ザコのクリスマス
枕と布団さんからリクエストがあったクリスマス編です
side 功才
ドルムーンに向かう旅の途中での事。
「ねっコウサ。向こうで太陽祭はどんな風に過ごしてたの?今年の太陽祭はコウサと過ごせるのかー。楽しみだなー」
データボール参照太陽祭
太陽祭は太陽が新しく生まれる日としてデュクセン皇国でも賑やかにお祝いをするんですよ。
冬至に行うから冬至祭とも呼びます。
彼女への太陽祭プレゼントを忘れたらショックアローじゃ済みませんよ、功才君。
ああ、向こうのクリスマスの事か。
「こっちでは、どんな風に過ごすかわからないけど、俺がいた国では家族や恋人と過ごしてプレゼント交換をしたりご馳走を食べたりするよ」
「そっかぁー。それなら同じだね、コウサと2人で過ごす太陽祭かー。あー早く来ないかな」
メリーのお陰で、俺のクリスマス嫌いも治せるかもな。
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中学3年の冬の事
「はぁーー、クリスマスか。嫌な季節になったよな」
「ザコよ、お前もか。クリスマスなんて虚しい行事を嫌うのは」
今話をしているのは、俺と同じくクリスマスの予定なんて今後も埋まる事がない男坂本虎馬。
「当たり前だっての。毎年1人クリスマスなんだからよ」
「あれ家族は?」
「芸能人は年末が稼ぎ時に顔繋ぎの季節だからな。確か今年は俺を抜かした財津ファミリーは財界人や芸能人が出るクリスマスパーティーの予定だよ。勇牙達も家族と過ごすみたいし」
「えっ?!あっーそうなんだ。まっ、平和に過ごせるから贅沢な話だよな。うんっそうだ」
後からコイツの優しさに感謝したっけな。
クリスマスを楽しみにしていたのは何才までだったろう。
少なくとも爺ちゃん達がいた頃は楽しみだったな。
今は家で1人のクリスマスか。
side 三条小百合
「唯、どうしましょう?」
「中学最後のクリスマスはみんなで過ごしたいよね。でも招待枠が4人分しかないのかー。うーんやっぱり功才かな。功才は華やか場所が嫌いだし」
「しかし、それでは功才さんが可哀想では…」
「内緒にしたら分からないって。それに功才ならバレても笑って許してくれそうだし」
side 美才
「お姉ちゃん、あの4人組は何様のつもり?三条財閥か何かわからないけど、お兄ちゃんを除け者にしてクリスマスパーティーに来るなんてさ」
「美才止めなさい。聞いた話だと、招待枠が4人しかなかったみたいだし、大方バレなきゃ大丈夫の感覚なんでしょ?」
「だーかーら腹がたつの。都合いい時はお兄ちゃんを友達とか幼なじみとか言う癖にさ。あーあ早くお兄ちゃんを丸ごと受け入れてくれる人が現れないかな」
「いつかくるわよ。ほらっ記念写真を撮るみたいよ。笑顔、笑顔ねっ」
「わかりましたーっ。あいつらの部分を拡大してお兄ちゃんに見せてやろうかな」
side 功才
数日後の事。
「うー、さびっ。郵便物はっと、これは親父、こっちはお袋でっと。これは、こないだのパーティーのやつだな」
基本家にいる俺が家族の郵便物を仕分ける。
それでプライベートの郵便物以外は開けてチェックを行う。
意味がわからない手紙やカミソリ入りの手紙を美才には見せたくないし。
それが仇となったんだよな。
俺は写真に同封された主席者リストには幼なじみ4人組の名前が載ってるのを見つけたんだ。
このリストが渡るのは主招待者のみ。うちで言えば親父だし、小百合の所は当主の爺さんだろうな。
つまり、俺が気づかないふりをしてれば問題ないと。
坂本の親父さんはホテルに勤務しているから、そこから話を聞いたんだろうな。
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「なっにそれー。なんでコウサは平気な顔をして話せるの!!」
「いや、メリーが怒ってどうするんだよ。逆に俺が参加して誰か除け者になる方がやだっての。俺が気付かなきゃ丸く収まった話なんだし」
「決めたーっ。お爺ちゃんとお婆ちゃんになっても、太陽祭はメリーと過ごす事。コウサ約束だよ」
「ありがとうな。クリスマスは嫌いだけど太陽祭は好きになれそうだよ」
ゲームの花火大会とかで良く2人で抜け出そうみたいのあるじゃないですか。
あれをみんながやって1人残った人がいたら、どうなるんだろうと。
そのクリスマス編です