ザコのお引っ越し
途中でてくる予想はスルーして下さい
side 功才
サキュバスを倒した後に周囲を探索したら、救出対象であった男を発見する事ができた。
「無事、救出とは言えないか……」
「干からびる寸前って感じだもんね。あの人大丈夫なのかな?」
「大丈夫ですよ。サキュバスとかの夢魔に襲われた男性は治療専門の教会に搬送されます。教会では薬草食を食べて中から魔を抜き、聖水プールに浸り外からも魔を抜くそうです」
メリーの心配にイントルさんが、スラスラと答えてくれた。
イントルさんは、ガーグ冒険者隊の中で、見た目は一番怪しいかも知れないが、実は一番の常識人かも知れない。
「イントルさん物知りですね。でも何で男性だけなんですか?」
確かインキュバスと言う男の夢魔をいるって聞いた事あるが、それは向こうの世界だけなのか?
「サキュバスは女しかいねえんだよ。ガキを産む時は気に入った人間の男を襲って子種を得るんだ。後は襲うのは栄養確保らしいな」
サキュバスって、カマキリの仲間だったりして。
でもこれで前から思っていたある疑念が確信に近付いた。
「それじゃインキュバスは噂でしかいないんですね?」
「あー、あれだ。プルングの嬢ちゃんがいる前で大きな声では言えねが、ありゃ結婚前の娘が貴族に遊ばれた時や、結婚した女が浮気でデキちまった時に言い訳に使われる魔物だよ。だからインキュバスの子供を引き取る貴族も少なくねえのさ」
最初から疑念はあった、俺の言葉が通じるのは師匠の仕業だと分かった。
でも同じ言葉で同じ意味の生き物がいるのは、不自然で、普通に考えれば、こっちの世界でもシープが羊を指すのは不自然なんだよな。
ましてやインキュバスは俺のいた世界でも同じ扱いだった筈。
それから予想をたてると向こうの世界と、こっちの世界には何らかの繋がりがあってお互いに影響しあっている可能性が高い。
例えば、俺みたいに喚ばれた人間がいたり、神的な存在が同じであったり、転生した人間がいたり、集合無意識とかいうやつで繋がっていたり。
まぁ、あくまで素人の予想でしかないけども、似たような名前の魔物への対抗策は練れるな。
ふと我に返ると、みんなが俺を見ている。
ちと、思考に没頭しすぎたらしい。
話題を変換しとこ。
「つまり俺がサキュバスに狙われたのは、気に入られたからじゃなく餌扱いだったと。ったくサュキバスの対象としても雑魚扱いかよ」
「サュキバスの子種対象は色男で、餌にするのは弱そうな男だそうだから、まっ間違いねえな」
ガーグさんとイントルさんが、生暖かい同情の目で見てくる。
「当たり前だよ。あんなケバい魔物なんかにコウサの良さが分かる訳ないんだから」
ミント、約束通り俺はメリーを大事にします。
――――――――――
翌日
「ガーグさん達の拠点はどこなんですか?」
「俺達は鉱山の町ドルムーンを根城にしている。ドワーフや色んな人種がいて賑やかな町だぜ」
犬耳がいない事を切に願う。
「ドルムーンの家賃っていくら位なのかな?コウサ高かったら一緒に住もっか」
「そうだな。知らない街の不安も2人なら平気かもな」
メリーの顔が、パッと華やいだ。
まぁ、俺も少しは積極的になろうかと。
「あっ大丈夫ですよ。ドルムーンには冒険者ギルドが運営しているの長期間滞在型の宿屋がありますから。依頼で遠出している時のセキュリティーも万全ですので安心して下さい」
メリーが顔が一気にドヨーンとなった。
「イントル、プルングの嬢ちゃんがへこんじまったじゃねえか。お前もザイツと一緒で女心が分からない奴だな。でもその宿屋はお薦めだぜ。セキュリティーも万全だし、情報も集まる、何より希望すればパーティー同士を隣同士にもしてくれるからな」
ガーグさんは、禿頭をツルリと撫でながら意味ありげな笑顔でメリーに話し掛けた。
「鉱山の街でドワーフがいるって事は鍛冶も盛んなんですか?」
「近くに鉄鉱山・銅鉱山・ミスリル鉱山まであるからかデュクセン皇国で出回っている武具の大半はドルムーン製だよ。値段は張るが、オーダーメイドの武具や防具はお薦めだぜ。使い勝手が段違いだからな」
それならあれやこれやも作れるかな。
「それじゃ、こっちが落ち着つき次第ドルムーンに向かいます。 向こうについたら連絡をしますので、連絡先を教えて下さい」
「連絡もくそも、その辺にいる野郎に俺の事を聞けば直ぐにわかるさ。」
「ガーグさんは人情の機微に通じていますからね、ドワーフ・冒険者・鉱夫でガーグさんを慕っている者も少なくないですよ」
引っ越しが決まるとメリーはお別れ会や何やらで随分と忙しくなったみたいけども、俺は親しい人間をメリーぐらいしか作っていなかったから、オーク退治をして金と日数を稼いで過ごしていた。
出発当日
メリーの荷物の多さを、考慮してドルムーンまでは馬車を利用する事に。
「そう言や俺達の出会いも馬車がキッカケだったんだよな」
「今ならあのゴブリンさんに感謝したいぐらいだよ。さぁドルムーンに向けて出発ー」
馬車の車輪がゆっくりと回り始め、徐々にその勢いを増していく。
一路ドルムーンを目指してコウサ達を乗せた馬車がブルーメンから旅立った。
side ロッキ
「コウサ殿が新しくパーティーに加入されました。それに伴い拠点をドルムーンに移す様です」
ブルーメンは余り冒険者には優しくない街ですからドルムーンの方が、活躍できる機会も増えるでしょう。
それに
「クックックッ、アーッハハッ。いいです、いいですよ。流石は私の可愛い弟子です。まさかこんな者達と縁を結ぶとは。功才君、君は本当に私を飽きさせまんね」
書いてすぐ投稿の作者には珍しく書きためが2話あります。
ちなみに幕間的なのは2つ程、いつ投稿しよ