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改訂MF文庫様一次通過記念

お陰様でMF文庫一次通過しました

改訂の質問をしたら応募時の作品で判断するとの事。

前から数話書きためていましたが、日の目をみない可能性もあるので一次通過を記念して載せました

気づけばザコシリーズもイコージ・山田さん・トラマ・孫・ビルクーロと五作に(愚作川の向こうに師匠が出てますが) なりました


 梅雨真っ只中の六月、朝から降りまくっている雨のお陰で教室の不快指数はうなぎ登り。

 しかも我が校は男子校だから、男臭さと汗臭さもミックスされている。


(でも、今日も嬉しいぐらいに平和だ、いや俺は幸せだっ!!)


 学校は男子校。

 彼女いない暦イコール年齢、出来る予定は全くなし。

  ついでに、俺の才能や見た目は人並み以下。

 でも今、俺は幸せなんだ。

 昼休みの教室で幸せを噛み締めていると、同級生が声をかけ てくる。


「おーいザコ。山田先輩が呼んでんぞ。屋上に来いってさ」


「わーった。今行く」

 男子校の一年生が学校生活を幸せに過ごす為の鉄則、先輩に逆らわない事。

 俺は先生の目を盗みながら、屋上までダッシュをした。

 着いた時に息を切らせていたら、先輩方の好感度が上がると思うし。


――――――――――


 屋上には山田さんの他にも数名の先輩方がいらっしゃった。

(知らない人がいるな。多分、彼奴等の事だな)


「ちーっす。山田さん何か用っすか?」

 先輩方に笑顔挨拶をする、お辞儀はあまり深くせず四十五度をキープ。


「おっ、ザコ来たな。こいつがバイト先の後輩の財津(ざいつ)功才(こうさ)通称ザコだ。ザコ、コイツ等がお前の幼馴染みの話を聞きたいんだとよ」


 予想は通りだ、 俺が知らない人に興味を持たれる時は、俺じゃなく俺の周りの人間に興味があるからだ。


「いいっすけど、どっちの幼馴染みっすか?」


「なっなっ、お前さ。美星(びせい)学園の三条小百合さんと夏海結ちゃんと幼馴染みって本当か?」


 三条小百合、三条財閥のお嬢様で白い肌に日本人形並みに整った顔の持ち主…。

 性格はおしとやかで、生け花や茶道を好むリアル大和撫子 。

  夏海結、元気の固まりの様なスポーツ少女。

  誰にも分け隔て無く接する明るい性格。

 それでいて読者モデルが出来る美貌をもつ。


「そうっすよ。二人共、俺の幼馴染っすよ」

 この後の先輩方の答えは決まっている。

 そしてそれに対する俺の答えも。


「いーよなー。うらやましい、あんな美人の幼馴染みが二人もいるんなてよ」


「そうっすか?ついでに風雅院(ふうがいん)隼人(はやと)鷹丘(たかおか)勇牙(ゆうが)も幼馴染みなんすよ」

 風雅院隼人 、一年生にして美星学園野球部の四番でエース。

  頭脳も天才、そして綺麗系なイケメン。

 鷹丘勇牙、一年生にして暴走族マッドエンペラー総長。

 男気溢れる性格で、メンバーに絶対的な信頼を持たれている。

 こいつはワイルド系イケメン。


「こいつの幼馴染みは美少女、イケメンばかりなんだよ。しかも揃いも揃って多芸多才。それでこいつについたアダ名が財津巧才を縮めたザコって訳だ。悪い奴じゃないから可愛がってやってくれや」

 山田先輩が、ニヤニヤしながら俺を指差している。

 ちなみに山田先輩の友達は、生暖かい目で俺を見ていた。

 それは確実に同情の目。

  その扱いには、慣れてるし同情ならむしろありがたい。

 ガキの頃は、何も気にせずあいつらと遊べていた。

 小学校にあがって努力では埋められない才能の差を思い知る。

  周りの大人達からは、いつも五人一緒なのに君だけ努力をしていないんじゃないかと良く言われた。

  努力ならあいつらの数倍していた。

  勉強もスポーツも。

 中学になると、あいつらに嫉妬をした奴が俺に八つ当たりをしてきた。

 やれ三条に振られたのはお前の所為だとか、夏海に嫌われたのお前が悪口を言ったんだろうとか。

 挙げ句の果てに、風雅院に女を盗られたとか、鷹丘にケンカで負けて腹がたつとか、そんな理由で俺に八つ当たりをしてくる奴までいた。

 高校になって、あいつらと離れた俺には、美少女の幼馴染みと絡める特権や天才や暴走族のリーダーの幼馴染みで得れる恩恵を失ったけど、比較をされずに済む幸せな学校生活を送れている。


―――――――――――――


 その日の夜。

  バイトの帰り道で女の子の叫び声を聞いてしまった。。

 普段ならそんな面倒事は知らないフリをする。

 しかし叫び声の主は幼馴染みの結だと思う。

 無視をしたら、小百合に泣かれ隼人に嫌味タップリに叱られ、勇牙にしばかれる。

 何より結が、傷つく姿を見たくはない。

 あいつらから離れたのは、俺の勝手でしかないんだから。

 今、俺が持っているのは、飲みかけの缶コーヒーと通学カバ ンだけ。


(武器にはならないよな)


 声のした方に走っていくと、結が男に迫られていた。

 雑居ビルの壁際に追い詰められて、逃げ場がないらしい。

  男は180以上ある筋肉質でスキンヘッド。

 出来る事ならば、一生関わりを持ちたくない人。

  ケンカじゃ絶対に勝つ自信がない。

 でも俺はこの場を切り抜ける自信はだけあった。

 飲みかけの缶コーヒーを男の頭目掛けて投げつける。

  カッーンと良い音を立てて、缶コーヒーが男の頭にクリー ンヒット。


「良かったじゃねえか、ハゲに髪が生えたぜ」

 男の頭からは、コーヒーが滴り落ちている。


「功才っ!!」

 結、出来たら名前を読んで欲しくなかったなー。


「結、ここは俺が何とかする。勇牙があの公園で集会をしているから逃げろっ」

 逃げて、勇牙や暴走族のお友達に俺を助ける様にお願いしてちょうだい。

 男は小馬鹿にされたと思ったらしく、標的を結から俺に変えて襲いかかってきた。

 それならチョコマカ逃げて、結の逃走時間を稼いでやる。


(結の奴、心配をして残ってないだろうな)

 …流石はスポーツ少女、逃げ足が早い。

 どうやら躊躇(ちゅうちょ)なく走り去った様で結の姿は既に消えていた。

 それなら俺が取る行動は一つ。

  雑居ビルの隙間から逃走をはかるのみ。

 あの体なら隙間に入ってこれないだろうし、隙間を抜ければ駅前通りだ。

 思った通り、男は追って来れなかった。

 でも何故か隙間は延々と続いていた。

 どれ位歩いたか分からない。

  確実に雑居ビル以上は歩いている。

  でも、後ろを振り向く勇気なんて俺にある訳がない。

 しばらく歩くと、ようやく明かりが見えてきた。

 ここを抜けたら駅前通りの筈なんだけど。

  でも、何故かそこはレンガ造りの部屋で、ソファーに男が腰を掛けていた。

  男は俺を見つけると、ニヤリと笑った。


「ようこそ。魔法と剣の世界、オーディヌスに」

  なに、この状況は?

  ビルの隙間を抜けたら、レンガ造りの部屋だった。

 これは夢なんじゃないか?

 そうだ、俺は、あのでかい奴にしばかれて気絶をしたんだ。

 俺は夢を見てるんだと思う。


「夢じゃないですよ、財津功才君。オーディヌスで夢なんて見ていたら、あっと言うに天国に行っちゃいますよ」


 何とも嫌な注意をしてくれた男を改めて見てみる。

 年は、五十才位だろうか。

  第一印象は、怪しい。

  第二印象も、怪しい。

  どこまでいっても怪しい。

 体型は、細いが筋肉質。

 顔は、渋めでハリウッド俳優をしていてもおかしくないだろう。

  揉み上げから続いている髭が渋さを増している。

 顔は怪しくないけど、服装が凄い。

 真っ赤なシルクハットに真っ赤なジャッケット、 ズボンも靴も赤一色だ。


(趣味わりー。今時、芸人にもあんな格好する奴いないって )


「趣味が悪いなんて、失礼ですね。私は魔導士ですし、きちんとシャツは白ですよ。魔導士を見て戸惑うのはいけな いんですよ」


「はぁ…すんません」

 俺の危険回避レーダーが、関わるな危険と全力で注意を促してくる。


「はー、魔導と戸惑うをかけた駄洒落を無視するなんて立派な紳士になれませんよ。まぁ、功才君には冒険者になって もらうからいいんですけどね」

 これが、俺と師匠のファーストコンタクトだった。


――――――――――――


「何時までも、ボケッと突っ立っているんです。こっちに 来て座ってゆっくりと話をしましょう」


(座ったら、いざって時に逃げれないだろうが)


「心配しなくても、何もしませんよ。それともう逃げられませんから」


「へっ?どう言う事っすか?」


「だからここはオーディヌス。功才君が住んでいた世界とは別世界なんですから」


「はっ?別世界ってなんすか?」


「言い方を変えると異世界ですね。ちなみに功才君を喚んだのは私、ロッキー・バルボー。気軽にロッキ師匠と呼んで下さい」

 戸惑う俺を無視して、話を進めていくロッキさん。


「貴男には、ここで修行をした後に、オーディヌスで冒険者になってもらいます」


「冒険者っすか?秘境の探検とかをすればいいんすか?」

 元一号の隊長がいてくれたら安心なんだけど。 


「冒険者の仕事は、討伐・護衛・採取とかですね。その辺はギルドで聞いて下さい」


「討伐って、何を倒せばいいんすか?」


「魔物や犯罪者とかですよ?頑張って下さい」

 この親父は何をぬかしてるんだ。


「お断りするっす。つーか無理っすよ。俺ケンカ弱いんす よ」


「だ・か・ら修行をするんじゃないですか。私の話聞いて ました?」

 聞いてたから拒否するんだって


「それなら俺じゃなくても、いいじゃないっすか。俺より 強い奴なんて、いくらでもいるっすよ」


「貴男が良いんですよ。財津功才君、貴男はとても面白いで」


「それだけ?」

 顔なら面白いかもしれないけど、ブサメンフェイスで魔物を笑わせろとでも言うのか?


「強い人間、優れた人間は上を見たら限りがありません でも君は面白い、財津功才と言う小石を磨いてオーディヌスの荒れ狂う大海原に投げ込んだらどうなるかを見てみたいんですよ」

 そんな事になったら確実に砕けるか、海に沈むって。


「もし、拒否したら?」


「元の世界に帰れないし、ここから放り出すだけですよ。 今の君じゃ魔物の餌になるのが確定ですけどね」


「うっ、何か特別な才能とかくれるんすか?筋力増強とか?」


「ないですよ。軽自動車しか運転した事がない人間が、 いきなりF1を運転できる訳ないじゃないですか」


(F1って、この人お疲れな人なんじゃないか?)


「本当に失礼ですね。私は貴男を召還するに辺り貴男の世界の事を色々学んだんですよ」

 ロッキさんの指差した先には、図鑑、小説、ビデオが積まれていた。

  当然、その中には種馬垂れ目ボクサーのビデオもあった。

活動報告に書いた新作には山田さんに出てきたある人が出る予定です

二次を通過したら二話を載せます

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