ザコ≧勇者ザコにはザコの闘い方 財津功才ーザコ=
side 功才
勇者パーティを倒す方法ならいくらでも思い付いた。
投石器で焼けた石を飛ばしても良いし、ボウガンを三段撃ちにしても良かった。
でもただ倒したんじゃレクレールが逆恨みをして第2、第3の勇者パーティを産むだけ。
だから俺はレクーが絶対じゃない事を見せる事にした。
「創地神だと?そんな昔話みたいな存在いる訳がありません。あれは幻術です、レクー様、我らが勇者パーティに癒しを」
アイディールがレクーに話し掛ける。
だけど肝心のレクーはそれ所じゃないらしい。
「アイディール、少し黙っていなさい!!創地神様、これには深い訳がございまして」
「私言いましたよね、精霊は人の間違いを正して導く存在でありなさいって。悲しいですね、長い間オーディヌスを留守にしてたから私の教えも蔑ろにされたんでしょうね」
師匠は、額に手を当てながら大袈裟に溜め息をついてみせる。
「決してその様な事は…蔑ろにするなんてとんでもない!!」
必死の言い訳を始めるレクー。
「だって、貴方チャームに力を貸したじゃないですか?おまけに私の弟子まで勧誘して」
「お弟子様ですか?マジ…ヤッベー」
「レクー様、我らの声を聞いてくれないのですか?」
「アイディール、少し黙ってろ!!何で俺を喚んだの?ロキ様の弟子と敵対とか馬鹿じゃないの?ひくわー、俺の信者なのに、そんな事するなんてありないつーの。早くお弟子さんに謝りなさい」
オーディヌスの人間にとって精霊が絶対の様に精霊にとって師匠達創地神は絶対的な存在。
「レクー様、僕達を見捨てるんですか?」
「全てをレクー様に捧げてきたのに」
「俺は信じないぞ!!レクー様には何かお考えがある筈だ」
ヒイロ達、勇者パーティはレクーの態度が信じられないらしい。
「教えてあげるっすよ。あんた達は大事なレクー様の立場を悪くしちゃったんすよ。都合の良い教義を作って教えも自分達の都合の良い様に解釈した結果がこれなんだよ!!人は自分で考えて悩んで反省して後悔して歩いてくんだ。だけどお前達はレクーに考えを預けて自分がした事を省みようとしなかった。何が勇者だ?自分の過ちを認めれなかったお前達に勇気なんてないんだよ」
「僕達はどうなるの?どんな罰を受けなきゃいけないの?」
ヒイロがすがる様な目で俺を見てくる。
「なんで罰を与えなきゃいけないんすか?まさか罰を受けたら罪が許されるなんて思ったんすか?他国に魔物を放ったのに?友達を見殺しにしたのに?家族や恋人を殺しあわせたのに?苦しんだから痛い思いをしたからって罪が許されるなんて甘いんだよ…まっ、まずはサンエルフの皆さんと良く話し合うんすね。それとレクレールって国はもうないっすからね…どうっすか?大事な故郷を自分で壊した気分は」
これだけ駄目だしをしとけば大丈夫だろ。
アイディールに至っては茫然自失って感じだし。
「よっしゃ!!勇者パーティとアイディールを確保しろ。レクレールの兵は恭順の意思を示せば殺すなよ」
ガーグさんの声で同盟軍の兵士が動き出す。
「ねえ、コウサ。どうやって創地神達にお願いしたの?確か、神様は人の争いには関わらないんでしょ?」
「俺は師匠に創地神達も結婚式に招待したいから呼んでもらえますかって言ったんだよ。神様は俺の用事が終わるまで待っててくれただけなんだし」
俺の頭の上で待ってだけで誰も俺の味方だなんて言ってないんだし。
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その日、オーディヌスからレクレールという国が消えた。
レクレールの民は各国で強制労働に着いてもらう事にした。
きちんとした農業を覚えて反省の意思が十分ならどこかの荒れ地を開墾してもらい自治区でも作ってもらう予定。
「まさか、私達神まで担ぎ出すとは思いませんでしたよ」
「師匠協力ありがとうございました。そういや師匠はなんで俺みたいなザコを選んだんですか?」
もっと強くて頭の良い奴もいるのに。
「強い者選ばれたら者を喚んで解決すれば、次に困った時に自分より優れた者を喚んで頼ろうとします。でも、それじゃ進歩しません。弱くて臆病者で格好悪い人間でも窮地を救えれば人は自分で歩こうとします」
「だからザコの俺を選んだんですか?」
「コウサ君、貴方はザコなんかじゃありませんよ。財津功才からザコを引いたら何が残るかわかります?貴方はオーディヌスを導く逸材なんですよ」
これはザコと呼ばれた少年が自分で悩み後悔しながら歩んだ物語。
とりあえず本編はこれで終わりです。
初めて書いたオリジナル小説ですがなんとか終わる事が出来ました。
次はその後の話を書きたいです