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ザコとメリーの旅 1似た者カップル

今回の話で功才&メリーコンビにした意味を理解してもらえたら幸いです

side 功才


(メリー、後ろの男5人組をどう思う?)


(服装は農夫っぽい服を着てるけど、絶対に違うよね)


(なんで、そう思う?)


(あんなきれいな手をした農夫なんていないよ)


別に男達の手が白魚の手みたいに美しい訳ではない。

農家ならどうしても爪に土が入り黒くなるし、手も節くれだつ。

早い話が労働をしている手になる。

一方男達の手には濃い毛はあるが、豆もなく普段から仕事をしていないのが伺えた。



(しっかし、もう少し上手く尾行できないのか、俺達の歩速に、一々合わせてどうすんだよ)


功才達が急げば男達も急ぐ、功才達が立ち止まれば男達も立ち止まるの繰り返しであった。


(コウサ、あの人達ばれてないって思ってるのかな?)


(多分な。ドンゲル伯爵が自分の領地から連れて来た連中だろうから、俺達を見失えば即迷子だからあんな風になるんだろ。つうか農夫が野良着のまま、こんな遠出する訳ないつーの)



(シャイン様の部下の爪の垢を飲ませてあげたいね)



メリーの言う通りシャインの部下も尾行をしていた。

尾行する相手は、功才達ではなく、ドンゲルの寄越した男達。

シャインの部下は商人や農夫、町人に紛して功才とならず者を取り囲む様に移動している。

何人かは、途中で違う道に行き新たな扮装をしてくる徹底振りだ。


(もしかして、コウサの指示?)


(ああ、手紙でお願いしておいた。メリー、そろそろ小声は終わりだ。あいつら話が聞こえないからって距離を縮めてきた)


(りょーかい。それならあの話だね)


今回の旅はジュエルバタフライを捕まえる森まで往復6日の旅。

仲の悪くない年頃の男女2人連れが、終始小声では怪しまれる。


「メリーは、ジュエルバタフライを見た事あるんだよな?どんな蝶なんだ?」


「水晶みたいに真っ青な羽にエメラルドみたいな緑やルビーみたいに赤い斑点が混じってるんだよ」


「森の奥にしかいないんだろ?」


「そうだよ。猟師にしてみれば、そんなに珍しい蝶々じゃないんだけどね」


「早い話が熊や狼がでる場所にジュエルバタフライもいると」


「猟師の間では、ジュエルバタフライに会えて1人前の猟師って言葉があるくらいだからね。普通の人ならまず無理かな」


side シャイン


「それほど自然な会話だったのか」


「はっ。あらかじめ話を聞いていた我らでも、あれが演技とは思えませんでした」


「つまり、ドンゲル伯爵の部下達は森に入らずコウサ達が捕獲してきたジュエルバタフライを奪う企てをたてると」


「ええ、そのような話もしていました。わざわざ森に入らないでも、あのガキ達の捕まえてきた蝶を奪えば済む。俺達みたいに要領よくやるのが賢い人間だ。と」 


「やれやれ、既にコウサの罠に掛かっているとは知らずに呑気なものだな。ミント、本当は一緒に行きたかったんじゃないか?」


シャインが後ろに控えているミントに、からかう様に話し掛けた。


「無理ですよ。僕はあの2人みたいに上手な演技はできません」


この時2人は、自分達もコウサとメリーの悪戯にはめれているとは知る由もなかった。



side 功才


無事に夜が来る前に街道沿いの村に辿り着く事ができた。


「コウサ、今日は宿に止まるの?」


「うんにゃ、この村の村長の家に泊まれる様にシャイン様にお願いしてある」


「わざわざシャイン様にお願いしたの?」


「詳しい話は、村長の家についてからするよ」 

シャイン様から紹介とあり、村長宅での歓待は中々のものだった。


side メリー


食事を終えて、やっとコウサと2人っきりになれた。


「まさか、この歓待を受けたくてシャイン様にお願いしたんじゃないよね?」


「それこそまさかだよ。宿屋に泊まったら常にあいつ等を警戒しなきゃいけないから、打ち合わせもできないだろ?それにほらっ」


コウサの指差す先には尾行して来た男の姿がある。


「あいつ等は俺達がいつ出発するか分からないから常に見張ってなきゃいけないんだよ。酒も飲めないし、頭以外はぐっすり寝れないから部下はさぞかし不満がたまるだろうな」

「明日の出発は早朝?」 

「そうだよ。頭だけ熟睡したんじゃ不公平だしな。頭もこんな早い時間からは寝れないだろうし。明日は少し早歩きにしてやるか。途中の村を1つスルーするつもりだから」


尾行してる人達にしてみれば、やっと休めると思った村をとばされるのはショックだよね。


「だから村長様の奥様から、あんなにパンをもらっていたんだ」


「お世話なったうえに、早起きまでさせちゃ迷惑だろ?それとメリー森に毒草とか危険な蜂とかはいる?」


「そりゃいるけど。また何か企んでるの?」


こうして、私とコウサの初お泊まりは早寝で終わってしまった。

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