ザコ≧勇者ザコにはザコの闘い方3 罠に追い詰める
side 功才
日本にいた時は勇者なんて空想の産物だと思っていた。
それが今俺の目の前にいる。
しかも勇者パーティは美男美女のみで構成されていやがる。
「君達は誰なの。何で僕達の邪魔をするだ?このままじゃレクレールの人は飢え死にしちゃうんだよ」
勇者ヒイロ・リュミエールが突っかかってきた。
問答無用で戦いに入るのが戦いの定石なんだけどね。
「ヒイロ、見て分からないのか?山賊の親玉にその腰巾着、そして魔物までいるパーティだぞ。あいつらは悪者だ」
ご丁寧に精霊騎士のエペイストが俺達の容姿を解説してくれた。
(事実だけに反論の余地なし!!だけどこの隙にプチスペースを…)
「メリー、君はその男に脅されてるんだね。今俺が助けてやる」
アーチャーウッドがメリーにむかって高らかに宣言する。
「夫の前で新妻を呼び捨てにするなんてあり得ない。私はメリー・ザイツになったんだからね」
「新妻?メリー・ザイツ!!よくも俺のメリーをタブらかしたな!!お前を殺してメリーを呪縛から解放してみせる。インビジブル」
次の瞬間、ウッドの姿が消えた。
インビジブル、その名の通り透明になって姿を消す技なんだろう。
「まずはシールドボール。それではイントルさんお願いします」
ウッドが狙うのは俺だけだから自分にシールドボールを掛ける。
「お任せ下さい…そこです」
イントルさんが時空リュックから2mぐらいの白い球を取り出して誰もいない場所に向かって投げた。
「ザイツ殿、今です」
「分かりました、マジックキャンセル」
イントルさんが投げたのは俺がウエポンファクトリーで作った巨大なとりもちボール。
インビジブルは姿は消す事は出来ても匂いを消す事は出来ないだろう。
トロルであるイントルさんにしてみればウッドがどこにいるか見つけるのは造作もない事。
2mもあるとりもちに取り込まれたウッドはいくらもがいても簡単には出れないと思う。
「俺達が何者かって言ったっすよね。俺達はガーグ冒険者隊っすよ。まっ、正義の味方じゃない事は確かっすね」
「ふん、お前みたいな奴は俺が倒してやる」
エペイストが俺に目をつけたらしく襲いかかってきた。
「おっと、お前の相手は俺だよ」
エペイストと俺の間にガーグさんが割り込んだ。
舌舐めずりをして攻撃を仕掛ける姿は正に山賊の親玉。
「ヒイロの邪魔はさせない!!」
精霊武術家のニアはメリーに狙いをつけたらしい。
遠距離攻撃が出来るアーチャーは厄介だから早い段階で倒すと戦いが楽になるから当たり前。
「お前の相手は自分がするよ」
ハンナさんがニアに攻撃を仕掛ける。
ガーグさんとハンナさんの相手は事前に打ち合わせ済み。
「それじゃ僕は魔物を倒す!!」
ヒイロが抜いたのはサン・エルフの宝物庫から持ち出した魔法剣。
「それじゃ先ずはマジックキャンセルと」
「何で!!さっきまで羽みたいに軽かったのに?」
答えは簡単、ヒイロが魔法剣を手に入れた瞬間に俺が魔法剣にライトウエポンを掛けたんだよね。
「戦いに情けは無用…行きます」
イントルさんがミスリルトンファーを構えた。
「僕は負けない!!筋力強化」
ヒイロが筋力強化を使って精霊剣を強引に持ち上げる。
これでオッケー、奴等は既に俺の罠に落ちている。
精霊魔術師アミと精霊神官ネメジスは魔術を使いたくても仲間を巻き込む危険性があるから使えない。
「その程度の傷なら直ぐに回復出来るんだよ。悪人面の庶民が騎士に叶うわけないだろ?」
ガーグさんが斬りつけた側から回復しまくるネメジス。
「無駄だよ、僕を捕まえられるのはヒイロの愛だけなんだから」
ハンナさんの攻撃をヒラリヒラリと交わすニア。
「この魔法剣の強さを見せてやる」
武器の性能でイントルさんのミスリルトンファーを弾き返すヒイロ。
一見するとガーグ冒険者隊が追い詰められている感じだ。
(コウサ、来たよ。アイディールが近くに来た)
俺が待ってたのは黒幕のレクレール総精霊神官長のアイディール・リュクス。
(メリー、あんがと。それじゃ一気に逆転と行きますか)
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