勇者パーティーその後
活動報告でリクエストがあった勇者パーティーのその後です
やっぱり、そう簡単には誤魔化されなかったらしい。
「ザイツ、またサンエルフとエレガンスから勇者達の処刑をさせろって手紙が来てるぞ。他にルーンランドとヘイムランドからも来てるぜ。そろそろ誤魔化しが効かねんじゃねえか?」
ただいまガーグ王子の執務室に呼び出され中。
勇者達は色んな国で強制労働をさせているが、逃亡や暗殺防止の見張りをつけるのでらどの国も赤字らしい。
「そうは言っても、どこに渡しても不平不満がでるんすよね。サンエルフなんて国の機能が回復していないから公開処刑とか出来なそうですし」
レクレール戦から早3ヶ月、こちとら戦後処理が忙しくてメリーとの結婚式の予定も建てれないってのに。
「とにかく早くなんとかしろよ。お前も結婚したらエルフィンの伯爵なんだからバリバリ働いてもらうぜ」
日本語、もといオーディヌス語は正しく使って欲しい。
「これ以上仕事が増えるんすか?人権侵害で国に訴えますよ」
「訴えれるもんなら訴えてみろ。使える人材は擦りきれるまで、使うのがうちのババアの流儀なんだぜ。それにエルフィンにはエルフを保護する法律はあっても猿人を保護する法律はねえぞ」
くっ、エルフィンの女王と王子には血も涙もないのか。
「なんか考えておきますよ」
「おうっ!!公共事業の予算は今日までに出しとけよ」
ガーグさんが戦いだけじゃなく内政でも鬼だとは思わなかった。
俺に宛がわれた執務室に戻ると鍵を掛けておいたドアが開いていた…いや、この気配は正直逃げたい。
「功才くーん、何かお茶菓子はないですか?出来たら歌舞伎揚げが良いんですけど」
「師匠じゃなくロキ神様、何の御用でしょうか?」
執務室を開けると師匠が俺の椅子に座っていた。
今日の師匠の服装は顔文字柄のスーツ、手には苺牛乳…
「い、苺牛乳に歌舞伎揚げですか?どんだけ濃い味が好きなんです?」
「苺牛乳と歌舞伎揚げは紳士の嗜みですよ、そんな事も知らないんですか?功才君、命令です。勇者パーティーとの試合を開いてもらえませんか?対戦相手はアボール・エフォーの転生体阿保努力の仲間です」
確か、アボー君は日本に転生して妹さんを守る為に違う異世界に行った筈。
「良いですけど、アボー君はあいつ等と戦えるんですか?」
「戦うのは阿保努力じゃありませんよ。阿保努力の姉、勇者阿保心花。阿保努力の兄、キヨ・ワーグの転生体阿保清継。騎士、ゼル・トナー。僧侶エア・トベレー。この者達は勇者パーティーに激怒していましてね、特に阿保心花に至っては私への望みを勇者パーティーとの戦いにするぐらいなんですから」
これでハッキリした事がある。
「師匠が許可したって事は勇者達は反省していないんですか?」
「反省しているのはニアとネメジスぐらいでしょうか、彼女達はヒイロ達と離れて憑き物が落ちた感じですね。逆にコウサ君達を怨んでいるのがウッドとエペイストですね。今の立場もコウサ君の所為だと思ってますね。アミはかえってヒイロへの思慕を強めてますよ、ヒイロにすがる事で自己を保っているんでしょう。ヒイロは一人じゃ何も出来ないタイプなのか大人しく仕事はしてますね。でも誰かに担がれたらまた御輿になるでしょう」
神官のネメジスが反省するのは当たり前、神官が創地三神と敵対する訳がない。
ニアは幼馴染みのヒイロと離れて恋も熱も覚めたと言った感じだろう。
それなら試合にだすのは、ヒイロ、ウッド、エペイスト、アミの4人にしておくか。
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それから数週間後、ルーンランド闘技場に阿保心花達の声が木霊した。
「私は清継兄さんと努力を傷つけたあんた等をぶん殴れるなら勇者なんて熨斗をつけて返すんだから!!覚悟してね」
阿保心花がヒイロを睨み付ける。
「騎士、騎士騒いだみたいだけどよ。騎士道は鎧の傷で語るもんだぜ。俺のダチに上等きったんだから痛いだけじゃ終わらねえぜ
ゼル・トナーがエペイストを皮肉る。
「努力さんの女性不振を治すのは大変だったんですからね。ここで貴女を倒して努力さんの心は私が独占するんです」
エア・トベレーがアミに宣言をした。
「俺自身の復讐はどうでも良いんだけどよ…俺の可愛い弟を見捨てた罪は重いんだ」
阿保清継が元勇者達を冷ややかに見つめる。
ザコ孫にするか努力にするか違う新作にするか…墓穴を掘った感じがします