ザコ≧勇者ザコにはザコの闘い方4仕上げ完了
side 功才
さて、誰から脱落してもらうか。
まずヒイロは無しだ、ヒイロが倒されたら他のメンバーが激昂すると思う。
同じ理由でニアも無し、ヒイロにマジ切れされるのはまだ早い。
「セシリーさん、準備をお願いします。ガーグさんゴツいのをかまして下さい」
「やっと終われるか。喰らいやがれ、パワーカウンター!!」
流石はリアル神様から授かった技。
ガーグさんのミスリルナタがエペイストの剣をへし折り、さらに鎧もぶった切った。
「なんて馬鹿力だ。だが自己治癒」
エペイストの傷がみるみるうちに治っていく。
「セシリーさん、お願いします」
「冥府を司りしヘルの名において命ずる。あまねく生命よ、元の姿に戻りなさい。生命回帰」
エペイストを闇が包み込む。
自己治癒、効果は治癒能力を促進させて傷を治す。
きっと精霊の力で無理矢理、細胞分裂を促進させるんだろう。
細胞は分裂出来る回数が決まっているけど、エペイストの自己治癒は精霊の力でそれを無くしているらしい。
「俺の体が!!なんで力が入らないんだ?これはエルフの呪いなのか?」
エペイストの体は老人の様に痩せ衰えた。
生命回帰は生命をあるべき姿に戻す技。
あるべき姿に戻った細胞に分裂する力が残されている訳がない。
神である師匠が授けてくれた技でさえデメリットがあるんだ。
一見すると、便利な勇者パーティの能力にもデメリットがない筈がない。
「エペイスト兄さん!!筋力強化ー」
ヒイロがさらに筋力強化を使う、顔は童顔なのに体はボディービルダーみたいにマッチョに。
「ガーグさん、イントルさんのフォローをお願いします。グラビディウエポン。ハンナさんオッケーですよ」
エペイストにはグラビディウエポンをかけて動きを制限しておく。
「コウサ、分かった。フェンリルの爪!!」
「僕には君の攻撃なんか当たらないんだよ…キャッー!!」
「ニア?」
ニアの寸の見切は相手の技をギリギリで自動で避ける技らしい。
つまり自分の足元に注意はいっていない
。
そしてハンナさんのフェンリルの爪は無機物を破壊する技。
ハンナさんにはニアがギリギリで避けるのを前提でフェンリルの爪を発動してもらった。
つまり破壊したのはニアが立っている地面(事前にプチスペースで何ヵ所か穴を作っている)、穴の深さは2mぐらい。
「ハンナさん、これをお願いします」
時空リュックから取り出したとりもちボールを転がしてハンナさんに渡す。
これぞ!!必殺とりもちカバー。
「ニア!!絶対に許さない」
「グラビディウエポン&プチスペース」
グラビディウエポンはヒイロの持つ魔剣に。
「剣が重い?それなら筋力強化」
ヒイロの筋力強化は文字通り筋肉を強化する技。
そう筋肉のみを強化している。
普通の鍛練でなら他の部位も自然に強化できる。
俺がプチスペースを掛けたのはヒイロの骨。
強化された事で重量を増した筋肉に空洞が出来た骨が耐えれる訳がない。
「なんで?なんで力がうまく入らないの?」
砕けた骨では体をうまく動かせる筈もなくヒイロはその場にしゃがみこんだ。
「アミ、魔術で敵を牽制しろ。ネメジス、ニアを助るんだ」
痺れを切らしたらしくアイディールから指示がとんだ。
「マジックキャンセル!!」
「自分から結界を解いたか。お前らは何者なんだ?レクー様から力を授かったヒイロを無力化するとはな」
アイディールの顔には焦りは見えない。
まだ、切り札があるんだろう。
「何者?ガーグさんはエルフィンの王子でレクレールに家族を殺された。それで俺はあんたらが見捨てたアボー君の友達だ。ちなみにアボー君の魂はもうこの世界にはない。哀しみに包まれたまま違う世界に行ったそうだよ」
「よく回る口だな。ネメジス、力を貸せ。レクー様とそのお仲間の光の精霊様、お姿を現して下さい…精霊召喚」
そして勇者パーティの頭上に光輝く6体の精霊が現れた。
見てるだけでも分かる、それは圧倒的な力有する存在。
どれだけ鍛えても人が叶う可能性なんてない。
事実、同盟軍の殆どは絶望して地にひれ伏していた。
それだけオーディヌスにおいて精霊は圧倒的な存在。
「これにて仕上げ完了!!」
これがなきゃ本当の意味で勝った事にならないんだから。
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清光の精霊レクー。
真っ白なローブに身を包んだ金髪の男性、ただし身長は10m近い。
「人の子よ、地にひれ伏して我を崇めよ」
重く低い声が響く。
「残念ながらもう崇めてる方がいるんすよね」
「我は上級精霊ぞ。多くの力を手に入れた、今我より強き者はおらぬぞ」
「いやっすよ。あんたみたいにえこひいきする精霊なんて関わりたくもない」
正直、小便どころか色んな物をちびりそうだ。
「滅びを望むか?」
「滅ぶのはあんたっすよ」
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それは後々までオーディヌスに語られる光景。
エルフ王ガーグ、叡知あるトロルイントル、そして弱く強い者ザイツ・コウサ。
後にオーディヌスで親しまれる物語りに必ず登場する光景。
古代9体が円を作り、その中央には。
「古代竜に創地3神様…」
トール、オーディーン、ロキの3体の神が姿を現した。