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幕間転生したザコ

 ザコは転生してもザコだった。

 師匠に転生させられたけど、顔は前世と同じブサメンフェイス。

 名前は材津(ざいつ)幸最(こうさ)…はい、漢字を変えただけです。

 師匠曰く、条件に合う材津姓の夫婦を探すのに苦労したとの事。

 どうせなら違う所に労力を割いて欲しかったっす。

 そんでもって転生した世界は微妙な世界だった。

 世界と言うか惑星の名前はロプートー。

 師匠の別名ロプトを伸ばしただけ…師匠、もう少し設定に力を入れて欲しいっす。

 地球やオーディヌスとロプートーに大きな違いはない。

 1日の時間は24時間だし一年は365日。

 俺の住む国、リベラの言語は何故か日本語だし主食は米。

 違いは魔法がある事とイケメンや美少女の割合が多い。

 割合はイケメン美少女が6、フツメンフツ女が3、ブサメンブスが1。

 男女比は女性7に対して男子3。

 ご都合ラノベみたく美醜が逆転はしていない。

 つまり俺はロプートーでは希少なブサメンなのである。

 後、青やらピンクの髪の人がいる。

 デパートの屋上から人混みを見たらパズルゲームの様に見える。

 

「ザコ、メンバーは決まりそうか?」


「分かって聞いてるよな?今回も余りウィザードだよ」

 不思議な事にロプートーで魔法を使えるのは一部の男だけ。


「おー流石はムダマリョのザコ。よっ、モテないウィザード」

 ムダマリョは無駄に魔力だけがあるって事。

 ちなみに男女比の割合もあってマジシャンはモテモテの職業だ…でも俺はモテないけど。

 何しろ、魔力だけは人より多いけど、相変わらず使える魔法は師匠オリジナルの欠陥魔法だけ。


「今回のウィザードバトルも見学だな」

 ウィザードバトルはモンスター戦が発祥のバトルゲームだ。

 早い話が男性ウィザードは引く手あまた…俺は拾ってくれる女性なしだけど。


「まっ、ウィザードバトルの別名はハーレムバトル。組んでる男女の殆んどが結婚するから女子もパートナー選びに慎重になるんだよ」

 リベラでは複数婚が認められている…それで余る俺って。


「見てろよっ!!シングルウィザードとして大活躍してやる」

 魔物は未だに人間にとって脅威、前世の経験を活かせば一人でも生きていける筈…。


――――――――――――――――


 家に帰ると、一組の男女が玄関の前に立っていた。


「悟と明日菜?二人揃ってどうしたんだ?」

 悟と明日菜は俺の幼馴染みで恋人同士。

 悟は普通の学生だけど明日菜はランクBの戦士。

 ちなみに俺と明日菜は同じ冒険者養成学校に通っている。


「幸最、僕とチームを組んで…このままじゃ光牙のハーレムパーティーに入られちゃうんだ」


「ザコ、頼む。今度のウィザードバトルに孤高の弓姫 古供(ふるとも)萌里(もえり)が来るらしくて光牙が色んな女に手を出してるんだ」

 ウィザードバトルでチームを組んだからって言って深い仲になる義務はない。


「古供萌里?誰、それ?」


「知らないの?Sランクの強さを誇るのに誰ともパーティーを組まないアーチャーだよ」

 アーチャーは嫌いだ…前世の女房(メリー)を思い出すから。


「俺は絵に描いた餅には興味がないの。しかし、俺と明日菜の二人だけだと厳しいぞ」

 光牙パーティーは今でも5人組なんだし。


「それなら大丈夫。彼氏持ちの子が入るから。みんなの彼氏も幸最のパーティーなら大丈夫って言ってくれたし」

 

「悟、お前の彼女は鬼か?さらりと俺を戦力外通告したぞ」

 つまり、俺に寝取られる可能性はないと判断したって事になるんだし。


「ほら、天然な可愛さってあるだろ?それだよ」


「ったく、お前等が泣くとこは見たくないし組んでやるよ」

 実践経験がない餓鬼の相手なら俺一人でも出来るし。


―――――――――――――――


 ウィザードバトルは勝利条件は二つ。

 敵のウィザードのライフポイントをゼロにする事。

 ちなみにライフは体につけられたマジックアイテイムで測定される。

 もう一つの条件は敵陣にある旗を取る事。

 ウィザードは味方パーティーに指示を出し、パーティーメンバーはウィザードを守りながら戦う。

 早い話がウィザードが王様と棋士を兼ねた将棋だ。


(向こうの平均ランクはB。こっちは明日菜以外はDか…それなら)


「明日菜、円陣を組んで敵と戦え。無理に攻撃しないで守りに徹しろ」

 自分にライトウェポンを掛けて移動速度を上げる。


「不細工の相手はしたくないけど光牙の為っ」

 最初に向かって来たのはソルジャーの女子。


「悪いなっ。俺は魔法使いじゃなく槍も使うんだよ…プチパラライズ」

 プチパラライズを相手の手に掛けて武器を叩き落とす。


「へっ…逃げるな。卑怯者」

 唖然としているソルジャーを横目にダッシュ。


「逃げるなって言われて待つ奴がいるかよ…アーススタン」

 アーススタンで出っ張りを作りソルジャーを転ばせる。

 プチフラッシュで目を眩ませて格闘家をダウン。


「そんでもって王手っ」

 ウィザードは近距離攻撃に弱い。

 俺の一撃で光牙はノックアウト。

 巻き起こるブーイングの嵐。

 投げ入れられるゴミ。

 突き刺さる弓矢?

 見ると見覚えるのある少女が立っていた。


「孤高の弓姫が怒ったぞ」


「萌里さん駄目ですよ」

 古供萌里… フルグ・メリ…メリー・プルング!?

 不味い、メリーが激怒だ。


「コウサのバカー!!メリー迎えにきてくれるって信じてたのにー」


「ちょっ誤解だって。メリーが転生してるなんて知らなかったし」

 体ギリギリを掠めていく弓矢。

 流石は孤高の弓姫。

 どうやら今回も賑やかな人生になりそうだ。


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