戦デビューですよ。ワクワクしませんか?」


「ワクワクじゃなく、ドキドキはしてるっすよ。嫌なドキドキですけどね」

ちなみ俺の装備は皮の鎧に、皮の兜、鉄の槍。


「本当に君はシャイですね。そして運も良い。あそこにゴブリンが一匹でいますよ。さぁレッツ!バトル」


師匠が指差す先は、緑色のボコボコした生き物がいる。

あれがゴブリンか。

ゴブリンはボロボロの服に、錆びた剣を持っていた。

ゴブリン見学をしている俺の背中をロッキ師匠が思いっ切り押してくれた。


「は、はろー」


俺と目をあわせたゴブリンが


「グギョー」


と、絶叫して襲い掛かってくる。

ファーストコンタクト大失敗。


「功才君ー、逃げてるだけじゃダメですよー」


傍観者を決めたロッキ師匠が遠くから叫んだ。

逃げてるんじゃなく戦略だっての。

俺が目指しているのは湿原にある水溜まり。

ジャンプでそれを飛び越し、少し離れた場所でゴブリンを待ち構える。


ゴブリンの両足が、水溜まりに入ったのを見計らって、水溜まりにアイスキューブの魔法を掛ける。

空気中の水分を凍らせる程に低温状態を作れるなら、水溜まりの水も凍らせる事ができる筈。


「ギュゲ?ギュゲゲ?」



足を凍り漬けにされた所為で、身動きがとれなくなっているゴブリン。

氷の厚さは、剣で壊せるぐらいなんだけどな。

ゴブリンは焦っているらしく、剣を振り回している。

そんな奴に、正面から挑む程俺は自信過剰じゃない。

大回りして、ゴブリンの背後へ。 

決して槍で突く事はしない、槍が刺さったら抜くのは結構難しいんだよ。


先ずは槍の石突きで、ゴブリンの頭をぶん殴り動きを止めて、フラフラした所で、首を斬りつける、何回も斬りつける。


「ふぇー、ようやく動かなくなった。師匠、これでいいんすか?」


俺は、できるだけ平然な振りをして師匠に話しかけた。

本当は涙やら酸っぱい物が溢れだそうなんだけども。


「ゴブリン一匹に随分と手間暇をかけたみたいですけども。まぁ良いでしょう」


「ちぇっ、少しは誉めてくれてもいいじゃないっすか」


side ロッキ


うん、やはり彼は面白い。

私が彼に目を付けたのは必要なら利用できる物をなんでも利用しようとする所。



 

そしてそれは自分の欲には決して使おうとせずに、自分や誰かが危険に晒された時にのみに、形振り構わずに行える所。

有名な冒険者は、無謀な勇気より臆病さを持っていますからね。


臆病で卑怯でせこい戦い方をする彼の活躍を見てなさい。

勇気や戦いの美しさを、第一としている元我が一族達。




功才君の戦いかは、卑怯でせこい戦い方、ザコらしい戦い方にしたいです。

当然チートな大技は、使えません。

感想指摘お待ちしております。

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― 新着の感想 ―
[一言] 水があって修行したあとでも足固められるとかチートやんけ
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