ザコのサバイバル 先生はメリー
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曹仁伝ではどうしても越せなかった1,500を超えての2千超えが嬉しくて次話書き上げました。
曹仁伝を読んでくれた人は男の人が多かったけどザコはどうなんでしょうか?
どっちにしろ、この駄文を楽しみにしくれている人がいるなら感謝です。
side メリー
ほうほうの体って、あーゆーのを言うんだろうな。
ぐっすりと眠れた私達と違って尾行をしている男の人達は疲れ果てていた。
そりゃねー、早朝から午後まで早歩きしたら疲れるよね。
私達や荷物には、コウサのライトウェポンって魔法が、掛かっているお陰で余り疲れてはないないけど。
昼ぐらいに着いた村を通り過ぎた時の男の人達の悲痛さには少しだけ同情しちゃった。
「ねえ、コウサ。昼に食べた、あのサンドイッチって食べ物。美味しいかったから、今度はゆっくり座って食べたいな」
せっかくのコウサの手料理も、早歩きしながら食べたから、きちんと味わえなかったんだよ。
side 功才
「サンドイッチは料理に入るのか?どうせ作るんなら、もう少し手のこんだ料理を作るよ」
「へー、コウサって料理できるんだ」
「お前は結婚できない可能性が高いからって、婆ちゃんに仕込まれたんだよ。メリーどんな料理が好きなんだ?こっちの材料で作れそうな料理があったら今度作るよ」
「じゃ。メリーが何か獲物を捕まえて捌くから、それで何か作って」
メリーは名案と、ばかりに胸の前でポンッと手を叩いた。
仕草は可愛いんだけど、話の内容がワイルド過ぎ。
「このペースだと次の村には早めに着くから、詳しい話はそこでするか」
できたらジビエ料理は避けたい。
――――――――――
次の日
「ここだよ。この森にジュエルバタフライがいるんだよ。懐かしいなー」
メリーは昔、父親とこの森で猟をした事があったそうだ。
そのせいか、メリーの狩猟魂に火がついたらしく気合い満点。
「行くよっコウサ。森の中では人の小賢しい知恵なんて通用しないんだからね。わかった?!」
いや、その小賢しい知恵がないと俺は役立たずなんだけど。
「わかったら返事っ!」
「はいっ!!あっ待って。入り口に目印をつけとくから」
道無き道をサクサク進んでくメリー。
ほうほうの体で着いてく俺。
「メリー、もう少しゆっくりと進まない?」
「却下。森の中で夜を明かすのは凄い危険なんだよ。それに日の落ちた森は獣達の天国なんだからね」
昼の森はメリーの天国と。
「コウサ、頭を低くして。ハト蜂の巣があるから」
雀蜂の倍以上の大きさがあるからハト蜂なんだね。
データボール参照
ハト蜂は、とっても危険な蜂なんですよ。
毒性は低いんですけど針が太くて刺されたらヤバいですよー。
オーディヌスには、ハト蜂に豆鉄砲を食らわす勇気なんて言葉もあるんですよ。
ロッキの今日から使えるオーディヌスの諺より
「うー時間がなくて残念。ハト蜂の幼虫とか蜂蜜は、すっごい美味しいんだよ。コウサに食べさてあげたかったのにな」
「そうなの?でも時間がないなら仕方ないよね。うん残念だ、残念。さっ行こう」
メリーは名残惜しそうにハト蜂の巣を見ているけど、蜂蜜はともかく巨大幼虫は食いたくない。
…………
そして3時間くらい歩いただろうか、メリーが急に立ち止まった。
「ほらっコウサ。あれがジュエルバタフライだよ」
メリーの指差す先には、木漏れ日の中を数匹の蝶が飛んでいる。
木漏れ日に反射してジュエルバタフライの宝石の様な羽が煌めいてた。
「凄い。神秘的だよな」
「でしょ。でもどうやって捕まえるの?コウサ虫取り網持ってないよね」
「大丈夫だよ。シールドボール」
ジュエルバタフライに、シールドボールをかけて虫籠に入れてマジックキャンセルを掛ける。
予定通り二匹を確保。
「さて、それじゃ例の物を探しますか」
そう言って、歩きだそうとした瞬間、メリーに耳を引っ張られた。
「森の中で素人が勝手に歩かない事。わかった?」
「はいっ。わかりましたっ」
色んな意味で、早く森から出たい。
「ほら、コウサこれが探していたモノだよ。普通の人は、先ず見つけれないんだから」
「確かにこれを森に詳しくない人間が見つけるのは不可能だよな。ありがとなメリー」
「へっへー。さっ戻ろ」
来た道を正確に戻っていくメリー。
途中でキノコやら果実を採集していくメリー。
途中で現れた兎を、捕獲者の目でガン見するメリー。
兎に逃げろっ!と心の中でお願いする俺。
パーソナルカードのメリーの職業はレンジャーに変わったと思う。
「メリー、もうすぐ出口だよな。先頭代わるよ。もしもの場合は打ち合わせ通り頼むよ」
さっ、ここからが俺の出番だ。
待ち人来たる。
例の5人組が入り口で待ち伏せしていた。
「わざわざ目印を残していってくれてありがとな。さぁ坊主達。怪我をしたくなきゃ、その虫籠をよこしな」
「有料で引き取るって取り引きはなしっすか?」
「取り引きだ?この人数相手に取り引きを持ち出すとは良い根性してるな。そんなに死体になりたいのか」
「死体は嫌っすね。それでいくらで買ってくれるっすか?今ならシャイン様へジュエルバタフライは一匹もいなかったっていう報告書付きっすよ」
「このガキしっかりしてら。1万デュクセン払ってやる。虫籠をよこしな」
「金が先っすよ」
「仕方ねえな。ほれっ」
男は俺の足元に金を投げつけてきた。
棒に虫籠をくくりつけて男に渡す。
「さぁ虫籠をもらっちまえば、こっちのものだ。金もその姉ちゃんも俺達がいただいてやる」
「は、話が違うっすよ」
「はっ、誰も身の安全は保証してないぜ?まっお姉ちゃんの方は、たっぷりと可愛がってやるけどな」
俺は下卑た笑いを浮かべる男を見て、笑いを堪えるのに必死だった。
罠ってのは、事前に幾重にも張り巡らせておくもんだぜ。
「メリー逃げるっすよ」
例の場所までね。
「ちっ、小僧は殺しちまえ、女は宿屋に連れて来い。俺は旦那に蝶を届けてくる」
今日、散々森を歩いてきた功才と初めて森に入る男達では、移動速度の差がどうしてもでてしまう。
その所為で男達は歩くのに必死で功才に誘導されているとは気づけないでいた。
男達を確認して功才がゆっくりと振り返る。
その顔には珍しく怒りの感情が表れていた。
「大人しく取り引きを終えてりゃ良かったのによ。俺の大切なメリーに手をだそうとしたお前達が悪いんだぜ。メリー頼む」
今の功才に男達に言い訳をさせる優しさは残っていない。
メリーが弓で落としたのは、ハト蜂の巣。
功才が男達を誘導したのはハト蜂の巣の真下。
功才がそれを発動させるのはハト蜂の巣と男達が重なりあった瞬間。
「シールドボール」
人数が人数なだけに、何時もより巨大なシールドボールではあったが、男達に逃げ場は存在せずに大量のハト蜂を相手に身を縮こまらせるのが精一杯の抵抗であった。
「マジックキャンセル」
毒性こそ低いものの、威力は抜群のハト蜂の針の痛みから逃れようと走り出す男達。
それを追い掛けるハト蜂。
「さっ、ハト蜂がいないのを確認したら俺達も帰るか」
「コウサ、あれにシールドボールをかけてお願い」
シールドボールをかけれたハト蜂の巣を笑顔で抱えるメリー。
「コウサ凄いよ。こんな大きい巣が捕れたらメリーの家ではお祭り騒ぎだよ。幼虫も沢山入ってるし良かったねコウサ」
サバイバルの締めに昆虫食を体験させれた功才であった。
ジュエルバタフライ編はまだ続きます。
いつもと少し違うザコはどうでしたか?